シロツメ ナナシ

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12/29/2025, 5:16:29 AM

『心の旅路』


―――――――――ァァ……


――――――キモチワルイ



それはまるで

心臓に穴を開けられ
そこに何者かが住み着いてるかのような

酷い違和感だった―――


……だれ?

私の中に勝手に入ってくるお前は…

そのあまりに酷い違和感に
今にも口からなにか出そうになる…

少しでも……「それ」を
突き止めなきゃ―――


私は自分の中に、1歩踏み出す


そこは―――真っ暗闇

目の前も足元も見えない
風がないのに、空気が淀んでる…
まるで もぬけになった虫の巣にでも
いるかのような…

気持ちも体も重くなる……

何とか一歩を踏み出す
その瞬間、落ちる感覚があった
だがそれは一瞬で、
1つ下に落ちたようだ

その場所は、
とても薄暗いが少し見える

赤い絨毯に白い壁
目の高さのところに
消えかけのローソクがいくつか残ってる
先の見えない廊下
……なんかのホラーゲームの世界みたい

気は重いが、足だけ急に軽くなる
あまり進みたくないけど…
この先を進んでみる

うっすら……「それ」の気配を感じる

扉をたまに見つかるが、
それはどれもボロボロだったり、
傷ついていたり、血まみれだったり、
どれも開けたくなかった……

そして壁―――

――――――――――――見つけた

わざわざ壁に穴を開け
……いや、開けたと言うよりは
まるで吹き出物のような……
その人の毛穴のようになっていて
私にとっては
それがただただ、きもちわるかった…
その中には、何人かいた
向こうはこちらを困ったような
でも何かを狙うような薄ら笑いをしながら
自らの伸ばしたい手を抑えるように
こちらをずっと見ていた

その光景は……
最初に思い見た光景と同じだった
そして、今私の中にある「それ」と
同調したがってるかのように存在していた

「それ」は、私を取り込もうとしてるのか?
「それ」は、こちらに来ようとしてるのか?
どちらにしても
イヤでイヤでたまらなかった……

私は必死に目を逸らし、
この先に進むことにした


その先の壁には
―――また「それ」がいた

進めど進めど「それ」はいた
「それ」は 全く同じだった
同じものが、同じ大きさ、
同じ中身、同じ動き、
……中が見えないのに、
それらは同じだと何故か わかった


どれもどれも
入っちゃいけない感覚がある
どこに行っても、同じ「それ」がいるが、
そこは……奈落だと悟った
どれをどう選んでも
正解はない気がしてならなかった


――――――しまった!足!

下が見えてなかった

私は「それ」に捕まり 落ちてしまった……



「それ」の先は思った通り、
      奈落だった―――……
いや、
宇宙に放り投げられた感覚の方が
もっと近いかもしれない


「それ」は、
こちらとじっと目が合ったまま
こちらになにか伝えたりすることもなく
見つめていたのだけはわかった

奈落に落ちていく

落ちる速度が……

ゆっくりと……ゆっくりと……

緩やかになっていく


一瞬からだがふわっとなると

宙に浮いてる感じがした

足が地につかないが……
また真っ暗闇の中に取り残されたようだ


ひとつ―――光が見える

あれは多分……自分が落ちたところ
だが、その先が……出口が
何か違うものに変わってる…ような気がした
落ちていたはずだが、
いつの間にか縦と横が変わってた

今の私の心には……まだ違和感が残ってる
「それ」がいる感覚がする

……私に、
何を伝えたいのだろう
どうして欲しいのだろう
勝手に私に住み着いて、
私をどこかに連れて行って
貶めようとしてるのだろうか…?


今あるのは、
この頼りない足と
心に住み着く「それ」

ひとつの光のその先は
虎が出るか狼が出るか……
鬼が出るか蛇が出るか……

私はゆっくり―――進んでく


〜シロツメ ナナシ〜

12/28/2025, 5:18:43 AM

『凍てつく鏡』


あ、鏡―――

ちょっと見にくいけど
自分が写ってる
さっと身だしなみを整えて

そして―――パリンッ!

と、踏んずけ割っていく
ちょっと気持ちがいい

小さな水溜まり
そこにできた氷の鏡
世界でたった一つ
割ってもいずれまた元に戻る
天然の鏡


ツルッ―――ドシーン!!


………割った鏡達からの、復讐だろうか


〜シロツメ ナナシ〜

12/27/2025, 1:19:22 AM

『雪明かりの夜』


月が凍りつくほど 夜が寒い

静かに青く輝き 雪を照らす

頭から足先まで 完全防寒

夜の少しの街灯と 凍った月明かり

それだけで今夜は 眩しく感じた

私は大きく 目を開けながら

近場をゆったり 歩いてく



〜シロツメ ナナシ〜

12/25/2025, 11:38:45 PM

『祈りを捧げて』


私は必ず、
『いただきます』を言う

たくさんの命をちょうだいして
自分の命を
ここまで繋がせてもらった

肉はもちろんだが
野菜(植物)だって立派な生き物
今日まで自分の命を繋がせてもらった


生き物は
命(生き物)を食べて生きている

どこかの映画で言っていたのを聞いて
その時はさらにものすごく刺さった

あくまで私としては、
食欲旺盛はまだいいが
ただガムシャラに食べると言うのは…
あまりいけない気がしている


感謝とリスペクトを込め、
その大切な命、余すとこなく
『いただきます』
そして、
『ごちそうさまでした』


〜シロツメ ナナシ〜

12/25/2025, 12:41:19 AM

『遠い日のぬくもり』


…………なんだ?

このきおくは……―――


…………だれだ?

お前は……―――


……………………こども?



…………わたしの?












しらない





……しらない……なのに…………




なぜだ…………思い……出したくない



そんな感覚がする…………



くるな…………とにかくくるな




お前は…………知らない、


いや……




「わすれなきゃいけないやつ」だ






…………お前のせい……と、







言いたくない――――――






〜シロツメ ナナシ〜

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