二面性

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12/14/2025, 6:35:08 AM

人の声が聞こえる。

今僕は演じている。

その演劇も今日で終わりだ。

上がった幕が降りるのは必然

心残りなんてない、と言ったら嘘になる。

もっとここに居たかった。

もっと笑っていたかった。

たった十数年。

されど十数年。

今度は君が逢いに来てね。

[遠い鐘の音]

12/11/2025, 11:41:14 AM

湿った空気が吐き出される度白く染まった。

幾度と無く夢見た世界は跡形も残さない。

その太陽に焼き尽くされたい。

会いに来て。

僕の体も心も溶かして。

溺れるほど遠くへ連れて行って。

[夜空を超えて]

12/10/2025, 11:53:57 AM

色白な子山羊。

幾度も見てきた憧憬に目を見開いた。

暖かい、震える身体。

ありがとう。

……ありがとう。

君の匂いが鼻腔に広がる。

零れそうな瞳を揺らして見つめる色が綺麗だった。

口内で君が跳ねるたび胸が脈打つ。

銀食器に鏡写しになった己を見下す。

まるで獣じゃないか。

…いや、獣だったのかもしれない。

[ぬくもりの記憶]

12/1/2025, 12:29:20 PM

自分の事が嫌いだった。

綺麗事しか吐けない。

本当はぐちゃぐちゃで汚いのに。

妄想で悦に浸ったことも一度じゃない。

人として生きることが出来ないから。

あまりに最低な選択しかしなかった。

いいのかなあ。

君の人生を奪っても。

星が、月が、綺麗だね。

綺麗でそれでいて残酷だ。

南の極の空で浮いている。

落ちている。

[凍てつく星空]

11/24/2025, 2:20:08 AM

大粒の涙を零しながら引き止める君。

僕だって本当は君と居たかった。

でもそれで不幸になってしまうなら、

なんて身勝手な酷い話だ。

何度も逃げればよかったと思った。

他にも手はあったんじゃないかと思った。

でも選択が全部最悪だった。

姉は逃げきれただろうか。

民衆が騒ぎ立てる。

生きたいな。

生きたかったな。

でももう僕は僕じゃないから。

さようなら。

[手放した時間]

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