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11/9/2025, 8:52:09 AM

「透明な羽根」

 きっとまだ透明で見えていないだけで、私たちの背にも羽根はあると思う。
 だって想像すれば、少しだけ感じられるから。
 そっと開いて、鳥のように青空を飛び回る姿を。

 だから今日も私は思い浮かべる。いつか白い羽根を羽ばたかせて、あの空から見える景色を、飛ぶ感覚を。
 
 その時はきっと、一番にあなたに会いにいくから。

11/8/2025, 2:04:10 AM

「灯火を囲んで」

 パチパチと音を立てて小さな炎が明るさと暖かさを周りに与える。
 「どう?少しは気分転換になった?」
 横に座る君が静かに私に尋ねる。その穏やかな表情に、君の優しさが全部詰まっている気がして、思わず私の頬も緩んだ。
 「うん。火を見てると、気持ちが落ち着く。ありがとう。」
 私の言葉に安心したように君は笑った。
 赤く光る炎も、私の心を癒してくれるけれど、きっと私1人じゃ寂しさが募るだけだろう。
 
 君が一緒に火を囲んで笑ってくれるから、私はまた頑張れるのだ。

11/6/2025, 1:56:54 PM

「冬支度」

 バラバラになった扇風機の部品をそっと拭いながら、一つ一つはめて組み立てていく。
 今年の夏もたくさんお世話になった扇風機に感謝を込めながら、押し入れへとしまう。
 そして扇風機と入れ違いにヒーターを取り出した。
 北風が窓を叩いて冬の訪れを告げている。
 
 夏から秋へ。そして冬へ。
 季節は少しずつ、でも確実に流れていく。

 家の中も段々と冬の様相になってきている。
 
 もう少し冷えたら、こたつも出さなきゃな。

11/6/2025, 9:31:14 AM

「時を止めて」

 あなたが隣で笑っている今が、とても幸せだ。
 だから、神様、今だけは時を止めて。
 
 あなたのいない未来なんて、迎えたくないから。

11/3/2025, 9:30:27 PM

「行かないでと、願ったのに」

 「俺、行こうと思うんだ。」
 覚悟の決まった顔で、あなたは私に言った。彼が行こうとしている場所は遠く、無事に帰って来られるかも分からない。
 「嫌だ。行かないで。お願い、そばにいて。」
 何度伝えても、あなたの気持ちが変わることはなかった。私だって分かっている。きっとこれが最善の方法なのだろうと。
 でも、私はあなたの傍にいられるのなら、死ぬことだって怖くはない。
 それでも私の声は、願いはあなたに届かない。
 「じゃあ。元気で、幸せになれよ。」
 去っていく広い背中を、引き止めたいのに声が出ない。

 ただあなたと2人で穏やかに暮らしたい。
 そんな私の願いは叶うことなく、泡となって消えていった。

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