触れた熱いくらいの感情がうねった。
弾けるように流れていった。
情熱も愛憎も全部捨ててしまった。
この姿なら愛せると思った。
固く閉ざされた記憶を融かす。
激流に溺れて沈んでいく。
思い、想い、憶う。
…重いなあ。
[降り積もる想い]
嫌い、好き、嫌い、大嫌い
触れれば触れるほど脆さも弱さも知っていく。
何を言えば喜ぶだろうか。
何を考えているのだろうか。
接していくうちに超能力者のように解っていく。
いつの間にか自分は相手に合わせている。
きっと嫌いなんだろう。
貴方も嫌いなのだろう?
嫌いなんて酷い仮面を付けて愛している。
嫌いとか言いながら好きだった。
そんなくだらない恋愛観の話だったりして
[心の片隅で]
衝撃音と共に欠片が舞った。
グラスが割れてしまうのはこれで何度目だろうか。
考え事なんてするもんではないな、なんて思った。
どうしようもないことを妄想して悦に浸っていた。
円環をなしたループとやらの外にいる我々。
コンマを刻むごとに増えていく。
夢とはその数値を繰り返して覚えていくものだ。
そして覚えた先で人間は___
暴走し始めた思考にやっと気づき首を振る。
眠っている横顔にかかった髪を払いもせず眺めていた。
どんな記憶を反芻しているのだろう。
起きたらきっと、忘れてしまう。
[君が見た夢]
あ、死のう。
ふと思うには暗い想いだった。
今までの自分は死んでも後悔しなかっただろうか。
まともに生きることを勧めるくせして束縛は強まる。
結局人間は本能でしか自分を証明できない。
性欲の傀儡になろうが周りを淘汰しようが本能なのだ。
A どうしたの?
B 死にたい。
A 死にたいの?
B いや、生きたい。
嫌いなものは捨てて好きなものは籠に入れる。
そんな価値観を眺める第三者が自分だと思い込んでいた。
神に成りたかった。
[明日への光]
遥か彼方から眺めていた。
結末がどうであれ結局それはそうなのだ。
なんて短い生だろうか。
何かを成すには余りにも短いくせして、
何もなさぬには余りにも長すぎる。
30億秒の時間が全て泡となり消えるのだ。
幾度となく過ぎていくこの時間が今はただ、
余りにも苦しかった。
[星になる]