「やっと、休みだっ!」
俺は両の手を上に上げ体を伸ばす
朝早くに起き1LDKのマンションのベランダから日差しが入り清々しいよい気分だ
先週の休日出勤合わせて12日間ぶりの休み
俺はかねてから考えていた事を実行する
そうっ朝バーガー(ほか諸々の)どか食いだっ
悲しい事に今の俺にはこんな事ぐらいしかストレスの発散方法が無い……今んとこはな
俺は前日に買っておいたバーガー達を温める
この為に前日の食を制限していたからお腹ペコペコだ
食欲を刺激する匂いが俺を興奮状態にするもつまみ食いはご法度だ感動が薄れる
バーガー達を机に並べる
ベランダの光に照らされた机とバーガー達はもはや神秘的にさえ見えた
「場は整った(深呼吸)」
興奮を抑え、いざっ
「いっただっきま〜すっ!!」
ゴンッ
バーガー食おうとする手が口元ギリギリで止まる
目だけをベランダの方へ向ける
そこには口元に何かをくわえた鳩?が足を空に向けベランダでぶっ倒れていた
無視するか………………気が散るな
やむなくバーガーを置き窓を開けベランダに出る
「死んでる?手紙?」
手紙を取り鳩?を軽く突く
すると、死んだと思ってたセミが動き出すが如く鳩?が空へ飛んでいく
「うぉっ!痛っ!」
足をぶつけ悶絶する俺
「クソ鳥がっ!」
抑えていた足の痛みが引いて落ち着きを取り戻す
手元の手紙を見る次にバーガーそして、また手紙を気が散る一番の要因の鳩?はどっか行ったしバーガーを早く食いたい……けど
「流石に気になるよな」
俺は恐る恐る手紙開ける
『最初に、今君は混乱していると思う。がまぁ落ち着け変なものじゃない何故そんな事言えるかって?何故なら私は10年後の君だからだ。な、怪しいものじゃないだろ!
そんでもって早速だが今から最じゅ───────』
俺は手紙を閉じる
「ふ〜、何これ?イタズラ?10年後の俺?んなベタな話、怪しすぎる………もう少しだけ読んでみる〜?」
『最重要事項を伝えるお前の目の前にきっと猿モドキが現れるソイツにバーガーをあげろ、俺はそれは10年間ずっと後悔し』
再び手紙を閉じる
「貴重な休日の時間を無駄にしてしまった俺は何て愚か者なんだ、よしっバーガー食うか!」
俺は手紙を捨て念のため手を洗いバーガーの下へ早足で向かう
ピンポ~ン
家のベルが鳴る
「ウッソだろっ!無視だっ無視!」
家のベルが何度も鳴り続ける
「──ッ、分かった出る出るから」
俺は苛つきとあまりのバーガーの食べたさにバーガーの袋を持ったままドアを開けると
そこには広大な海とジャングルが広がっており理由の分からん動物の声や植物、木、空、まさに違う世界に来てしまったかのような光景
家に戻ろうと後ろにバックするもそこにはもう家がなく大きな木がそびえ立っていた
放心する俺
数分か何時間か分からないが我に返ると猛烈に腹が空いている事を体が訴えてくる
幸いバーガーの袋は手元にある
「取り敢えず食おう、うん、そうしよう、食ってから考えよう」
さっきまでマンションの自分の部屋があったであろう場所にそびえ立つ大きな木に背を預けバーガーを食う寸前
木の上から何かが降りてくる
「今度は何だっ!」
猿にしては目が大きく頭がデカい一言で言うなら奇妙な姿
じっと俺のバーガーを見てくる
「何だよ、俺のバーガーだっ!ぜっってぇにあげな─」
その時、手紙の内容がフラシュバックする
猿モドキ……猿モドキじゃね…コイツ
はぁ~、と俺は大きなため息をつき決心する
「バーガー食う?」
俺はバーガーを差し出す猿モドキは警戒しながらもバーガーの魅力には抗えなかったのか恐る恐る受け取る
うぁ〜、一口食った瞬間から目の色変えて食ってる〜
分かるぜその気持ち俺が食うはずだったバーガーが
そんな事、を思いながら俺は袋からしなしなになったポテトを取り出し猿モドキと並んで食べる
「ポテトうまっ、コレで良かったんだよな10年後の俺よ」
授業が終わり時刻は夕暮れ時他の生徒達は窮屈な一日に解放され和気あいあいと正門を出る
そんな中一人魔術学園の中庭に佇む私は手に汗をにじませながらある人を待っている
私の隣の席の男の子
ミドリくんだ
そう今日はバレンタインデー私は勇気を出してミドリくんを呼び出した
本当はこんな事するつもり無かったけど好きな気持ちが止められなかった。
引っ込み事案な私がこんな事するなんて今でも信じられないけど不思議と後悔はない
そんな事を思ってると中庭の木の陰から光に照らされたミドリくんが声をかけてきた
「ハルさん、ごめんね待たせちゃったかな」
「うっんん!大丈夫!」
慌てて声を出したから裏返ったっ!恥ずかしっ!
「で、今日はどうしたの?」
ハンカチで汗を拭きながら爽やかな笑顔で聞いてくるミドリくん
「あのっコレ渡したくて」
「僕に?」
「そう、ミドリくんに、今日バレンタインだから」
そう言ってお菓子の入った紙袋を前に出すと緊張から出た汗で紙がよれていることに気付く
熱かった体が更に熱くなる
気持ち悪いと思われたかも、引かれたかもそんな考えが頭によぎりミドリくんの顔を見れなくなる
「ありがとう、僕バレンタインの日に何かもらうの初めてだから嬉しいよ、本当すごく嬉しい」
そう言って私の手を躊躇なく優しく包み込み袋を受け取ってくれるミドリくん
「コレだけだから私もう行くね」
そう言って目も合わせず逃げるように中庭を後にしようとした時
「待って」
手を握られ止まる
「ハルさん、コレ大したものじゃないんだけど」
「えっ?」
手に温かな温もりを感じ振り返る
ミドリくんの両の手を伝って私の手に魔力が伝わってくる
淡い緑の光を放ちながらピンクのガーベラが花開く
「お返し」
そう言って優しい笑顔を向けてくるミドリくんに私は鼓動を抑えきれない
私は改めて思う
この人に恋してるんだと。