たろ

Open App
1/13/2026, 9:44:33 AM


「ずっとこのまま」

ずっとこのままなんて有り得ないし、何もしなくても時は過ぎて行くけれど、それだけではダメな事も知っている。
何かと繋がっていないとヒトのカタチを保てないのも事実。

あぁ、それでも。
どうか神様、お許しくだい。
もう少しだけ、このままの空白を漂っていたいのです。

ゆっくりとを溶ける時間を、この心の為に。
散り散りになってしまった、わたしを取り戻す為に。







※閲覧注意※
幼馴染シリーズ。
オトナの時間、継続中です。



【ずっとこのまま】

その人は、理性的で真面目。
自分自身を律する事が出来る賢い人。
そんな人でも、人間である。
人よりは少し薄いらしいけれど、きちんと欲も望みもある。

夜と言う、惑いの時間の力を借りて、その人の願いをそっと叶える。
そんな風に言い訳をして、抑えきれない自己中心的な欲望を、相手に宥めてもらうばかりで。
自分が情けないやら、涼しい顔ですましている相手が憎らしいやらで、内情はグチャグチャなのだ。

「カズ…。も、少しだけ、このまま。」
熱で潤んだ色素の薄い瞳が、籠もる熱を吐き出す紅い唇が、ひたりと吸い付く肌が熱を伝えてくる。
「…かっちゃん?ずるいよ、そう言うトコ。」
日頃、我慢できるせいなのか、まとめて請われたりするものだから、ついつい歯止めが利かなくなる。
「オレは、ずっとこのままが良い。」
首を傾げるあなたが愛おしくも憎らしくて、力いっぱい抱き締めた。


1/11/2026, 10:38:55 AM


※閲覧注意※
幼馴染シリーズ。
ちょっとオトナの時間です。




【寒さが身に染みて】

寒がりな人が、温もりを求めて近付いて来る季節が来た。

『今週末、爆弾低気圧が近付いて来る予報です。最大級の備えをして下さい。生命を守る行動をお願いいたします。』
冬将軍や大寒波の到来を告げるニュースが、テレビやラジオから流れている。
「湯たんぽ、電気アンカ…。厚い冬用掛け布団…。出して置くかぁ。」
家に籠もる用意と称して買い込んできた大量の食料品を仕分けながら、独り言を漏らす。

「よいっしょ!」
掛け布団を出していると、炬燵の住人と化していた寒がりさんが、のそのそと出て来たらしい。
「…カズ、寒い。」
炬燵脇に置いていたブランケットに包まって、掛け布団を出している背中にぽすりとぶつかってくる。
「暖房入ってるし、冬の掛け布団出したよ。温かい飲み物飲んで、少しお昼寝する?」
湯たんぽも入れようかな、と考えていたら、背中に頷く気配が触れる。
「カズ、も?」
眠たげな声が揺れて、背中からブランケットが包むように抱き締めて来る。
「っ!…うん。一緒にお昼寝、しよっか。」
眠気でポカポカと暖かい温もりを背中に感じながら、そのまま寝具に倒れ込むことにした。
「ねぇ?かっちゃん。」
ブランケットを下敷きにして、冬用の掛け布団を被って寒がりなあなたに覆い被さる。
「ん、あっためて。」
首裏に絡みつくあなたの腕に絡め取られるまま、吸い込まれていく。

1/11/2026, 7:09:22 AM


「20歳」

動く度に翻る長い袖。
美しく凝った意匠が施された、言祝の着物。
新たな門出と、ここまで良く育った証とを祝う、愛に溢れた形。
その愛が包む愛し子を慈しむ両親や兄弟姉妹、また先達たちがいる。

この門出の先に、幸多からんことを願う。

1/10/2026, 12:51:47 AM


「三日月」


『天体観測には、三日月くらいがちょうどいい。明るすぎないし、暗すぎないから。』
明るい声がそっと教えている。
「新月は、暗すぎちゃうか…。三日月は、おばちゃんも好きだなぁ。」
満月に近い大きな月を見上げながら、優しい気持ちが溢れる。


1/7/2026, 10:32:13 AM


【雪】

雪やこんこ、霰やこんこ。
降っては、降っては、まだ降り止まぬ。
犬は喜び、庭駆け回り。
猫は炬燵で丸くなる―――。


炬燵から出て来ない、色素の薄い髪。
窓硝子に張り付くようにして外の景色を眺め、お行儀良くお座りしているのは、金色の毛並みを持つ優雅な貴婦人。
「寒いねぇ。雪は降ってるかい?レディ?」
貴婦人の背中に声をかけつつ、温かい飲み物淹れたマグカップを炬燵の上に置く。
「柚子の蜂蜜漬けのお湯割り。熱いから気を付けてね。」
ひと口すすってから、貴婦人の左隣に陣取る。
「わふん。」
ふいっと貴婦人が踵を返した。チャッチャッと床を鳴らしながら、炬燵と一体化したモノに近付く。
「…ぅん?アリア?」
炬燵から這い出して来る色素の薄い髪が、フワフワと揺れた。
「くぅ~ぅ。」


Next