20歳
強風吹き荒れる中
晴れ着姿で闊歩する若者をあちこちで見かけた
あーあ今日は成人式なのか…
私は田舎の成人式には出なかった
帰省せず
式当日は友人の成人式のお祝いへ行った
振袖姿に真っ白なファーの襟巻き
定番姿であふれかえる会場
華やいだ友人を愛でながら
彼女の手放しの笑顔が可愛いらしくて
私は普段着でめでたさを享受した
それはそれとして
自分自身は着飾り式には全く興味がなかった
父親は娘の晴れ姿を見たかったようだったが
冷めた気分で祝い金だけは貰った記憶がある
額も何に使ったかも全く覚えていない
一人暮らしを始めて久しいのに親の視線に囚われたまま殻も破れずにいる自分自身への焦り
成人がなんだと世間の声にウンザリしていた
今日まで気づかずに来たがあれはあれで
人生初めての親や世間への反抗で…
20歳にしては何とも恥ずかしい成長の証を残していた訳で
冥土の土産に
めでたい記憶の一つにしておきますわ
三日月
三日月が吹き飛ばされそうな夜
背後に満月の影
頼りなげない人影は
長く伸びることで大地にしっかりと立つ
色とりどり
はーいクリスマスプレゼント
真っ赤な包装紙に金色のリボン
贈り物慣れしている孫は
サッとひと引きでリボンを解いた
色とりどり36色のマーカーが鮮やかに花を添える…はずだった
ところが包みから顔を出したのは
原色とは程遠い渋めの色あいのキャップで
私はそれらを二度見して端末の画像で色選びをしたことを後悔し始めていた
ネエ描いていい?
孫は私の動揺には無頓着で得意の女の子をスラスラ描き始めた
あのね
これは重ね塗りやグラデーションを楽しめるペンなんだよ…私は苦し紛れの説明を付け加えた
言い終える前に彼女は新たな色を手にとりスッと重ねていた
色とりどりとは程遠いカラーラインナップのペン先から現れる彼女独自の色たち
お絵描きの大好きな子に届けてね
とカード書き添えていた
ばあばからサンタさんへのリクエスト通り
孫はあっという間に36色を自分流の色合いに変え増やして見せた
温かみのある一枚の絵からはエネルギーに満ちたハッピーオーラが溢れ出ていたわ
いつの間にか好きが高じて自分の色を作れるまでに成長していたのね
雪
冬の贅沢
おこたでアイスなんて夢のまた夢
西国では雪は貴重
1シーズンに一度あるかどうか
槙の葉に薄っすら積もった初雪を
せっせとかき集めて溶けないうちに
白砂糖をふりかける
むせながら頬張る
ホコリっぽい雪の味と砂糖の甘さ
ほんの半世紀前の子供の情景
君と一緒に
おこたの天板に片頬つけて
君とお昼寝
すこーしすこーし詰める距離
規則正しい寝息がかかる
わあくすぐったい
近づき過ぎておヒゲがボヤけた
ニャッ