27(ツナ)

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9/8/2025, 1:39:58 PM

仲間になれなくて

昔から仲間はずれになるのが怖かった。
いつも他人の顔色ばかり伺って、いつも"普通"でいようとした。
そんなつまらない私の日常に彼女は突然現れた。

派手な髪色に派手なメイク、派手な服装と派手なアクセサリー。
当然、周りの大人たちは彼女を"普通"にするために寄ってたかって『常識』という縄で彼女を押さえつけようとした。
そんな事お構いなしに彼女は無邪気に笑って大人達をからかい、冷めた目で見る周りの人達に堂々と中指を立てた。

私も例外でなく彼女に中指を立てられたけど、私の心はそんな彼女の虜になった。
ある日、私は勇気を振り絞って彼女に聞いてみた。
「あ、あの。…仲間はずれにされるのは、怖くないの?」
「ん?うん!"仲間"なんて言って他人の顔色伺って見下して寄せ集まってるだけのかっこ悪い集団は私には必要ないから。…けど、対等な"友達"なら募集してるよん!」

と、無邪気に笑う彼女。
私は無意識に差し出された彼女の手をギュッと握っていた。

9/7/2025, 12:02:24 PM

雨と君

雨の日は君を思い出す。
君を初めて見た時、たまたま君は走ってきて僕の横で立ち止まった。
急な雨で傘も差せずに来たのか髪や服が少し濡れていた。
水も滴る── とはよく言ったものだ。
雨露に濡れたその姿に僕は思わず息を呑んだ。
声をかける間もなく君は立ち去ってしまったけれど、そんな君の姿が雨の匂いと共に脳裏に強く焼き付いた。

どこの誰かも知らない君、もう会うことはないだろうけど、僕は雨を見る度に密かに君を思い出す。

9/6/2025, 1:33:33 PM

誰もいない教室

生徒たちが下校して教室棟には誰もいなくなった。そんな静まり返った教室に、私はひとり、忘れ物を取りに戻った。

教室の扉を開けようとした時、嫌な気配を感じてそーっと教室中を覗く。
教室の中には薄ぼんやりと透けた人達が何人かいた。
私は昔から"視える"質で、幼い頃から視える彼らを怖がることは無かった。
いたずら心から、教室の扉をガラッと勢いよく開けると彼らは一斉に私に注目して、そのまま固まったり「ぎゃー!!」と叫んでどこかへ消えたり、びっくりして泣き出す人もいた。
彼らは生きている私たちと同じく多種多様なんだな。

これは私が体験した、"生きた人間は'' 誰もいない教室のお話。

9/5/2025, 12:07:56 PM

信号

ひとつ先の信号で君を見た。
追いつきたくて走り出そうとすると、僕の目の前の信号が赤になる。
君の信号は青に変わって、また僕から遠ざかって行く。
「待って!」と叫ぶ声が届かない、姿が見えているのに追いつけない。

僕の目の前の信号が青に変わった。

僕は走って、赤信号で待つ君を追いかけた。
君に恋する気持ちはこの信号に似ているかもしれない。
想いが届かない、触れられない、行く手を阻まれる。だけど、僕は君に追いつくために必死に走る。君のことが好きだから。

9/3/2025, 10:44:37 AM

ページをめくる

彼女を初めて見たのは市営の図書館だった。
腰まである長い綺麗な黒髪から日本人とは思えない彫りの深い横顔がチラっと見えた。

伏し目がちに本を読むその目からは、まるで人形のような長いまつ毛が伸びていた。
ページをめくる度に目を輝かせて微笑む彼女にいつの間にか魅入っていた。

僕の視線に気づいたのか彼女は顔を上げて、目が合う。僕はフッと視線を逸らしてしまった。
彼女は僕の横にやって来て再び本を開いた。
「私ばかり見ていないで、あなたも本を読んでみてください。」
小声でいたずらっぽく彼女は囁いた。

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