揺れる羽根
最近は悪天候続きだったが、久々の晴れ間が訪れたので公園に散歩へ行くことにした。
河川敷を気の向くままに歩く。
青空を眺めて深呼吸をしていると突然、河川の対岸の方から『バサバサバサッ』と、とても大きな鳥の羽音が聴こえて思わず顔を向けた。
大きくて真っ白い鳥だった。
頭上を飛んで森林の方へ消えていったが、その瞬間、下から見えたその翼は光の反射なのか虹色に輝いているように見えた。
その鳥が去った時、1枚の羽根がヒラヒラと川に落ちた。
その羽は、川の流れに揺られながらキラキラと虹色に輝いていた。
あの鳥は一体。
秘密の箱
私が生まれたのは平成の初期の頃、昭和時代の名残が色濃く残っている子供時代であった。
小学生になると、ナンタラ防衛団だのナンタラ宇宙軍だの仲間を募って、秘密基地を作ってしょっちゅう悪さして遊んでいた。
その秘密基地に、アレはいつの間にかあった。
丸印の中に"秘"と書かれた小さな箱。
こんな箱のことは、みんな全く知らなかった。
秘密基地を建てた時、辺りは雑草や石だらけでこんな箱があれば目立つし、きっと自分達の基地に勝手に入ってイタズラした輩がいるんだと躍起になって犯人を探した。
が、結局誰が何のためにこの箱を忍ばせたのか分からずじまいだった。
肝心の箱の中身は見ることはなかった。
スチール缶の箱で、蓋の部分が赤黒く錆び付いて小学生の力ではビクともしなかった。
ただ、その箱はかなり中に量が入っているのか鉛のように重かった。
そして、揺らす度に『ちゃぷんちゃぷん』と何か液体が入っている様な音がしていた。
無人島に行くならば
「もしも無人島にひとつだけ物を持って行けるとしたら何を持っていく?」なんて問答を子供の頃はよくしていた。
大人になると捻くれて、なんで無人島に行く前提なんだ?とか、なんで無人島なんかに行くのにひとつしか物を持っていけないんだ?とか、そもそも無人島なんか好んでいかないけどな?とか雑念だらけだ。
そして今、俺はその無人島にいる。
経緯は省くとして、単純に事故だ。釣りをしてたら遭難からの漂着。現実に無人島に漂着することがあるんだなと関心してしまっている始末だ。
そして俺は今、身一つ、手ぶらだ。
今思うことは無人島に行くなら行き帰り用の船、テント、キャプ道具一式、非常食、水、防寒具、救急セット、火、ナイフは最低限必要だということ。
秋風🍂
私と彼の間に秋風が吹く。
少し肌寒いその風は肌に刺さってくるような嫌な冷たさ。
「涼しいね…もうすっかり秋だ。」
私が何を言っても反応しなくなった彼。
その態度がより鮮明に終わりを告げているように感じる。
昔、祖母から聞いたことがある。
『秋風が立つ』という言葉がある、仲睦まじい男女の間に亀裂が入り、縁が切れる事だと。
今この瞬間、秋風が私たちの縁を切った。
「秋(飽き)風…か。」
私たちは秋の落ち葉のように儚く終わった。
予感
この世に超能力者なんていないと誰かが言った。
本当にそうだろうか?
なんか、電話が鳴りそうだなと近づいた瞬間、本当に着信が来たり。
今日は別の道で帰ろうと回り道したら、いつもの道で事故が起きたり。
どこからともなくお線香の匂いがすると思ったら、その晩に祖母が他界したり。
世にいう『予感』『虫の知らせ』『勘』
これは超能力的な現象ではないのだろうか?
普段は動かない第六感が動いて少し先の未来を予知、回避する。
超能力者は実在する。
予感もある種の能力なのだ。