初めはいつもそこにある。
駅のプラットフォームから出発時刻の発車ベルが鳴り終わると、列車は重い音をたてて進み出す。
空がとても明るい。雲の切れ間からの日差しが暖かいのが車窓から伝わってくる。
鬱蒼とした都会からの景色は40分ほど走るとそれは長閑な景色が広がって開放的な空間を示してくれる。
0からのスタートはいつも時を選ばず、自分の中にあるのだと
噛み締めながら思う。
開けたコーラのしたたる水滴は時間を教えてくれるようだ。
☆
それは派手でもない、透き通った服装をしている女性だった。
初夏を過ぎた少し汗ばむ季節。
空は入道雲が幾つも成して夏空を描いている。
何回も見た空か、その女性とはある下町再興の商店街のイベントで知り合った。
地元にある事情があって戻ってきたと初対面の時に言っていたがそれ以外のことは知らない。
初めてのデート。錦糸公園で待ち合わせして、何かを伝えようと考えていたら、私を驚かせるようにすっと横から出てきて、手のひらにkissをした。
今この空にいるのは彼女と私だけみたいだ。
レモンティーを1口飲んだ瞬間カラカラに乾いていた喉に
すっと冷たい感覚が侵入してくるのがわかった。
Tuki
真夏の暑いときの湿気じみた空気から急に外が冷える季節になった。
コートなのか薄手のシャツなのか、私の部屋のクローゼットは日々慌ただしさを感じる。
そんな中外の匂いは季節の変化を感じさせてくれる。
ま1~2分咲というところだろうか、匂いも微かに、ほのかに
鼻に優しく香るのが秋の風にのって運んでくれる。
そうか秋なんだ、ふと季節が変わったことに気づく。
喧騒とした都会の行き交う人々とタワマンやオフィスビルの重圧感から周囲を感じることさえも黙殺されてしまった私の心がここにあった。
そうだ、遠くに行きたい。
秋の空気を感じに。
微かな匂いを頼りにして。
駅からの仕事帰りの帰宅ウォーキング。
今日1日を振り返りながら、明日は休日。
日々様々な人と対峙している自分が疲れているのがわかる。
何故だろう、どうしてこんなにも自分が荒んで疲れているんだろう、今日のことをやや情緒不安定に振り返る。
都心の主要な駅前でのディナー。
様々な環境音からの刺激が耳に入り、何だか気持ちが落ち着かなくなる。
最近は大半のオーダーや会計までセルフで操作できるため、
店のスタッフが機械的に何かをやっているように感じるのは
私だけではないと思うのは間違いではないと自分に言い聞かせてみる。
最寄り駅に着いて、帰路につくときふと見上げた雲の隙間から垣間見えた月明かりの兆し。
雲の多い今日は風の少なく1度見えたと思ったらすぐに見えなくなってしまい、しばらくは月を眺めることができない。
それでも月明かりは僅かな一瞬でも私の心を無にさせてくれる。秋の空気がすっと表皮を優しく通過する。
歩幅と合わせて月も一緒に着いてくるかのような、自分がついて行っているのか。
太陽の光を浴びて1日が始まって、体を休めるよう全てのマインドをリセットさせてくれるかのような。
moonlight。
誰か
誰かが私のことを呼んでいる。
誰かが迷った時に声を掛けてくれる。
誰かが進むべき道を気づかせてくれる。
誰かって誰のこと?
そうだね、誰でもなく自分の内面の声でもなく、
その瞬間瞬間をちゃんと向き合ってれば聞こえてくる
掛け声なんだと思う。
前を向いて今日やってみることを、上手じゃなくても、速くなくてもいい。
自分が大切にしてることを見失わないで、前を向いて進む。
誰かって誰のことだろうね?