「さよならを言う前に」
いつか、こんな日が来ると思っていた。
好きだった。
幸せだった。
でも、好きになればなる程、幸せであれはある程、
先が不安だった。
いつまでこの日が続くの?永遠はないでしょ?
いつまでキレイな私でいられるの?
いつまであなたは私を見ていてくれるの?
こんな不安に押し潰さる位なら、全部自分から壊してやろうと思った。
壊した方が楽になれると思った。
でも、嫌われたくない。
別れた後でも、あなたの一番でいたい。
一生、あなたの心に生きていたい。
だから、綿密に計画を練った。
さよならの前に、キチンと計画。
いつも通りの、あなたを大好きな私。
私を大好きなあなた。
日付は記念日を選んだ。
あなたがプロポーズしてくれると友達に聞かされたから。
いつも以上に私を好きなあなた。幸せの絶頂の私。
一番幸せなその瞬間に。
終わった事も気づかない内に。
あなたが私をほんの少しも疑わない内に。
私がこのボタンを押せば······
爆発が全てを終わらせる。
「空模様」
晴れた空が好き。
髪の毛も乱れないし、洋服も靴も濡れない。
洗濯物も乾くし、傘も持ち歩かなくていい。
身の心も気軽でいられる。
雨の空が好き。
少しの雑音くらいなら雨の音に消されて聞かないで済む。
一定のリズムで流れる音は心地良い。
何よりも、この雨が上がった後の澄んだ空気を想像すると、それだけでワクワクしない?
曇の空が好き。
暑すぎす、寒すぎす。
眩しくないし、暗すぎないし。丁度いい。
結局、どんな空でも、どんな状況でも、全ては気持ち次第。
だったら、楽しんだもん勝ちじゃん。
どうせ人生、どうにもなんない時は悩んで、考えて、足掻いて。そうせざるを得ないんだから。
だからこそ、些末な事は全て楽しんだ方が良くない?
悩んで、足掻いて。それも大事だけど、それすらも楽しもう。
全てを楽しみとか、自分の糧とかに出来たら、それが勝ちだから。
空模様も心模様も、同じ景色がが永遠に続く事は無いから。だったら、ポジティブに行こうよ。
子供の頃、家に古い三面鏡があった。
合せ鏡をすると、右も左も延々と自分が映っていて、それが不思議で、ずっと見ていた。
全部の私が私を見ている。
右を見ても、左を見ても。
ずっと、ずっと。
······あれ?あの子だけ私を見てない······
部屋の中に物が溢れてる。
いつか使うかも。
何かに使えるかも。
又流行るかも。
以前の趣味の物。
人から貰った、趣味に合わない物。
読み終わった本。
可愛いと思ったキャラクターグッズ。
沢山のぬいぐるみ。
卒業式に貰った第二ボタン。
捨てられない物がどんどん溜まっていく。
心の中にも、物が溢れてる。
小さい頃の思い出。
発表会。
人を傷つけてしまった事。
人に傷つけられた事。
嬉しかった事。
悲しかった事。
楽しかった事。
辛かった事。
人を裏切った事。
人に裏切られた事。
何一捨てられず、どんどん、どんどん溜まっていく。
いつか、捨てられるのかな。
過去を振り返らず、前だけ見て思い切りよく捨てられるのかな。
過去は過去、と割り切れる日が来るのかな。
跡形もなく、全てを処分できるのかな。
そんな日が来たら、一歩踏み出せる。
新しい私になって、全てやり直せる。
動かなくなった貴方の体を、キチンと処分出来たら······
ずっと自分に自信がなかった。
だから、がむしゃらに頑張って、とにかく人よりも頑張って。
皆が「あの子には敵わない」、そう思える自分になりたくて。
休まずに走ってきた。休む事が不安だった。
休んでいる間に誰かに抜かれる、と思っていた。
だから休めなかった。走り続けるしかなかった。
何年も走り続けて、ある日気付いた。「今の私なら大丈夫。」
自分が頑張った結果で周囲にも認められ、満足だった。社会的にも、経済的にも、人望も。全てにおいて今の自分になれた事が、そこまで頑張れた自分が、誇りだつた。
でも、今になってわかった。
目の前で、あなたが走る、転ぶ、泣く、微笑う。
小さい体を精一杯使って「ママ」って呼んでくれる。
頑張る私も頑張らない私も、全てを受け入れて必要としてくれてる。
ねぇ、知ってる?
あなたが生まれた日から、あなたの全てが私の誇りになったんだよ。
人って、生きてる、それだけで誰かの誇りになれる事もあるんだよ。
有難う。生まれてきてくれて。