太陽のような
彼女は太陽。
明るく輝いて、みんなを照らして、
人に暖かさを与えられる。
そんな太陽に惹かれた。
異常な程に眩く光って人の目を奪う。そんな太陽。
けれどもその太陽は人の身を滅ぼす太陽だった。
人に受け入れられないほどの純真、という明るさ。
人を焦がしてしまうほどの熱、暖かさ。
誰にも受け入れられなくなってしまった太陽。
でもわたしはそんなの気にしないもの。
その光度も、熱も、全部。
誰にも受け入れられなくたって、
何十年何百年何十億年かかろうと、
わたしがあなたを吸い込んで食べちゃって、
それで、ひとりにしないであげるから。
だから、だから人に愛されたいからなんて、
薄っぺらな理由であなたを捨てないで。
あなたは太陽。
太陽のような。
10年後の私から届いた手紙
拝啓、10年前のわたしへ。
お久しぶりです。というのも変ですが。
2026年2月15日、あなたは今何をしていますか。
どんな悩みを抱えて、何を楽しみにしていますか。
といっても自分の事なので聞かなくてもわかる事なのですが。
あなたは今、ちょうど10年前に─
2016年くらいかな、に戻りたいと思っていると思います。
それか4年前かな。
だってそうすれば全て元通りにできるかもしれないから。苦しみの元をすべて絶てるかもしれないから。
引っ越さなくて良くなって、
転校もしなくて良くなって、
いじめられることもなくなって、
兄に首を絞められることもなくなって、
父さんが死ぬこともなくて、
母親が彼氏を作ることもなくなって、
その彼氏に癇癪を起こされて怒鳴られることもなくて、母親が人間じゃなくなることもなくなって。
他にもいろいろあるけれど、そういうものを全部、無かったことにして、そういうものが起こらない世界で生きれるかもしれないから。
苦しくて、苦しくて、苦しくて。
辛くて、辛くて、辛くて。
悲しくて、悲しくて、悲しくて。
悔しくて、悔しくて、悔しくて。
死にたくて、死にたくて、死にたくて仕方ない。
でも怖くて死ねないから、
生きたくて、生きたくて、生きたくて仕方ない。
だけどかわいくも面白くもなくて、
なんの取り柄もなくて、人から愛されなくて、
なんで生きてるのかわからなくて。
楽しくもなんにもなくて。
ただただ死ねないから生きているだけで。
誰かの足枷にしかなれない、迷惑にしかなれないいらないものだから、死ねなくてもどうにか死んだ方がいいのかもしれないと思っているでしょう。
でも、10年後のあなた─わたしは今、楽しいです。
人と喋るのが楽しい。
働くのが楽しい。
本を読むのが楽しい。
映画を観るのが楽しい。
バドミントンをするのが楽しい。
絵を描くのが楽しい。
色んなことが楽しくて仕方なくて、生きるのが楽しくて、生きたくて仕方がないです。
あなたが生きるという選択をしてくれたから。
どんなに苦しくても、どんなに悲しくても、辛くても、もうだめだと思っても、刃物を身体に突きつけそうになってしまっても、何も楽しくなくても。
それでもあなたが生きてくれたから。
最低でもあと5年、耐えないといけないでしょう。
寮付きの高校は高くて入れないし、一人暮らしなんてもってのほかだし、高校を出るまで家から逃げられないから。
多分、人生で1番長い5年間だと思います。
それでも耐えてください。生きてください。死なないでください。
その先はきっと、あなたが楽しいと思える未来だから。
耐えられなくなったら、もうだめだと思ったら、この手紙を読み返して、どうにか耐えてください。
わたしはあなたを必要としているから。
あなたには生きている価値があるから。
生きてください。
10年後のあなたより。
安心と不安
君はいつも、ほんとうは私は君を愛していないんじゃないかなんて言う。
心外だなぁと思う。
私はこんなに君を愛しているというのに。
たしかに少し言葉に出すことは苦手だけれど。
…………。
でもしょうがないじゃないか。恥ずかしいものは恥ずかしい。
いつも言葉に、態度に、私への思いを滲ませてくれる君を愛おしく思う。
そのおかげで私は不安なんて感じたこともなく、毎分毎秒君に愛されていることを自覚して安心している。
だけどきっと君は違うのだろう。
言葉にも、態度にも、あまり出さない私を見る度不安になってしまうのかもしれない。
でも、私だって何もしてないわけでもない。
私が買う本は大抵スピンが着いているけれど、君から貰ったからしおりを使っている。
私はネクタイをつけてはいなかったけれど、君から貰ったタイピンをつけるために付け始めた。
今まで辛口だったカレーは、君が甘口が好きだと言っているのを聞いてからずっと甘口で作ってる。
好きでも嫌いでもないけれど、いつ来てもいいように君が好きだと言っていたから同じアイスを常備するようにしてる。
私の趣味じゃない置物も、アクセサリーも、ストラップも、料理も、何もかも。
私の生活が、少しずつ君に傾いていて。
必要ではないのに無駄なことだってしてしまう。
君に合わない日も、毎日私のどこかに君がいる。
でもやっぱりそれで満足してくれとは言えないから、君をちゃんと安心させられるよう、君にちゃんと言えるよう、練習しておくよ。
安心と不安。
美しい
綺麗だと、思った。
美しいと、そう思った。
それはきらきらひかる宝石でもなく、
色とりどりの花が咲く花畑でもなく、病室のベッドの横に座り歌う君の横顔。
自分は耳が聞こえなくなってしまったから分からないけれど、本人や共通の友人から聞いたところによるととんでもなく音痴らしい。
だけどきっと、私はその音痴な歌声が聞こえていても同じことを思った。
こんな部屋なのに、どんなに一生懸命歌ったって、たったひとり隣に横たわっている人間にその声は聞こえないのに。
何よりも楽しそうに、一生懸命、全力で歌って聞かせようとしてくれる。
ああ、君はどんな声で、どんなふうに音を外してるんだろうね。
見えるだけでいいと思っていたけれど、どんなに下手くそだろうと、君の声を聞いてみたくなった。
もうじきその声はもってのほか、唯一見られる君の横顔すら見えなくなってしまうのだろう。
その美しい顔で、君はどんな声で歌うんだろう。
もう二度と、私の耳に音は帰ってこないけれど。
どうか、君はずっとその美しい横顔のまま、歌い続けて欲しい。
来世はきっと、美しい君の声を。
美しい
星に包まれて
幼稚園とか小学校で書かされるプリントの将来の夢の欄には、いつも迷わず同じものをいれました。
それ以外になるつもりなんてなかったし、なれない可能性があるなんて考えなかったからね。
ここまで聞いたら大多数の人は察しがつくと思うんですけど僕、その先、その夢に向かい始めたらまあー上手くいかなくて。
結局、夢見たことを本当に未来にできる人なんてたったひと握りの超新星。
その光に当てられて、眩しくて耐えられなくて逃げていくやつなんてその星の中には居られないわけです。
でも星にならない水素やヘリウムガスも、ちゃんとどこかで星以外の役割が与えらますけどね。
あ、もう時間ないや。
えーと結局何が言いたかったかっていうと、
一旦目塞いでみてもNDフィルターのメガネかけてもいいから、とりあえず眩しさに負けるな諦めんな頑張れってことです。
いやここだけ聞くと薄っぺら!って思うかもしれないんですけど。
元からの才能なんてなくていい。
技術や知識なんてやる気があればどうにかなる。
自分には敵わないような星に包まれたって、それでも眩しさに負けなかったらどうにかなる。本当に結局諦めなきゃどうにかなるよってことです。
次の試験がえー、3年後くらいかな。
もし今眩しくてだめだって思ってたら、とにかく目瞑っててもいいから進んでみてください。
もう打ち上げの時間だから行かないとなんでね。
以上、宇宙飛行士のおじさんでした!
星に包まれても