真夜中、世界は昼間とは別の顔をする。
月の輝く深夜0時。白い夜を照らす光は天頂に達し、ひとり歩く僕を照らす。僕は明かりを持たずに歩く。
目的地は静かな丘。さわさわと葉ずれの音がする。こんな夜は妖精にでも出会えそうだ。妖精の宴はミッドサマーナイト、夏至の夜中だったかな。残念ながら夏至には少し遠い。夜の空気は冷たくはないが、日中を忘れるくらいには涼しい。
丘の小径で僕はオカリナを吹く。
家ではうるさいと言われて練習出来ないし、僕の音楽を好む性格にも、親兄弟は否定的だ。もっと快活に動き回れと干渉してくる。僕は静かな丘でオカリナを吹いているこの時間が大好きなのに。
息を潜めて小動物が聞いてくれる中、僕は一曲吹き終えて、頭を下げた。
【ミッドナイト】
瞬間湯沸かし器のようにDVが激しく過保護過干渉な父と、全く自分の子どもに興味のないネグレクト気味でワーカホリックな母。
父の罵詈雑言と怒声から逃げるように家を出た。
母は無関心だった。
交渉の結果、大学は辞めずに済み、バイト禁止の条件で仕送りをゲットして、一人暮らしを始めた。
炊いたごはんをその日に食べられる安心感。傷んだおかずが食卓に並ばないのが、怒鳴って暴れる人がいない食事時が、こんなにも穏やかに感じられるとは。
でも同時に不安が強かった。全てを先回りされていたわたしは、二十歳にして、レタスや卵の買い方もわからなかったのだ。スーパーには行けるのだが、どこに何があるのか、最初はオロオロし通しだった。
【安心と不安】
写真が嫌いである。撮るのはまだしも、撮られるのが大嫌いである。
わたしは夜目がきく代わりに、日の光に弱かった。でも大人は子どものわたし達を撮ろうと並ばせる時、日の光に向かって立たせる。自然、顔をしかめて写る。
だからわたしは写真でいつもブサイクになる。
いや、元からブサイクだけど。目を細めるので顔がくしゃくしゃになり、鼻の穴だけが強調されてしまうのだ。だから、順光で撮られるのは大嫌いである。しかし逆光では影になるので、撮る人から難しいと言われてしまう。
まだ、カメラで、露出を弄ったりして撮影していた頃だった。
【逆光】
おはよう。
布団から出ると朝ごはんの良い香り。
パジャマを着替えて、家族で食事。
みんな、にこにこ。
今日の予定はこんなだよ。
昨日はこんなことがあったよ。
うんうんと耳を傾けてくれる両親。
時にツッコミを交えながらも助言してくれる兄。
穏やかで、優しくて、何も起こらない一日。
そんな日が、一日でもあれば良かったのにな。
【こんな夢を見た】
お題を見た瞬間連想したのは勿論、机の引き出しから出てくる子孫である。漫画のほうね。
わたしは謎に思ったのだ。セワシくんはのび太くんとジャイ子ちゃんが結ばれた結果の子孫のはず。のび太くんとしずかちゃんが結ばれてしまったら、セワシくんは生まれなくなってしまうのではないか、と。
歴史改変をするとタイムパラドックスが生じる。
その、今で言う改変された世界線に、セワシくんは何故存在し得るのかと。
誰かこの謎を解いてください。
【タイムマシーン】