馬鹿馬鹿しい、と白い煙
薄ら霞みと硝子の向こう
何処か剣呑な黒い瞳
良いじゃない、と白い唇
曇り重なる透明樹脂
僅か和ませた緩い笑み
永遠を誓った金の色
幸福を希った対の証
明日終わってしまうなら、
もう二人で居れぬのなら、
共に終わってしまえばと
共に来世を願えばと
<明日世界が終わるなら>
桜の花びら
夜空の火花
暖色の落葉
染めゆく雪
君はいつも隣に居た
いつも居てくれた、から
君の居なかった日々も
とうに思い出せなくなったというのに
墜ち逝く桃花
俯く向日葵
見返られぬ木犀
頸落つ椿花
どうしてこの足は立ち上がれぬ
どうしてこの目は未来を見れぬ
どうして、君は
<君と出逢って>
おいてかないでと声がする
一緒にいてよと声がする
僕はそれに答えられない
僕はそれに応えない
一人にしないでと声がする
何処にいるのと声がする
僕は口を開けない
僕は声を出さない
置いてきた友の誰とも
一緒に居た友の誰とも
それは誰とも違う声
先行した友の誰とも
見失った友の誰とも
それは誰かも分からぬ声
気付かれては生きられない
ナニモノカの声がする
<耳を澄ますと>
ころり、と彼女が私にくれた
きっと素敵よと彼女が笑った
それを甘いと呼ぶのだと
それを赤いと呼ぶのだと
彼女と私が であることを
それが 事であると
私達は、知ってはいけなかった
蛇よ、知ってはいけなかったのだ
<二人だけの秘密>
ぱちり、と張られる頬
君は困ったように笑っていた
「駄目だよ、こんなことをしちゃ」
私は黙って手を見下ろした
悲しくて手を見下ろした
「悪い子を誉めたらいけないよ」
痛みのない頬を撫でる君
水面みたいに優しい君
君に正当な言葉を伝えるだけのこと
どうしてこんなにも難しい
<優しくしないで>
始めは一つの声でした
ゆるりゆるり伸びていく声が
重なるのも直ぐでした
高くは弾み 低くは奮わせ
重なり合って色をなす
それは一つの歌でした
弦を叩いた優しい響き
革を叩いた重い衝撃
金を叩いた煌めきの波
木を叩いた暖かな転がり
歌に寄り添い色を染める
それは一つの曲でした
並ぶ足裏が地面を擦り
張られた生地の一揃い
拍子を取る手 骨鳴る指先
曲と共に物語を成す
それは一つのステージでした
やがて床も笑いだし
壁もぽろぽろ震わせる
拍手代わりを降らす屋根に
遂に柱は悲鳴を挙げ
それは
それは一つの心中でした
<カラフル>