此岸

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12/4/2025, 6:21:03 PM

秘密の手紙

昔辛いことがある度に手紙を書いていた。
宛先不明。
誰にも届かないそれに、忘れたいと念を込めて。

そんな何十、何百にも及ぶ手紙を
部屋の掃除をしているときに見つけた。

いつもは開けない押し入れの奥底。
使い古されたような箱の中。

もう何年も前の手紙。
だから、開けてみようと思った。

大量の便箋。そのひとつを手に取り開封する。

その手紙には所々水滴の跡のようなものがあった。
泣いたのだろうか、この手紙を書いているときに。

最後まで読んでも
その時の自分の気持ちが私にはわからなかった。

もう過ぎたことだから。
今の私には辛かったという記憶しか残っていない。
何がどうとは説明できない。

そっか。
誰にも理解されないってわかっていたから
自分の中で消化しようとした。
でも消化しきれないから手紙にして
自分の思いを吐き出そうとしたんだ。

また、笑うために。
また、人と関わるために。
また、自分らしくいるために。

12/4/2025, 5:36:33 AM

冬の足音

冬に飲む水が好き。
とても冷たいのだけれど、
お風呂上がりに飲むと生きていると実感する。

冬に見る星が好き。
冬の夜空はとても澄んでいて、
世界は広いのだろうと何故か感じてしまう。

冬に入る電気毛布が好き。
最初は冷たいのだけれど、
入っているとだんだん暖かくなる優しい熱。

冬に食べるみかんが好き。
コタツに入って食べていると、
いつの間にか手が黄色くなっているんだよね。

これ全部、冬だから味わえる「好き」なんだ。


冬は今日本に遊びに来ている。
いつまで日本にいるんだろうか。
冬がきた痕跡をたくさん残して行って欲しいね。

12/1/2025, 4:29:29 PM

凍てつく星空

田舎に住んでいた。
だから毎日綺麗な星空を見ていた。

でも都会の方はそうではないことを知った。
あまりにの違いにびっくりしたな。
なんにも見えないんだ、本当に。

だからかな。
都会に出ると夜はいつも寂しい。
学校帰りの夜空はただずっと暗かった。
飲み込まれそうなほどに。

実家に帰った夜。
ふと空を見上げると一面に星が広がっていた。
広く、強く光る星々。
懐かしさと少しの肌寒さ。

星座なんて全く分からない。
どれがなんの星かなんて全く知らない。
でも、誰が見ようと皆が綺麗だと言うのだろう。


自分も恒星のように誰かを照らす人になれたら。
なれたらいいなと、思ってしまうんだ。

11/28/2025, 3:22:31 PM

霜降る朝

朝は苦手。夏も冬も関係ない。
でも寒いと起きるのがもっとキツくなるから、
朝はいつも少し暖かくなった時間に家を出る。

でも今日は何故か早くに目が覚めた。
二度寝もなんだかできなくて、
仕方なく体を起こしてストーブをつける。

市販の缶コーヒーをコップへ注ぎなおし、牛乳も入れ、
無糖ラテをつくる。
ブラックのままでも美味しいけれど、
今日は少し贅沢に。

沢山服を着込んだあとは、
少しだけ窓を開けて朝の匂いを嗅ぐ。
「冬らしい匂いだ」



朝は苦手。夏も冬も関係ない。
でも寒くなった朝に飲む無糖ラテ、
ストーブの何とも言えない匂い。

冬らしい朝もたまにはいいと思う。

11/28/2025, 4:18:22 AM

心の深呼吸

君の前に立つといつも少しだけ緊張する。
それは多分、君に嫌われるのが怖いからだ。

わかっている。
君は人を簡単に好いたり嫌ったりしない。

でも。
だから怖い。

気づかないうちに嫌われて
ハブられてしまうことが昔もあった。

どんなに顔色を伺っても
一度間違えばそれで全てが終わってしまう。

嫌われたくない。
君には嫌われたくない。

「大丈夫だよ」

私の心を読んだかのように君がそう言う。

「大丈夫、明日も明後日も多分晴れ」

あぁ、一緒に出かける話をしていたんだった。

「じゃあ折角だし2日とも遊びに行く?」

「えー!行きたい!」

ビデオ通話で映る君の顔は笑顔でいっぱいになった。

「ふふっ」
「どうしたの?そんなに笑って」

「私ね思うんだ。貴方といる時すごく幸せだって」
「だからね、大丈夫だよ。ずっと一緒!」

君の笑顔が眩しくて、
少しの深呼吸をした後、一番の笑顔で笑った。

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