27(ツナ)

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11/24/2025, 12:12:05 PM

君が隠した鍵

鍵がない。
どこに落とした?いや、置き忘れたか?
まいったな。
鍵がないと、入れないじゃないか。

振り向くと、君が立っていた。
ニコニコしながら立っていた。
あぁ、君が隠したんだな。
僕の心の鍵。

鍵を取られた僕は君に囚われてしまった。
もう、君から逃れることはできない。


11/23/2025, 10:56:45 AM

手放した時間

現代を生きる私たちは常に時間に縛られ、時間に監視され、無意識のうちに時間に従っている。
まるで、『時間』の奴隷だ。

この世に電気や科学がなかった頃、人は時間と共存していた。
太陽が昇ると同じく目覚め、働き、沈んで月が現れれば休息を取る。
時計という『時間』が目に見える物が創り出された時から私たちは知らないうちに『時間』の支配下に置かれることになった。

もし、今の私たちが昔のように『時間』を手放したらどうなるのだろうか?
きっと、既に支配されてしまった私たちは見えなくなってもなお、時間に追われてしまうのだろか?
眠気が襲ってきて、考えるのも億劫になり、ノートパソコンを閉じて私は時計に目をやった。
「あ。もうこんな時間。眠らなきゃ。」

11/22/2025, 11:50:53 AM

紅の記憶

俺は物心ついた頃から独りだった。
母親はいたが夜の仕事でほぼ家にはいない、
父親は顔も名前も知らない。

高校を卒業してしばらく経ったある日、
『卒業おめでとう。最低限の面倒は見たから、あとは自由に生きてね。さよなら。』
置き手紙を残して母親は姿を消した。
1人には慣れていたから特に不自由はなく、むしろ気楽だった。
けど、不意に母親の記憶が体の底から湧いて出てくる時がある。

おぞましい記憶だ。
あれは中坊の頃、母親がひどく酔って帰ってきた明け方。
バンッと大きな音を立てて閉められた玄関の音で俺は目が覚めた。
「……おかえり、酔ってん───」
玄関に向かうと母親が勢いよく俺を押し倒した。
俺の顔を鷲掴みにして化粧ポーチから口紅を取り出すと、まるで血液のような紅色のそれを俺の唇に何度も重ねて塗った。
「あはっ、あははは!あははは!綺麗〜。男のくせに、女の私より。あははは!」
俺は恐怖と絶望と混乱で、馬乗りなる母親を思い切り突き飛ばして家を飛び出した。
それから俺は母親を避けるようになった。
居なくなって清々したはずなのに、余計にあの紅の記憶はまとわりついてくる。

嫌な記憶のはずなのに、忘れたい過去のはずなのに俺は囚われ続ける。
あの記憶を思い出す度に、あの日と同じ色の口紅を、自分の唇に塗り重ねる。
あの日、ほんの少しだけ感じた扇情的な気分は、どうしても消し去ることができなかった。

11/21/2025, 11:31:09 AM

夢の断片

俺に変な能力が芽生えたのはつい最近の事だ。
刑事という仕事を選んだ俺は日々悪質な犯罪、事件と闘っていた。

ある事件を追っている最中、捜査資料を徹夜で漁っていた俺は急な睡魔に負けてその場で眠ってしまった。
その時、俺は呑気にも夢を見ていた。
直前まで資料を読んでいたせいか夢の中でも仕事をしていた。
突然、頭を貫かれたような鋭い痛みを感じ反射的に目を瞑ると、脳内にフラッシュ暗算のように断片的な映像がパッパッパッと素早く流れて行った。
思い出せるものを繋ぎ合わせると、あるアパートが浮かび上がった。
「まさか…犯人がここにいるってのか?」
夢のできごとなんて、と懐疑的だったがなんとなく胸騒ぎがして目覚めた俺はすぐに先輩に連絡してもう一度捜査資料を分析し直すことにした。
その結果、奴のアリバイを崩し最終的には犯人逮捕へ至った。

その後も、新たな事件を追う度に俺は急に眠り断片的な夢を見てはそれを捜査の足がかりにした。
"夢" という非科学的・非現実的な方法ゆえ、この事は先輩にも誰にも言うことはなかった。
ある時先輩から、
「最近いやに調子いいけど、違法捜査はしてないよな?」
とせっつかれ俺は誤魔化すように答えた。
「刑事のカンが当たってるだけっすよ。」


11/20/2025, 10:36:49 AM

見えない未来へ

それは誰にも分からない。
どう進むべきか、どう転ぶか?
誰一人として予測不可能だ。

見えないことが不安だと嘆く人がいる。
結果なんてわからないのに、挑戦すら諦める人がいる。
予測ができないからこそ、楽しむべきではないだろうか?
勇気をだして挑んだ先の結果を、期待するべきではないだろうか?

わたしは、見えない未来にこそ、希望を抱いている。
予測不可能を楽しめ。
見えないを怖がるな。
生きている、それだけで私たちは勝者なのだ。
共に見えない未来へ向かって生ある限り前進あるのみ。

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