『枯葉』
さわさわ鳴る振袖草が
沈む夕日を見送っている
くるくる落ちるもみじ葉が
かさかさと音を立てて
風下に積み重なっていく
払っても払っても
掃いても掃いても
次々風に流されてくる
いっそ燃やしてしまおうか
もう構うことは無くなるだろう
ふと遠くの山を見た
燃え盛るような
赤と黄の着物を着た山が見えた
僕が燃やす必要はない
自ら燃え盛り生きている
見上げた空はどこまでも青く
それで頭を冷やすことにした
『今日にさよなら』
明日は明日の風が吹く
そよ風か
暴風か
竜巻か
明日にならないとわからない
今日は今日で風が吹いた
それは柔らかな風だった
今日の風が続くよう
明日の自分に襷を渡す
『お気に入り』
その辺で拾った小石や小枝
風に乗ってきた淡い花弁
打ち上げられた丸っこいガラス
大事に箱にしまっていたのに
どこで無くしたのだろうか
子供の頃の思い出と共に
確かにここにしまっていたのに
仕方ない
もう一度集めに行こう
そして今度は
思い出と共に
心の棚に飾っておくのだ
『誰よりも』
死者は山に帰るのだと
太古の人はそう言った
星となって見守ってくれている
そう唱えた人もいた
全ては無に帰ると
そう説き回った人がいた
墓の中にその人はいないと
そう歌った人もいた
ならば今
君は一体どこにいる?
誰より想っている自信はある
無から有が生まれ得ると
そう発表した学者の言葉を
薄ぼんやりと信じている
『私から届いた手紙』
ポストに入ってた古びた封筒
忘れてた記憶を呼び覚ます
中に入ってた手紙には
褪せた数枚の桜の花びら
パリパリに乾いた茶色の欠片が
セピア色から色づいていき
記憶の中の桜が咲いた
手紙に書かれてた名前は
まごうことなき自分の名前
『10年後の私は何をしてる?』
それには返事を書けそうに無い
でも
水墨画のような心の中で
桃色の雫が広がっていく
10年後の私宛には
なんとか言葉を紡げそうだ
部屋に埋もれていた封筒に
同じ言葉を書くことにした