「幸せとは」
あなたにとっての幸せってなんだろう。
私にとっての幸せは、あなたと空間と時間を共有し、穏やかで平和な日々を過ごすこと。でも、あなたはどうだろうか。あなたも私と同じことを幸せだと思っているのかな。どれだけ共に月日を過ごしても、定期的に不安が訪れる。私はあなたを幸せにできているのか、私よりも他の人の方があなたを幸せにできるんじゃないか。そう考え始めると、止められなくなってしまう。
「あなたにとっての幸せは?」
「私と一緒で幸せ?」
いつかちゃんと、面と向かってあなたに聞けたらいい。
「日の出」
暖かな布団から出て、ベランダを開けた。冷たい風が流れ込んできて自然と体に力が入る。空は白く輝き、太陽が少しだけ頭を出していた。間に合ったことに小さく安堵のため息をつく。少しずつ、けれど確かに明るくなっている。太陽が完全に姿を現すまでのわずかな時間が、ひどく長く感じた。肌を刺す冷たい空気が消え、風や鳥も声を顰めて静寂が訪れる。自然と涙がこぼれ落ちた。
どうか、この日の出が君の心も照らしてくれていますように。そっと手を合わせて、再び仰ぎ見た空はもう蒼く澄んでいた。
「今年の抱負」
「ねぇ、今年の抱負ってなににするの?」
手帳を開きながら君が尋ねる。今年の抱負は君にプロポーズすることだって言ったら、君はどんな反応をするのだろうか。君のことだからきっと、声をあげて驚いて、笑って涙を流してくれるのだろう。想像して笑っていると、不思議そうに君が顔を覗き込んでくる。
「内緒だよ。君は?」
「ふーん、内緒か。じゃあ私も内緒!」
イタズラっぽく笑う君を見て、僕の今年の抱負がもう一つ追加された。
今年の抱負は、君にプロポーズすること、そして、この幸せな時間を守ることだ。
「新年」
あと数分で、日付が変わって新たな年を迎える。私はスマホを手に取った。
今年は、君への気持ちから目を背け、自分で自分の気持ちをはぐらかしていた。けれど、来年は君への気持ち、そして君自身としっかり向き合い、想いを伝えると決意した。
向き合うならば早い方がいい。先延ばしにするとまた逃げてしまう。だから私は日付が変わってすぐにメッセージを送れるように準備した。そこには、新年の挨拶と初詣の誘いが綴られている。
勝手に震えてしまう指を押さえながら、その瞬間を待った。
「良いお年を」
白く無機質な部屋の中、ベッドから体を起こした君は窓の外を見ていた。やってきた僕に気がつくと柔らかく微笑んで、もう今年も終わるんだね、と呟いた。
「2人で初詣に行きたかったなぁ。再来年に持ち越しだね。」
少し寂しそうな表情で、賑わう街を見ながら君はそうこぼした。
「そうだな。次は一緒に行けるといいな。」
うまく言葉を見つけられず、月並みの言葉しか返すことができない。君の願いがほぼ実現不可能であることは君も僕も分かっていた。
重い沈黙だけが静かに部屋に広がっていく。
「じゃあ、そろそろ行くね。」
いたたまれなくなってしまい、僕はそう切り出して部屋のドアを開けた。
「うん。良いお年を!」
振り返ると、君が満面の笑みで手を振っている。僕も軽く手を振りながらそっとドアを閉めた。
この時はまだ、これが最後のやり取りになるとは全く思っていなかった。
まだ書き始めて3ヶ月ですが、私の文章を読み、ハートをつけてくださりありがとうございました。
来年も出来る限り毎日書き続けたいと思いますので、よろしくお願いします。
それでは皆様が良いお年をお迎えできますように。