誰にも見せない、誰にも渡さない。
私だけの、動かない標本。
冷えた朝は、冬であろう。
凍えた朝は、雪であろう。
この季節は、どうにも苦手だ。
この季節は、寒がりには強すぎる。
遊べれば、それでいいけど。
遊べれば、何が起きるかな。
起きたら、どうしようかな。
起きたら、やらなきゃいけないけど。
溺愛され、
綺麗に整えられたミルキーホワイト色の髪
と共に、
少しぶかそうな麦藁帽子が風に揺れている。
知らない、
黄色い花弁が舞い上がり。
紺碧の空へと広がってく。
その後見えたのは、
月の光に照らされ宝石のように輝く赤い瞳と、
色白で艶のいい健康的な肌。
そして、どこか歪そうな。
銀で加工されたオレンジの首輪。
飛ばされないように帽子を持つ腕を動かせば、
容姿を際立たせている
純白のワンピースも揺れる。
それを着飾るのはオレンジ色のリボン。
軽やかに動くその足は、
ワンピースと同じ純白のタイツで隠れている。
金色に光る月がこちらを見て、
その一瞬を思い出した。
身体がこちらを向き、月の光が真後ろになる。
逆光になっても色褪せない笑顔の輝き。
寧ろ、金色の光を取り込む魅了も持っている。
あぁ、綺麗だ。
とても、美しい。
いや、美しかった。
だから、
だからこそ、
何をしてても、
どれだけ生きても。
影を照らす光は、
君は、
今。
そして、春は過ぎ去った。
そして、夏が来て。
そして、秋が始まり。
そして、冬が終わった。
そして。
季節は無くなった。
昔、聞かれたんだ。
「何のために生きてるの?」
って。
意図が分からなかったから。
「なんでそんなことを聞くの?」
って聞いた。
そしたら、
「意味なんて聞いてどうするの?」
って返ってきた。
ますます意味が分からなくて。
「意味なんてあるの?」
って。
堂々巡り。
どっちも答えないから、
何も分からないまま、
問のまま、終われないまま。
終わった。
終わらない問の答えは。
答えが無いこと。
答えが無くとも、問はできる。
だから、問だけ残る。
僕も考え続けなきゃいけないんだ。
どうして、生きているのか。
どうして、意味はあるのか。
どうして、何をするのか。
でも、答えはとっくに出てる。
考え続けても、
意味が無いって言う。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
難しいね。
答えを探そうとして問いをかけるのに。
答えが返ってこなくて。
でもその答えは自分で探さなきゃ行けなくて。
どこにも、正解なんてないから。
それでも 正しいこと はあって。
探すために先ず問いかけて。
経験と根拠があって答えがないとわかっても。
問いかけることはやめれない。
そうして、終わらない。
終わることの無い問だけが残る。
意味の無い無駄なことだって言う答えはある。
けれど、それは答えとは言わない。
それならば、何もやらないことが正解となる。
そうすると、ほら。
矛盾ばっか生まれてくる。
矛盾がないことが正解でいいことならば。
なぜ、矛盾が生まれるの?
そう、またこうやって。
答えなんてない、問が生まれる。
誰か。
説明してよ。