夜景
夜の風景ってキラキラしてる。
夜更かしに一々わくわくするほど子供ではないが、
これから先、決して飽きることは無いだろう。
ベランダで煙草を吸いながらそんなことを考える。
けれど、大人になりきれない僕には、
肺に入ってくる煙が重くていっつもむせる。
まだ短くない煙草を灰皿に押し付けながら
遠いビル群の煌々とした光をぼーっと眺める。
こうして夜景を見ていると落ち着くと共に、
なにかこう、よく分からない形容し難い感情を抱く。
僕はもういい歳をした「大人」というものだと思うけど
この気持ちの名前をまだ知らない。
だけど、僕はいつも思う。
「このまま夜にいれたらな」
なんだか今日はやけに煙が目にしみる。
殆ど泣きそうになりながら僕は思った。
半年ぶりの散歩
高架下に漂う煙と煙草の匂い
あいつから貰うセッタ
ライターはガス切れ
仕方なく口元から奪う火種
クラクラする14ミリのタール
少し肌寒い帰り道
拭えない喪失感
とほんの少しの寂寞
夏が終わる
お願いです何も告げないでください。
これ以上踏み込まないから、 何も聞かないから、
傍に居させてください。
突然の君の訪問
やあやあ。と言いながら入ってくるこの人は
今日も靴を脱ぎ散らかして無遠慮に狭い部屋を占領する
隠す気もない首元の跡がちらちらと目に痛い
ふらふらした足取りが心もとない
かなり酔ってるみたいだからコップに水をついで持っていく
あれ消えた。あぁタバコか。
どうやらベランダに移動したようだ
タバコの煙と共に肺を侵食するのはいっつも違う香水
僕ではない誰かの匂い
風が吹く度、鼻を掠めるそれは僕をいつも淋しくさせる
それにあんな高そうな時計、前はつけてなかった。
「それあげた人趣味悪いね。もっと明るい色のが似合うよ。」
すこしイライラしたから言ってみたけど、
「ふふ。」って
どうして笑うんだろう。
僕があんまり子供みたいだから?
顔も知らない大人に、嫉妬してみっともない?
勝てるわけないのに対抗してて面白い?
どうやったって届かないのに必死になって、情けない?
ねぇ、それ美味しいの?
そんなに毎日酔って楽しい?
なにか忘れたいことがあるの?
夜は寂しい? 仕事辛い?
明日も誰かのとこへ行く?
ここにはいつまで来てくれる?
本当は僕の気持ちなんてとっくに気づいてたりする?
分かってて弄ぼうって魂胆?
ねぇ教えてくれなくてもいいよ。
だからもう少しそこでタバコ吸っててよ。
横顔ずっと見ていたいよ。綺麗だよ。
こんなこと間違っても口に出さないからさ、
また来てよ。
鳥のように
あの子はいつも鳥になりたいって言うんだ
鳥のように自由に空を飛びたいって
こんな窮屈な世界で生きたくないって
だけどね、こんな世界でも自由に羽ばたけるって
僕は信じてるよ