宵風に吹かれたい

Open App
12/12/2025, 7:04:48 AM

窓から夜空を眺めた。
星なんてないし、月も出てない。真っ暗な空。

寝られないから、寝たくないから、窓を開けて冷たい夜風にあたる。あぁ、冷たい。生きてる。
変な実感を得ながら息をする。

いつの間にか朝日が昇る。
無慈悲だなぁ。でもね、私は大丈夫。
寝ない限りは明日じゃないんだって。
ねぇ、そうでしょ?

明日なんて来なくていい。でも、明日は平等に来るって言うなら、私は意地でも今日を生きてやる。

明日に希望なんか持ちたくないから。

12/11/2025, 5:52:40 AM

『小さい頃は神様がいて不思議に夢を叶えてくれた』

そんな歌詞があったな。
確かに、神様がいると信じていたし、自分が願ったことは全て叶っていた。
私中心に世界が回っていると、信じて疑わなかった。

母も、父も、友達も、子供の頃は優しかった。
誕生日にはケーキがあって、クリスマスプレゼントが届いて、皆んなが明るく話しかけてくれた。

大人になってから気付いたんだ。
誕生日なんて日常の延長に過ぎなくて、サンタさんなんて居なくて、笑顔の下には影がある。
皆んな、大人になると自分の事で精一杯なんだ。

あぁ、もう一度。やさしさに包まれたなら。

12/4/2025, 8:07:28 AM

朝早く起きてリビングに向かう時、後ろからトトトトという足音が聞こえる。
トイレも台所もリビングも、どこに行ってもその足音が付きまとう。

本人はバレてないつもりだろうか?それともバレても問題ないのだろうか?
どっちにしろ可愛すぎる。
野生で生きてこなかったウチの猫。足音を無くすなんて知らないんだろうなぁ。

肉球と床の触れる音が愛おしい。

ベットから私がいなくなって寒くなると、こうして後をついてくる。

冬限定の足音は、きっと私だけのもの。

12/2/2025, 9:19:20 AM

冷たい。寒い。
冬の夜のベランダでそんなことを考える。
部屋の中には母親と知らない男がいて、肉と肉がぶつかる音と、男女の甘い声が聞こえてくる。

いつもなら母親が男を連れてくる時はちゃんと出掛けていたのに。おかげで狭いベランダに締め出された。防寒具なんてない。
肉のついていない体と、ペラペラなシャツではこの夜を乗り越えられるわけがない。

目を開ければ星空が広がっている。綺麗だなんて今の自分には思えなくて、冷たい風と星の眩しさが嫌になる。
僕はただ1人孤独に朝を待つ。
きっと、世界は寒くて凍えてる僕よりも、この輝く星空に注目するから。

11/29/2025, 10:45:55 AM

世界から音が消えたら、どんなに生きやすいだろう。
罵詈雑言も、耳障りな笑い声も、全て消えてしまったら、この世界はどれほどキレイになるんだろう。

だから鼓膜を突いた。鈍い痛みの後に生ぬるい液体が耳を伝っていくのが分かる。
途端に世界から音が消えた。
街に出ても何も聞こえない。ただ、ネオンの光が僕の目を刺激するだけ。

怒鳴っているであろう男も、獲物を狩る目をした女も、うるさいはずの弾き語りギターも、全ての音がない。なんて心地いいんだろう。

失った?違う、手放したんだ。
うざったい響きを、僕のこの手で。

Next