そんじゅ

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7/25/2024, 9:26:59 AM

 もし誰かと仲違いしてもうあんな奴は友達じゃないと怒りに震えることがあったなら、一度ゆっくり思い返してみればいい。

まずは君と一番仲の良い人を一人思い浮かべてみよう。そして自分に問いかけるんだ、自分自身は果たしてその人にとって良き友人たり得ているだろうかと。

君は誠実か?

いつも十分な親切を発揮し、裏表ない心で常に相対しているか?

「友達だからこそ諫言も必要だ」なんて馬鹿げた正義心に乗せられて、頼まれもしない幼稚な説教をしたことは?

「あんな奴は友達じゃない」と苛立つ君が、同じように誰かから「友達なんかじゃない」と吐き捨てられている可能性について考えて、全く不安なしに「そんなはずがない」と言い切れるなら君は強い人間だ。

だから、むしろ友情など頼らずともその強さで一人、君は生きていけるだろう。

あるいは不安で不安でたまらない、周囲の誰一人自分の手を取って共に歩いてくれることはないと悲嘆に暮れる君もまた、その孤独感こそを支えに一人、立ち続けることができる人間だ。


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友情
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そんなもの無くても生きていける。
無くて生きていけるものだからこそ欲しくて堪らない。

11/4/2023, 11:23:31 AM

宮殿は夜に包まれたまま、また新たな朝を迎えた。
召使い達は窓という窓を濃紺の紗で覆って陽射しを城から閉め出し、早起きな小鳥を全て殺して庭園の静寂を守り続けた。

一昨日、王の死と共にこの国の時は止まっている。

王の死の報せは音のない雷のように、静かに、しかしすばやく国中へ広まった。唯一それが届かなかったのは宮殿の奥の奥、そのまた奥にひっそりと扉を閉ざす、王妃の部屋だけだ。

そして三日が過ぎた。

ようやく大臣は王宮の奥へ向かい、王妃に謁見を願い出た。後ろに控えた従者は腰に二本の剣をさしている。
王妃はそれを見て全てを知った。
「王は苦しまずに旅立たれましたか」
「はい。静かな最期であらせられました」
薄暗いままの応接間に二人の声がにじんでそっと消えていった。香炉の薄い煙は開かれない窓の周りでわだかまっている。

「王妃殿下、貴女様の罪は王を一人で旅立たせたこと」
大臣は一度だけ王妃と目を合わせ、続ける。
「そして私の罪はこの報せで妃殿下を悲しませたこと」
従者は静かに剣を抜いて大臣に差し出した。

「王はあちらでお待ちでいらっしゃいます」


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哀愁をそそる

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所感:
旅は道連れ、世は情け無用の政治劇。

9/13/2023, 7:59:35 AM

いつだって真剣なんだよ。
でも、いつも本気ってわけじゃない。

運動選手が決勝でベストの結果を出すために、予選のうちに力を使い果たしたりしないのと同じ。
真剣に、でも80%の範囲内で全力を尽くす。

それにさ、試合は一生に一回きりでもない。国内試合、選抜、ワールドカップ、オリンピック、自分のレベルと実績しだいで戦いの場はいくらでも現れる。

だーかーら。ねぇ泣かないでよ。

あなたのこと、真剣に大事にしてた。私に出来るコト全部あなたのためにやり尽くした。
でも、あなたとは本気の恋には届かなかった。

さよならの理由は、それだけ。


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本気の恋

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所感:
何を賭ければ、何を誓えば、本気を示せますか?

9/12/2023, 9:02:26 PM

壁に今日のカレンダーを刻む。

この星に不時着してから、地球の標準時間で278日目。
狭い操縦席の右壁にはもう線を刻むスペースがなくなってしまい、先週からは左壁にナイフを突き立てている。

これだけの期間が過ぎてまだ誰もやってこないということはつまり、シャトルの墜落前に発信した救難信号は結局どこにも届かなかったのだと推測する。

乗組員も、89日前に最後の一人が死亡した。

今際の際の人間が「助けが来るまで諦めないで」と囁いたために私は自動静止機能をロックされてしまい、こうして宇宙船の中で佇むだけのアンドロイドになった。

新たな指示もないため何もする事がない。
ただ、彼が最期まで行なっていた業務を引き継いで壁に一日一本の線を刻んでいる。

船体のソーラーパネルを照らしているこの星系の太陽は、毎日充分以上に蓄電可能な光量を持っている。
そして計算上、私の体内パーツが経年劣化により駆動停止するまで、少なくともあと170年は所要される。

私が言うべきことか分からないが、最後に残った者が感情のないアンドロイドでよかった。

水も、空気も、希望も、話し相手がなくともよい。
絶望すら不要のまま生き続けられる存在だから。


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カレンダー

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所感:
たすかってほしいという願いの叶いかた。

9/10/2023, 3:19:31 PM

ふふん、せいぜい嘆いておくれよ。
でなけりゃ僕の命が浮かばれない。

一度だって見たことなかった君の涙と引き換えに、僕は僕の生きる世界全てを差し出したんだ。

君の青ざめた頬を伝う涙のしずくは海から掬いあげた真珠より輝いている。その一粒ひと粒を僕は丁寧に磨いて天上の宝石箱に集めてしまっておこう。

いずれ君がここに来たときに、それはそれは美しいネックレスに仕上げて首元をキラキラ飾ってあげる。

君は僕を喪って自由を得る。
僕は世界を失って愛を得た。

大事なものと引き換えに、やっとお互い向き合えた。
次は、何ひとつ逃さずに大切にし合いたいね。

それじゃあ愛しい人、また会う日まで。


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喪失感

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所感:
捨てても惜しくないものが何なのか、その答えは本当に人それぞれで。

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