狭い部屋で僕は1人。
窓から漏れる月明かり。
月明かりに、
思いを馳せる。
あなたに助けて欲しくて。
届かない思いが、
この狭い部屋に漂う。
僕は1人、
また悩みの中へ。
僕は夜が好きだ
だって、どれだけ泣いても誰だけ嘆いても、
誰にも気づかれないから
朝なんか来なければいいのに
って思う毎日
なんの希望も持てない苦しさ
分かってもらえるわけもない
分かってもらえるなんて大層なことは思っちゃいけない
だから僕は夜中、月を見て思う
夜中の真っ暗な僕の心に一筋の光を与えてくれる月
───「どうか夜が明けないで」
「ずっと僕と同じくらい暗い夜でありますよに」
僕は手を振る。
君はもう振り返ってくれない。
僕と君の最期の別れ。
昨日までは「また明日」って言ってたのに。
「明日」が来ることになんの疑いもなかったのに。
なんで今日は「明日」がないの?
僕は君に「また明日」って言うけれど、
君は答えない。
苦しいね。
涙で前が見えない。
君と「明日」を迎えたかった。
僕に「明日」は来ない。
君が涙を堪えてるのは分かってしまったから。
僕はずっと君と一緒にいたかった。
───大好きだよ。
貴女には一生響くことの無い愛を叫ぶ。
何回叫んでも、響かない。
でも伝えずにはいられない。
なんで、貴女は同性の、先生なの?
僕の愛は本気だよ。
でも、本気にはしてくれない。
伝わらなくても、僕は毎日愛を叫ぶ。
だって、僕は貴女が好きだから。
大好きだよ、先生。
僕が今日見た景色は、いつまでも忘れられないものになるだろう。
今日は全国大会。
高校3年間という時間を部活に費やし、この日を迎えた。
やっとこの舞台に立てたという嬉しさ。
直ぐに負けてしまうかもしれないという不安。
試合が始まれば、必死になるから、緊張などしない。
早く試合よ、始まれ。
───コテェ
声が響く
足音が響く
息が聞こえる
───ファイトォー、いいとこー
声援が聞こえる
最高の舞台だ。
次、勝てば入賞。
相手は優勝候補。
最後は楽しむと決めていた。
色んな人に応援してもらって立てた舞台。
こんなに素晴らしい舞台を用意してもらった僕は幸せ者だ。
同じ高校の仲間、同じ県の仲間、東海の仲間。
先輩の声、同期の声、後輩の声。
先生のアドバイス。
僕は独りじゃなかった。
とても多くの人に声をかけてもらって気にかけてもらった。
遂に、試合が始まる。
こんなに大舞台に立つのも、こんなに声援が聞こえるのも初めてのことだ。
ワクワクする。
───1本あり、勝負あり
僕は負けてしまった。
悔しかった。
でも、試合が終わった時、会場は暖かい大きな拍手で包まれた。
僕を応援してくれていた仲間たちが、僕に大きな拍手を送ってくれた。
試合に負けた悔しさよりも、多くの人に応援してもらっていたんだという事実が嬉しくて。
そして、感謝の気持ちでいっぱいだった。
僕はこの景色を、忘れないだろう。いつまでも。