台風一過、は台風のお父さんとお母さんと子供がいると思ってた。
肋骨は左右に六本あるからろっこつと言うのだと思ってた。
そんな子供心の思い出が甦る。
可愛い勘違いを笑って思い出せる環境ならいいんだけど。
水に浸かった壊れた家電製品を運び出し、水で重くなった畳を引きずり出し、壁についた水位の後を見つけてため息をつく。
――これから再生の道が始まるのか。
いつか穏やかに思い出せる日が来るのか。
自然の猛威を改めて感じながら、二階にある非常持ち出し袋を探した。
空には虹がかかっている。
END
台風が過ぎ去って
見知らぬ土地にたった一人で
放り出されたような感覚。
泣きそう。
END
「ひとりきり」
赤、緑、青。
赤い花、緑の森、青い空。
赤い月、緑の星、青の闇。
赤く燃え、緑が消え、青く染まる。
赤ら顔の男が一人おりまして、緑の森に火をつけました。青い水は間に合わず、全て燃え尽き消えました。
男は真っ赤に泣き腫らした目で、残った緑の葉っぱを一枚拾って、青い月に翳したのです。
冷たい三日月はまるで愚かな男を笑っているようでした。
END
「Red、Green、Blue」
私の心のフィルターはとてもとても目が細かいので、
たった一人しか通さないのです。
あの人の他にも素晴らしい人はきっといるのでしょう。
あの人にも良くないところはきっとあるのでしょう。
分かっています。
でもそんな事は知った事ではないのです。
私にとって、あの人は天才で、気配りの出来る人で、世界に無くてはならない人なのです。
END
「フィルター」
「なんで仲間になってくんねーんだよー」
「食べながら喋んなよ。行儀の悪い奴だねえ」
「なあなあ、お前が仲間になったら百人力じゃねーか。仲間になれよー」
「だから無理だって言ってんでしょうが」
「なんでだよ。俺のこと助けてくれたじゃねーか」
「あのねえ·····」
「なんか仲間になれない理由があんのか?」
「逆になんで仲間になると思えるんだよ」
「だって助けてくれたじゃねーか」
「それとこれとは話が違うんだよ。ガキにゃ分からねえ事情があんの」
「分かんねえ」
「分かんねえだろうよ」
「仲間になれ!」
「命令するな」
「俺ガキだから分かんねえよ。分かるように説明しろ」
「仲間になれねえんじゃなくて、ならねえの。理由は色々。じゃあな!」
「俺は諦めねえからな!」
「·····逆になんでそんなに仲間にしたいの?」
「好きだからに決まってんだろ!!」
「··········バァカ」
END
「仲間になれなくて」