「静かな情熱」
人に怒る事も殆どなく。
常に人当たりは良く、嫌われる事もなく、でもどうしようもない程に好かれる事もなく。
何かに執着する事もなく。
可もなく、不可もなく。
私はそうやって生きてきた。
人に迷惑をかけない事を信条に、ひっそりと生きて来た。
将来の夢もなく、親の敷いたレールの上をただ黙って走り。
およそ自我と言う物を持たずに生きてきた。
そんな私が初めて執着したのが、貴方。
貴方の全てを知りたい。
貴方の全てを誰にも渡したくない。
貴方の全てを私のものにしたい。
この、燃える様な感情を何と呼べばいいのだろう?
恋?愛?執着?独占欲?
どんな感情なのか、自分でも分からない。
この感情に、どんな名前をつければ良いのか分からない。
ただただ溢れるこの気持ちを、私はひたすら持て余す。
そして、どうすれば良いのか自分でも分からなくなり、そんな自分に苛立つ。
穏やかとか、波風を立てないとか、心をざわつかせないとかが私の生き方なのに、貴方と出会ってからは常に心がざわついている。
毎日が落ち着かず、今までの私の生き方を自分で否定しそうになる。
だから、今のこの状況は、私にとっては到底受け入れられないし、受け入れる気もない。
でも、貴方を見れば心がざわついて、どうしようもならなくなる。
そんな私が悩んで、悩んで出した結論は。
貴方が見えなくなればいい。
貴方の声も聞こえなくなればいい。
貴方が、いなくなればいい。
そして、静かな情熱の使い方を間違えた私は、今檻の中に居る。
「遠くの声」
貴方の声ならば、どんなに遠くても私の耳に届く。
私の心の声も、貴方に届けばいいのに。
「春恋」
新しい年度が始まり、新しい場所での生活が始まる。
周りの人達も初めて会う人も多い。
でも、その中で。
ずっと昔から変わらない貴方の姿を見つけた。
知らない人に揉まれて、どこか居心地が悪そうな貴方。
私の視線になんか気付かずに、下を向いている。
私にとっての貴方はとても大切な人で。
春も、夏も、秋も、冬も。
私はずっと貴方に恋してる。
人の良さも、真面目過ぎな所も、不器用さも。
貴方の全てにずっと恋してる。
いつか、貴方にこの気持ちが伝わると嬉しい。
いつか、この恋が叶うと嬉しい。
春の陽気に紛れて、デートにでも誘おうか?
そんな、有りもしない勇気を胸に、私は今日も貴方を見つめてる。
「未来図」
私の描く未来図の中には必ず貴方が居る。
仕事で悩んだり成功したりする私の話を聞いてくれる貴方。
そして、プロポーズ、結婚式。
いつしか親になり、祖母になり、仕事も退職して、孫守りもして、やがて家族に囲まれての最後。
どんなシーンにも必ず貴方が居る。
私の傍らに寄り添ってくれて、見守ってくれている。
いつか、それが現実になるのだろうか?
思い描いた通りの、幸せな毎日が訪れるのだろうか?
先の事は解らない。
解らないけど、少しでも希望を持っていたいし、夢を見ていたい。
そして、もし。
貴方も同じ様な未来図を描いてくれているなら。
きっと、いつかはこれが現実になる。
そしてその日を夢見て、一生懸命生きて行く。
貴方に依存せずに、キチンと自分の足で立って、貴方に恥ずかしくない私で、一生懸命生きて行く。
「ひとひら」
ひとひらの雪の様に、私の貴方への想いもすぐに消えてなくなってしまえば、こんなに辛い想いをしなかったのに。
いつまでもいつまでも残り続けて、それが辛く、切なく、苦しく、悲しいけど。
でも、一人の人をそこまで愛せた自分が誇らしいのも又真実で。
消せない想いが私を苦しめて。
消えない想いが私を奮い立たせる。