『手のひらの贈り物』
いつだったかのデートの日。
休憩がてら喫茶店に入って、私はカフェラテを頼んだ。
あなたはコーヒーを頼んでたよね。
これから行く場所とか、夜何食べようかなって、
何気ない話をしてた。
急に私の手を取って左手の薬指に触れたあなたは、
お揃いの指輪を付けるのがたのしみだって、
とてもやさしく微笑んで言った。
それが、私の脳に染み付いて離れない。
『心の片隅で』
100%叶わない恋をした。
どれほど努力したとしても、
あなたは私を好きにはならないと分かっていた。
どうにか表情や態度に出さないように、
必死になって隠した。
もしかしたら私の気持ちはバレてて、
知らないフリしてくれてるのかもしれない。
そうだとしても、心の片隅には留めておきたい。
私はあなたの事がすきだということを。
『雪の静寂』
いつもよりも少し早くに目が覚めて、
二度寝したかったけど寝れなかったから、
諦めて布団から出た。
その勢いで少し早く家を出た。
普段よりも人が少なかった。
視界は銀色世界で埋め尽くされていて、
雪以外のものはあまり目に入らない。
時間があるせいか、雪に魅入ってしまった。
不思議と、音は何も聞こえなかった。
『君が見た夢』
昨日、幸せな夢を見たんだって、
とてもうれしそうな顔をして私に言う。
夢の中ですら、
あなたを幸せにしているのは私じゃなかった。
大好きなあの人とデートしてる夢だったのって、
にこにこしながら言うけれど、
私の心は今にも雨が降りそうな黒い雲。
私があなたを幸せにさせたいのに。
嫉妬でおかしくなってしまいそうだよ。
『明日への光』
昔から、私はひとりで輝けなかった。
誰かのおかげでしか輝けなかった。
まるで、太陽がないと光り輝けない惑星のよう。
ずっと恒星になりたかった。
自分の光で輝きたかった。
ずっとずっと、そう思って生きてきた。
明日は変われるって、自分に言い聞かせもした。
変われた日は1日たりともなかった。
もう無理だと悟った。
今世はこれで生きていこうと思った。
私にはもう、きらきらした綺麗な光なんてない。