「枯葉」
帰り道、枯葉がちょうど私の頭の上にパサリと音を立てて落ちてきた。そっと手に取って、どこから落ちてきたのかと見上げると、茶色と緑の混じった葉が風に揺れ、その間から木漏れ日が降り注いでいる。きらきらと温かく光るその光景は、どこか幻想的だった。
下ばかり見がちな私に、見上げれば素敵な景色があることを1枚の枯葉が教えてくれた気がした。
「今日にさよなら」
時計の針がもうすぐ0時を回ろうとしている。明日がすぐそこまできている。けれど、今日にさよならできない。明日が来ることが、未来へと進んでいくことがとても怖くて嫌で仕方がない。毎日、その繰り返しだった。
今日に別れを告げ、明日に希望を持って眠りにつく。私にもそんなことができる日が来るのだろうか。そんな思いを抱えながら、スマホを片手に寝返りを打った。
「お気に入り」
淡いピンク色のブレスレット。耳元で揺れるピアス。髪を飾る小さなリボン。そして、あなたが私に合うと言ってプレゼントしてくれたふわりと香る香水。
どれも私の大好きが詰まったお気に入りのアイテムだ。「お気に入り」は、身につけたり持ち歩いたりすることで不思議と元気になり最強になった気分になれる。
今日もお気に入りのアイテムを身につけて鏡の前でニコリと笑って家を出る。
「お気に入り」は最強のお守りだ。
「誰よりも」
誰よりも、私があなたのそばにいると思ってた。
誰よりも、私があなたを支えていると思ってた。
誰よりも、私が世界で1番あなたのことを好きだと思ってた。
誰よりも、あなたは私のことを好きでいてくれてると思ってた。
振り返ると、ひどい自惚れだ。どうしてそんなに自信があったのかと疑問に感じてしまう。
私の敗因はきっと、誰よりも驕っていて愚かだったことなのだろう。
「10年後の私から届いた手紙」
ポストを開けると、見知らぬ茶色い封筒が入っていた。差出人の名前は私。誰かに手紙を送っていたかな、と考えるが思い当たらなかった。最近は手紙を出すということもほとんどない。
恐る恐る封を開けると、それは10年後の私が書いた手紙だった。
10年後にもまだ手紙の文化がちゃんと残ってるんだな、と思いながら、不安とワクワクでうるさく鳴る心臓に手を当て、そっと開いた。