「風景」
何年経っても、忘れられない風景がある。
子供の頃から慣れ親しんだ道。
実家の近くの、畑に咲く花。
大人になって何度か引っ越しもして、色んな所に旅行にも行って。
沢山の風景を見てきたけど、やっぱり何かがあった時に思い出すのは、実家近くの風景。
その風景の中には母が居て、父が居る。
そして何故か、その風景を見ていた筈の私までその中に居る。
きっと、今の私に繋がるものがここにあるから。
今の私を作ったもの。
今の私が安らげる場所。
悩んだ時に、逃げ込みたい場所。
世界には綺麗な風景や珍しい風景が沢山ある。
でも、私にとっては一番大切な風景は。
この心の中にある、母も父も生きているこの風景。
幼い頃の私の、とても幸せな風景。
きっと一生、大切に心に持ち続ける風景。
「君と僕」
世界中で一番近くて、一番遠い君と僕。
物理的には一番近くに居るはずなのに、時々とてつもない距離を感じる。
物理的に離れていれば、逆に感じなくても済む距離感が、側に居る分余計に感じてしまう。
それが、堪らなく切なくて、苦しい。
どうすれば良いかも分からず、ただただ、悲しい。
「夢へ!」
子供の頃は沢山の夢があった。
こんな仕事がしたい、素敵な人と結婚したい、理想の家に住みたい、可愛い子供が欲しい、ペットを沢山飼いたい。
もう、一つ一つ挙げるとキリがない位、沢山の夢があった。
でも、大人になってみると。
叶った夢も沢山あるし、叶わなかった夢も沢山ある。
そして、何よりも現実を見てしまって、夢を見る事は少なくなってきた。
けれども、その代わりに。
ちゃんと地に足がついた希望や目標を持つようになった。
こんな事を成し遂げる、その為に勉強する、とか。
夢と現実が近くなって、その分本来の「夢」って感じではなくなったけど、でも本質は一緒で、それは自分が「叶えたい」事。「なりたい」事。「やりたい」事。
だから、あの頃と変わらず、夢を追いかけ続ける。
そして、誰にも言わないけど。
そうやって頑張る自分を褒めたいし、自分を好きで居続ける為にも、頑張る私で居たい。
「元気かな」
長い間会っていない友達。
暫く前に辞職した後輩。
仲の良かった同級生。
冠婚葬祭にしか会わない親戚。
皆、元気でいるのかな?
いつもいつも気にかけてる訳じゃないけど、ふとした時に思い出して、気になる。
でもだからと言って、どうしても確かめなければ居られない程気になる訳でもなく。
その位の関係性の人。
それでも安否が気になるのは、人が社会で、群れで生きる証だと思う。
一人でも生きていける、って言う人も居るけど、物理的にも心理的にも、やっぱり人は一人では生きられないと、私は思う。
少しでも、人の事を気に留めて。
少しでも、人を思い遣って、気遣って。
お互いにそうやって生きていければいいな、と思う。
「遠い約束」
あの日に貴方と交わした約束は、果たされる日が来るのだろうか?
遠い遠い過ぎた日に、幼かった私達が交わした、他愛もない約束。
「いつか年を取って、お互いにパートナーがいたり、結婚したりしてても。それでも、もし80歳まで生きてたらその日に2人が出会った場所で会おう。多分お互いに色々あったとしても、その頃には笑って許せるだろうし、お互いのパートナーも、生存確認位は許してくれるだろうから」
そう言って、2人で笑い合った。
あの頃はずっと先だと思えていたその日。
ずっと先だと思えていたからこその、無責任な約束。
でも、私はずっと心の何処かで、あの約束に縋っていた。
酷い別れ方をした。
貴方の狡さも、弱さも、汚さも、全て見た。
私の傲慢さも、弱さも、情けなさも、全て見せた。
それでも、私は貴方を憎めなかった。
そして、貴方も多分、そうだった。
お互いが、お互いの中に、心の一部を残したまま離れてしまった。
憎み合えたなら、楽だったと思う。
軽蔑し合えたなら、残滓さえも残らなかったかもしれない。
でも、現実はそのどちらでもなく、中途半端に許せず、中途半端に未練を残し。
そして、ふとした時にいつも思い出した貴方との約束。
「馬鹿馬鹿しい」そう笑い飛ばす自分は、ホントにそう思ってる?期待して傷付くのが怖いだけの、中途半端な私。
ホントは、心の中では。
その年になってもう先が見えてきているだろうから。
だったらせめて。
もう一度、貴方に逢いたい。伝えたい。抱き合いたい。
そして、遠い日の約束に縋らないと生きていかけなった私を終わりにして。
心残りのない、スッキリとした私で、残りの人生を歩みたい。
もしかしたら、貴方を一目見たらそれも叶わず、又苦しむ日が、来るかもしれないけど。
余計に気持ちがつのるかもしれないけど。
それでも、会いたい。
もしあの日の約束が叶うなら。
そう願わずには、いられない。