【太陽のような 1 】
「あー、ごめん。間違えてもうたわぁ」
「…なんやそれ」
曇っていた。今にも雨が降りそうなどんよりとした空気が身にまとわりつく。
「俺たちの…俺たちの最後の大会やったんやで。そんな軽いもんで済まされてたまるか!なんであんとき諦めたんや。反則負けが1番有り得へんやろ。ちゃっちゃと面決めとけば、1本でも決めとけば決勝進出やってんで。」
「雨んなったら袴が濡れてまう。はよ中入ろうや」
「……どうして」
「どうしてもなにもないやろ。負けたもんは変えられへんやん。しゃーない。」
「こうたは、勝ちたいと思わんかったん?」
静寂のせいか、頭を空っぽにさせるような、ぐちゃぐちゃにしてしまいそうな、そんな気分になる。
「勝ったらなんになるんや。俺もお前もそらも、卒業してから剣道続けるわけやないやん。」
「……ほんまそういうとこ。」
「はぁ?なんでお前なんかにあれこれ言われなあかんの」
顰めた眉の下には痛いくらい刺してくる視線があった。それに対抗するように目を細める。きっと威嚇にもならない。こうすることによって自分にとって自分が少しでも大きく見えるようにするだけ。
「俺は!ただ、笑って、終わりたかったんだよ……」
無意識のうち喉が震え始め、声が滲む。そうだ、笑って終わりたかっただけんだ。今までの吐きそうになるまでやって来た練習も、休み時間の顧問からのお説教も、全部この日の為だったんだねってきらきらした終わり方を。
「なんで、なんで諦めるとか……」
いつの間にか静寂は消え、俺たちの頭に雨が降り注いでいた。
「…ねえ、こうた。剣道、そんなにつまんなかったかなぁ」
相変わらずこうたは口を閉じたままだ。
「応えろってば…」
【砂時計の音】
時間は落ちてゆく。
誰にも聞かれずに
それでも落ちてゆく。
そして何時しか終わりがくる。
誰にも気付かれずに、
そっと、最後の一滴まで。
フィルターをかける。
赤のフィルターをかければ、
みんなに優しくいい子フィルター
青のフィルターをかければ、
勉強熱心、保護者や先生専用フィルター
黄のフィルターをかければ、
一人でお留守番、なんでもできる子フィルター
全部のフィルターをかければ、、、
あれ、何色だろ
真っ暗い。
やだ、こわい、助けて。
透明な雫がぽつりと闇の中、黒く光る ¿¿¿¿ フィルター
仲間になれなかった。
僕はただ、あの子と話したかっただけなのに。
仲間になれなかった。
きっと、あの子が嫌われ者だから。
廊下の遠くでくすくす笑われ、
僕は独りでトイレに向かう。
嫌われ者だから、
僕も、
嫌われ者だから、
きっと、
不整脈なりました。まじです。
最悪だ。