こんなことをする年じゃない
そんなことを考えながらも
いつの間にか私はブランコに座っていた
木の葉が重なる音だけが流れる
真昼間の公園
地面に足先が着きながらも
ゆらゆら自然と揺られる感覚は
コンビニで適当に買ったホットスナックに
少し特別感を与えた
幼い頃
私は親と公園で遊んだ後
コンビニに寄ることが多かった
会計をする親の横に立ちながら
横にあったホットスナックをただ見上げていたのを
ふと思い出す
性格的に強請ることはなかったが
当時の私にとってはとても魅力的なものだった
だが、今は当たり前の物だ
手作りをするのも面倒だからいつもと同じものを買う
無機質なサイクルかもしれないが
それもよく考えれば
小さい頃のちょっとした夢だった
そういえばブランコも
乗りたかったのに言わなかったんだっけ
今日食べたホットスナックは
いつもより少し味が分かる気がした
感覚はとうの昔に無くなっていた。
手を擦り合わせても
それが自分の手だとは認識出来なかった。
「まだ起きてる?」
彼女の腕が少し動いたように見えた。
ここから見える景色は
これ以上に無いほど白く、荒く、我々を突き刺している。
「 」
ああ、肺がダメになってしまった。
ふと彼女の方へ顔を傾けると
彼女も少しこちらに傾きながら
分厚い手袋を着けた手をこちらに倒してきた。
人気もない、音も聞こえない雪山。
我々が白い衣に包まれても
その手とこの身体の間に挟まることはなかった。
私は幸せ者だった。
さいごの温もり
あと少しだ
あと少しだって
何回言うんだ
もう足も棒みたいで
息も絶え絶えで
もうやめようって言おうとした
でも
君のそんな顔を見たら
そんな声をかけられたら
あと一歩だけならって
幾度も思ってしまうんだ
深夜に床に倒れ込んでからどれほど経っただろうか。ふと、重い頭を窓の方に向けて見ると、カーテンと壁の隙間からは、黄色の柔い光が溢れ出ていた。
寝てるのか起きてるのかも分からない時間は、長いのか短いのかも分からなかった。
僅かながら意識がはっきりしてきたところで、私はなんとなくカーテンを開けた。
眩しい。
様々な障害物に妨げられながらも、太陽は私の目を一直線に刺してきた。
太陽が昇ると同時に鳥が朝の挨拶をする。さっきまでは闇と化していたであろう街並みは、それを忘れさせるかのように太陽の光を反射していた。
強く光り輝く太陽は、一日の始まりを知らせる。
今日も終わらない今日が始まった。
「もし、世界中が私達の敵になったらどうする?」
「そうだな、難しい話題だ。でも、僕は必ず最初に君を殺すよ。その後は、まあ、どうにかするさ」
「ふふ、適当なのね。でも、私、貴方の手で最期を迎えられるなんてとても嬉しいわ。私も貴方を殺した後どうしようか考えていたの」
「はは、なんだ、僕たち相思相愛じゃないか」
「だって、貴方の最期は誰にも渡したくないもの」
「僕も、君にそう思っているよ」
「そうね、もし私が貴方を殺したら、人のいない、深い、静かな海に沈めてあげるわね」
「それじゃあもし僕が君を殺したら、誰もたどり着けない、広い、綺麗な花畑に埋めてあげよう」
「ふふふ、嬉しいわ。そうだ、約束しましょう。先に殺した方が、絶対ね」
「ああ、約束しよう。絶対だ」