ねぇ、楽しい? 分からない。
ねぇ、死にたい? 死にたくない。
ねぇ、辛い? 多分違う。
ねぇ、何がしたい? 何もしたくない。
頭の中が自分自身の弱さで埋め尽くされる。
それを否定するかのように曖昧な考えがグルグルと廻る。
私はどうしたい?
親や友達にも恵まれて、食べるものがあって、寝る場所があって、決して裕福ではないけれど幸せで。
それなのに、なんで心が何かを訴えるの?
喜べる。怒れる。泣ける。笑える。
私は何が不満なの?
ねぇ、誰か。この心を教えてよ。
無人島に行くならば、僕はなにも持って行かない。
都会でも田舎でもない。人とも会わない。
きっとそこで死にゆくだけなら、無駄な足掻きはしたくない。
何かを考えるのではなく、ただ疲れた体を寝そべらせ、空を眺め、波音に耳を澄ませたい。
そしていつか「寂しい」と思えた瞬間が、無人島に行く理由だろう。
いつか、いつか僕にその瞬間が来るのなら、僕は無人島で死んでも構わない。
人に疲れた僕は無人島で人が恋しいと思いたい。
そう思えたなら、僕はこの世に悔いなく死んでゆく。
仲良し4人組。
でも、その中の2人がいじめっ子いじめられっ子関係だった。
いじめっ子のアノコは、いじめていた子のミサンガを切り刻んでゴミ箱に捨てた。わざと肩にぶつかった。
小さな小さな事。それでも、小学生だった私達にとっては重罪だった。
それからアノコとは遊べなくなった。
私がアノコに話しかけるとアノコが悪者にされるから。
いじめを擁護するつもりはなかった。
ただ、一緒に遊びたかった。
でもアノコと話してはいけなかった。
それが、暗黙のルールであるかのように。
私が小学校で学んだ事。「社会での正しい立ち回り」
光と霧の狭間で、俺は一体何を考えただろう。
光がこちらだと叫んでいるのに、俺は先の分からない霧へ向かう。
未来が良く見える光は、安定で幸せなんだろう。
霧の世界は何が起こるかわからない。でも、俺はそれが良いんだ。
全てが順調で平坦な未来より、少し先がうっすらと見えるような、それでも転んでしまうかもしれない世界に飛び込みたい。
光と霧の狭間は運命の別れ道。
もっと、もっと、ワクワクしたい。
そんな俺は霧の世界へ一歩進んだ。
結婚13年目。
夫婦の仲は良くも悪くもない。
家は静寂に包まれていて、テレビのバラエティ番組の笑い声だけが響く。
ある日俺は会社の飲み会に行くことになった。
なかなか盛り上がって帰ってきたのは夜の2時。
明日は休みなので思う存分寝るとしよう。
次の日、起きたのは昼で見事に二日酔いだ。
何か食べるものを探しに冷蔵庫を開けると、切られた梨にラップがかけられ、その上には付箋が貼ってある。
「コレ食べて良いから。どうせ二日酔いでしょ?」
俺は梨を一口頬張った。
ジュワッと口に広がる甘い果汁に妻の笑顔を思い出す。
今日は妻の好きなケーキでも買ってこようか。