『失われた響き』
最後に聴いたのは高校2年生の冬だった。
油断していたのがだめだった。
だって、あんな一瞬で落ちるなんて思ってもいなかった。
多分あんなにきれいな音を聴くことはこの先ないし、
それまでもなかった。
あの音の響きは私の中から消えていったけど、
今も余韻がたまに現れて、私の心を掻き乱す。
もしももう一度、
あれほどの音を聴くことが出来るのならば、
私はその人と生涯を共にしたいと思えるでしょう。
『霜降る朝』
朝もだいぶ冷え込んで、
布団が私を離さない季節になった。
私は変わらず大きなベッドにひとりで寝ていて、
大好きなぬいぐるみ達だけが私を包み込んでくれる。
あと何ヶ月も大きな冷たいベッドで寝るかと思うと、
友人の家にでも居候したくもなる。
早く、ひとりでも寒くない季節になって欲しい。
起きた時の、
温もりのないベッドが寂しくて仕方がないから。
『心の深呼吸』
最近疲れてるせいか、
心がもやもやして苦しくて仕方がない。
嫌な言葉をたくさん思いつくし、
自分を傷つけようとするから、余計に疲れちゃう。
少しだけでもゆっくりして、
苦しくならないように、ちゃんと息ができるように。
私の心が澄み渡った晴天でいられるように、
深呼吸できれいな空気を取り込みたい。
『落ち葉の道』
ほとんど誰も通らない、このほっそりとした道は、
夜は怖いけれど、昼間はとても美しい道だ。
アン・シャーリーのように、この通りに名前を付けて、
るんるんで通っていた幼少期を思い出す。
時間が経っても名前は忘れてないし、
スキップはしないものの、
気分が上がるのは今も一緒。
私がおばあちゃんになっても、
変わらずここにいてくれるといいなぁ。
『君が隠した鍵』
たった一度のすれ違いだった。
あなたの心の扉は閉ざされて、私の心も同様だった。
それまでようにLINEもするし、会えば話もする。
それでも、お互いに扉の鍵は隠されたまま。
もう元に戻ることはない。