🌿みなさん、こんばんは🌿
前回おとどけした詩はいかがでしたでしょうか。なかなか読み難いところはおるとは思いますが、皆様の自由な想像と解釈で楽しんで頂けたら嬉しいです🍀
ーーということで、本日もどうぞ🍊
『掌に残る空』
白綿を見下ろす山麓で
深い皺に痍相を魅せる
老相の師
老の背中や健丈に
象皮を様した先指は
隆々の山峰の
尾根に見る
人肌の上風が
礫岩の肌を這い上がり
立ちて尽くす弟輩の
染みて垂るる広背を
不律に叩く
癒し手
肩口を斜に射す暖光に
額に塩吹く
一筋の煌めき
高蒼を
円描き飛ぶ影は
虚色を搔くつて
滑る羽翼に
爽風が舞い踊る
白顎の
柔く靡く髭を揉む
師の膝元に
若輩の旋毛
差して与える
老の掌
瞬き返す
白く黙した
ひとつの米塊
困憊の若い姿が
白薄の指掌で
不細に包む
向かい見て
目尻を下げる
師弟の影間に
弾む声
高く昇つた
小さな翼が
笛聲を奏で
彼方へ飛び去り
音なく
ほどけた
🌿みなさん、こんにちは🌿
本日は、過去に体験した不思議な体験を詩に認めましたのでお届けいたします。皆様の自由に感じ取り、噛み砕いて頂けましたら幸いに存じます🍊
ーーでは、どうぞ📖´-
『触れて、なお在らず』
細く重なる吐息を横に
宵の街への言が鳴れば
片手に掴んだ手荷物を
肌身に置いて勇み発つ
鉄の唸りが鮮緑の
肌を叩いて跳ね踊り
灯らぬ道をゆき進む
眩る灯りが黒を抉る
けたたむ中に声は揺れ
投げも落とすも言の葉は
揉まれ飲まれて対を得ず
闇魔に佇む赤い袖
深崖を跨いで広げる大手
気まぐれに
駆けて抜ける冷風が
袖裾を掻くると
僅かな鉄の呻き声
鉄馬を手繰る人の横顔に
写るいささか戦慄の相
隣に俯く若人の
頬を撫でる悲しみの泡沫
なにゆえの悲哀か
問えどもわからず
鼻すする
家路も重ねど
不条の涙は
いまはなし
眠る枕に寂相の影
夢湖に手向いて
逢いみては
届かぬ葉擦れの
若い囁き
なにゆえの縁か因果か
応えなく、
暫しの時経て
肩に触れる
空虚の熱
🌿みなさん、こんばんは🌿
お久しぶりでございます。
柑橘とスパイスです🍊
ここのところ、多忙であることや少しでも時間が空いた時は詩を詠んでおりまして、投稿を失念しておりました🍃🌱
さて、これまで様々な記事を書き、詩を詠み、皆さんにお届けして参りました。ですが、ここに来て私もひとつ前進しなければと思い、最近は詩についてもさらに研鑽を積んでおります🖊
本日はから、暫くはひとつの型に限定した詩をお届けいたします。ある程度の時期を経て、型を変えたいと思います。読み難いかとしれませんが「なんとなーく」皆さんの自由に解釈していただけたら嬉しいです🍀
ーーでは、どうぞ🍊
『暮滲のときのま』
暖光に染まり
柿色を纏う冬嶺の
返る微熱に
従容の影
山吹く声に
飛舞の煙白
霞む裾野に
暮雲が滲み
山峡が沈む
夕景に
落陽の袖も
別れに靡く
🌿みなさん、お久しぶりでございます🌿
新年の投稿依頼の詩のお届けですが、その前に詩についてお話をしてみようかと思います。
これは、人生で二度ほど経験した不可思議な体験談に基づいて詠んでいます。その不可思議な出来事とはなにか。
私が運転する車で、稲川淳二氏の「稲川淳二の怪談ナイト」を終えて、出張先の宿舎へ向けて二時間以上ある道のりを走っている時のこと。
仙台の明るい街を背にしたのはもう随分と前のこと。いま、私は怪談ナイトを共にした相方と共に東北地方の某県某市へむけて山手の道を進んでいる。怪談ナイトの雰囲気や怪談を振り返りながら、二人で他愛もない話に盛り上がっていると、前方右手に青い屋根の一軒の平屋の民家が見えてきた。時刻は二十三時をすぎているが、部屋内や風呂場と思える室内照明が明々と灯り、家の周辺は湯気か霧で白く霞んでいる。
「遅くまで仕事をして、今しがた帰ってきたのだろうか。これから熱い湯に浸かって身体を癒すのだろうか」
そんなことを助手席の相方と話しながら家へ近づいていく。遠目にはあまり良く分からなかったが、近づくにつれてその霧の濃さに気づけば、私はたちまち視界を白い空間に奪われた。
「霧にしても、なんでここだけ? 湯気ならこんなに白くならんよね?」
助手席の相方とこの状況を訝しがりながら、安全のために徐行運転で通過する。視界が明けるまで数十秒を要しただろうか。
霧をぬけた途端に先程まで感じていた緊張感や不安から解き放たれ、胸を撫で下ろす。徐行を続けながら助手席の相方に今のはなんだったのだろうと、目を配りながら訊くでもなく声をかけてみた。しかし、相方から返ってきたことばは私をさらに不安にさせたのだ。
「なにを言っているんです? というか、なんで急にゆっくり走り始めたんです?」
彼は何を言っているのだろう、今の状況なら誰でも同じ対応をするはずだ。視界がほとんどなく、元の速度で走っていれば事故を起こしかねない。
私は彼に対して勘の悪い奴だなどと、呆れながら今の状況を話して聞かせた。しかし、彼からの応えはまたも的はずれなもので、私の感情を揺さぶる。
「あの...、家? 家ですか? そんなもの無かったですよ。それに、霧なんてないですよ! それなのに急に家がどうの、霧がどうのって話し始めて、僕の問いかけを無視し始めるし。急にブレーキをかけてゆっくり走り始めるし、なんなんですか?」
私は私がみたものを、いまあったことを彼に説明した。しかし、私が見ていたものは彼には見えておらず、彼は霧の中での会話などしていないという。私の不可解な言行に何度も声をかけたが、私はまるで反応を示さず、ただただゆっくりと走っていたのだという。
車を止めて、ふたりで後ろを見るが暗くてよく見えない。明るい時間に通ることがあれば、その時に確認してみよう、そう互いに見あって宿舎へと戻った。
翌週の金曜日。出張先から仙台の自宅へ帰るため、相方とふたり、あの夜に不思議な体験をした道を走っていた。あの夜、右手に家が見え、左手はうっすらと畑のようなものが見えていた。ならば、今度は走行車線側、左手に見えてくるはずだ。そう話しながら道をゆくがいけども見当たらない。
ーー結局、その家も畑も何もかもが見つからなかった。通る道は間違えようのない一本道。枝道もなく、国道をそれてこの道に入ると、暫くはこの山手の一本道になる。しかし、何も無かった。道や地形は、仕事で毎日通る道のため、頭に入っている。あの夜、運転しながらみた地形がどの辺か、私も彼もわかっている。
記憶している地形の辺りに来ても家がない。そのまま山を抜けても、家は見つけられなかった。いいや、家が建つ余地などなかったのだ。竹林やうっこうとした木々の壁があるだけで、家が建つような敷地など存在しなかった。
あれはいったい、なんだったのだろうか。数年後、地元へと帰った私は、兄を助手席に乗せて車を運転していた。あの夜に起きた出来事と全く同じことが私たちを迎え、またも不可思議な体験をしたのだった。
オチなどなく、ただただ訳の分からない体験を持ち前の詩のスキルで、私が得意とする詩へ昇華したものが、今回おとどけする詩でございます🍀
ーーそれでは、どうぞ🍊
『ありて、ずれる』
宵闇の
静寂に響く
畏怖の語らいに
ひとたび落ちる
熱と息
身振り手振りの宣説が
ひとひとの心を強く
鷲掴む
遠旅の道なかで
今しがたの怖話に
冷めぬ熱
眠る街を背に
深く沈む闇夜の懐
掻き入れば
内燃の声が無方へ
駆け巡る
薄気味悪さに
宛てなく打ち返す
戦慄の声音
漆黒に霞む青屋根の
小さく佇む平家屋
白霧に抱かれて
奇しく灯り
目を奪う
屋根へと伸びる銀首と
白息を吐き止めない
双口は深闇のなかに
ひときわ目立ち
釘付ける
白幕の内へ潜れば
視界はなく
焦燥と危惧の念に
歩みが遅ぶる
惨憺の心に
ひとり言を投げるれど
虚しく返る言はなし
冷ややかな空気が
肌を撫で
悪寒に身体を
大きくさすり
舵輪を握って
堪忍ぶ
幾拍と長く感じる
時も過ぎ
白闇の外へ抜け
深い溜め息
旅連れは
輪を握る横顔に
訝しむ
道ゆく二人
共する時に
耳目する世界が
分かたれる
暫しのち
いつぞやの家屋を探すも
ついに無し
家建つ隙間も
ーー遠になく
🌿みなさん、こんばんは🌿
今日おととけする詩は....
こちら!
『新章のあわいに』
橙の柔らかな波条は
四方へ射して
佇み拝む影を
優しく照らし
暖かな手のひらで
凍える身体を
そっと包む
遥か彼方
山の尾根を駆ける
白結晶が
北から南へ
羽ばたく氷風に手を取られ
高く舞い上がる
遠く空の悠久を
旅する灰綿が
高く昇る陽を覆う
宙を漂う白粒が
声もなく
黒い舗装へ降りて
深く眠る
荒む風が
街をすり抜け
歌声を響かせれば
一瞬に寒さを残す
遊び舞う白童が
行き交う背中に纏わる
足早に温もりを辿る
丸い背中が
小さな冷掌に
首筋を撫でられ
小さく
震えた
眠る陽の
頬を撫でる
穏やかな月の明かりが
白く染まるガラスに
淡く微笑む
夕餉に白立つ食卓に
窓の外で風が笑う
汗かく窓辺に
幾つもの雪
宛なく飛んで
銀色の布団に
沈んで
静かに眠る
遠く、
氷雪の白道をゆく足音は、
軋みを響かせ、
深く白い夜闇へ解けてゆく。