懐炉 @_attakairo

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12/20/2025, 12:00:53 AM

「何してる」

「初雪が……」

 雨模様を気にするように手のひらをかざして、そんな彼にならって男も隠していた両手をさらして。

「初雪か」

 春の綿毛とも区別のつかない、ちいさなちいさなひかり。
 別段発光していなくとも、見分けられるのはそのおかげ。瞬くようにちらちらと。
 閃くようにぴかぴかと。
 現に彼の瞳をみれば、贈り物を授かるようなひかりかたをしている。

「すごい」

 どうしたと尋ねる前に、「みてよこれ」と差し出され。
 手ぶくろのうえには、ちいさなちいさな晶のもと。

「凄いな」
「すごいです」
「綺麗だな」
「きれいですね」

 おそらく以前も二人で見た光景を、交わした言葉をなぞらえる。
 あの時はたしか、こうだったか? 男が再度手をかざした。
 贈られるひかりはちらちらと乗り、瞬くまに姿を消す。

 くくくと彼が笑った。
 その暖かく包まれた手のひらを見て、男は口を尖らせ、笑った。

【手のひらの贈り物】

12/19/2025, 9:57:08 AM

強い思いに苛まれたって いいうたは浮かばないんだって
だれか私に言ってください お前の情緒に関係無いって

邪魔だって追いやられたって被害者面して居座ります
どうか私に言ってください お前の人生に興味無いって

帰り道に浮かびつづける言葉の端々や
涙とともに流れる記憶
うずくまって書き殴るうた
解読不可能でしょうけど何が書いてあるかわかります
翌日には感情だけが残っているから

削る技術が到達地とは 余韻が残れば全て良しとは
評価するに値するにはこの場に居なければなりませんか?
本当は私をみないでほしい
つくったそばから飛び立ってゆく
どうかあの点に目をやって

【心の片隅で】

12/17/2025, 12:18:31 PM

 若くして亡くなった祖父が名付けたんだと。桜の散り始める時期にまた、なんで。もっと季節に合う名にしたらいいじゃない。周りは必死に止めたけど、祖父は譲らなかったらしい。
 黒々と染まった和紙に白一文字、飛び出す勢いで書されたと。これ見よがしに掲げては、何も語らず晩年を迎えたとか。


 雪見障子から思い出す。
 生前積み上げた人望を最後の最後に荒削り、そこまでして祖父が譲らなかったもの。

 雪とは祖父のなんだったろう?

 私は祖父のなんだったろう。産まれて内心は喜んだのか、疎まれたのか。いくつ季節が過ぎ去ればこの心情も変わるのか。

 障子窓から何が見える。思い出には何が映る。

 桜とは祖父のなんだったろう。

 散り際のもの悲しさと、去り際のみすぼらしさと、宙を舞っては歩を彩る地続きの刹那さと。

【雪の静寂】

12/16/2025, 12:36:03 PM

 年 月 日(☂) : 
朝、ねぼうした。先生におこられた。
給食のカレーはおいしかった。おかわりした。

 年 月 日(✸) : 
みんな同じクラスだった! 神!
はじめてヒゲそったら口のはじが切れたっぽくて、地味に痛い。

 年 月 日(★) : 
今夜は流星群だって。わざわざ外に出るのめんどいから、もう寝るけど。

 年 月 日(✸) : 
来年は受験生かー。もっと遊びたい。
数学のテストは意外といい点とれた。


『()内は天気を書く欄ではありません。』

年 月 日( )✸:☂
なんか、どっかから落ちる夢みた。からだバラバラになってて「やば!」っておもったけど、ぜんぜん痛くないし、今思えばそっちのほうがやばかった。

 ✕✕、ありがとう! ずっと間違えてた。
( )には何を入れたらいい?


『私は✕✕ではありません。()内への記入の必要はありません。』

 年 月 日( ) : 
また同じ夢見た。すごく高いところから落ちてる。
受験やだな。

 ごめん。なんて呼べばいい?
 あと、天気はどこに書けばいい?

 年 月 日( )☂:
また落ちた。場所は覚えてない。


『天気を書く必要はありません。』

 年 月 日( ) : 


 年 月 日( ) : 
雨がふってて寒い


 年 月 日( ) : 


 年 月 日( ) : 
まだ落ちてる


 年 月 日( ) : 


 年 月 日( ) : 


 年 月 日( ) : 


『人生を記録する必要はありません。正確に夢の内容を書いてください。』

【君が見た夢】

12/15/2025, 2:12:29 PM

なにが不安?
言葉にするのもつらい様子。
その顔をよく見せて。
それから溜息。大きく吐いて。

なにか思い出した?
それは走馬灯では懐かしく感じるかもしれないし、
誰の人生にも記録されない虚像でしかないかもしれない。

なにもしたくなくて、ここにいる?
存分に。
身が朽ちるまでいたらいい。
ともに朝日を浴びて化石になって、粒子に還って波に乗ろう。

明日は宇宙へ旅に出よう。

変更線の無いばしょへ。なにを持ってく?
なにが大切?
この際だからおもい荷物は捨てていこう。
旅に不安はつきものだから。
思えば、ここも旅先だから。

【明日への光】

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