懐炉 @_attakairo

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12/24/2025, 4:33:19 PM

どうりで羨ましく感じるわけね
思い出を残さないと得られないのよ

残すほどの事でも無かったものね
それを大切に仕舞っておくのが
どんなに難しいったら

わかる?

誰にも言ったことがないから
誰も知らないでしょうけど

もう過ぎてしまった事を思うと
もやがかかって時間がとまって

すぐ引き返すの

あたしずっと欲しいものがあるみたい
でもそれら全部捨ててしまった
人でなくても良いのなら
この縫いぐるみの感触に似てる

【遠い日のぬくもり】

12/23/2025, 12:21:03 PM

 ポトポト。
 ぽたぽた。
「うーん」
 てりてり。チルチル。
「ちがうのよ」うんうん悩む腕組みの子。
「もっといいのがあるはずなのよ」
 あたまをつかって! 帽子のポンが、ふわふわたむたむ。
 周りの子らも、ぽてぽてわやわや。
「まーだきまらないの?」
「あのねあのね」
「こんなのがすきー」
 危ないから近付かないで。
 両手の囲いをそっと建設。よじ登らないで。
「みえないもん」「ねー」

 …………。

 ゆらゆら。

「それなのよ!」
 ビシッと決めて、くるりポージング。「きょうからこのこはゆらゆらなのよ」
 ぱちぱちパチパチ、わあわあキラキラ。騒がしい夜。
 満更でもないけれど。

「さあみんなでわになっておどるのよ」

 つくえのうえの、ちいさなせかい。
 キャンドルも語源も通じない世界。
 より共感を得られたものの重複した名が決まる世界。

「とってもきにいったのよ」
 ふんふん歌って影揺らすから、水を差さずに見守った。
 卓上ツリーは無くたって。
 ひとりでは居られない夜。
 
【揺れるキャンドル】

12/22/2025, 11:55:32 AM

どうでもいいことが頭の中を、ぐるぐると。
浮かんでは繋がらずに消えてゆく。

本当に行きたいところへ足が向かない。

『寄り道するのも良いもんだ』
 面白いことに出会うから。
あの人が云っていた通りには、なかなか。そう上手くはいかないもので。
『何も考えずに進むまで』
 人生に石橋を叩く暇も無い。
あの人がつぶやいた真理にも、なかなか。たどり着くには長すぎる。空を仰いで。
 ……目を細める。

 遠く、飛び石の隙間。
 天使の梯子が降りている。

「ぼーっと突っ立って、なぁに考えてるの」

向こうから翠色のうちわ片手に、ぴょいぴょいと。
ゆたりと扇げば神楽鈴。
「ふたつ曲がれば逢えたのに」
 ね、なにをかんがえていたの。

いいえ何もと応えておく。ふぅんと関心の途切れる声。
「ほんとうに惜しいのに」

 あの橋を渡りましょ。
うちわ指すほう、見落としていた抜け道が。にやりと天使の口元が覆い隠され。

【光の回廊】

12/21/2025, 11:16:57 AM

自分で思ってるより広くはなかった
最初から容量も決まっているし
せめて目盛りがついていれば対応だってできたかも

そう 気づけなかったことが敗因
日ごろ意識しないでしょう
吸っている空気の重さだとか
計測する機会もなかなか無いし

だから仕方がないって諦めてる
時間は巻き戻せないものだし
ひっくり返しても循環しない
ほら 漏斗口を見上げてみてよ
ドロドロしていて落ちきらないでしょ

【降り積もる想い】

12/20/2025, 3:56:56 PM

 姿見の前で裾をつまむ。
 爪先を引いて、もう何度目かの印象練習。

 ――とっても素敵よ! ほら、やっぱりこの色が似合うでしょう?
 叔母の称賛が過ぎっても素直に受けとめられなくて。
 次にくる言葉は決まっているから。

 ――ああ、姉さんにも見せたかったわ……

 鏡と写真を見比べる。
 棒立ちになれば、途端にうなだれる肩と首。
 対して貴方の、気品にあふれた佇まい。

 悪気がないのはわかってる。それでも重くのしかかる。
 今の娘の姿を見たら、どんな顔するだろう。赤子のままでいられたら、どんなに幸せだっただろうか。
 周りの賛辞を真に受けてでも胸を張っていられるように、冷ややかな視線に微笑む努力がいつかは実を結ぶように、
 写真の前で一歩下がって礼を尽くす。
 脚はいまだに震えるけれど。


「まあ、こんなところにいた!」
「叔母さま」
「探したのよ。もうすぐ迎えが来るはずだから……あら」
 ――じっとしていて。
 すると、からだのあちこちに手が伸ばされ。
 編み込まれた髪や襟元、裾のレースや飾り物。引き締められ、整えられ、終いに背中を軽く叩かれ。
「猫背が直ってないわよ」
 叔母の動作は手慣れていて、
 そしてなぜか、
 遠くの日々を懐かしむような優しさがあった。

 急かされるまま歩き出す。
 今夜もし上手くいかなくても、貴方に報告できる気がした。

【時を結ぶリボン】

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