街中は鮮やかな赤に包まれている。
みんなの笑い声の数だけ街には暖かい光が灯っていた。
1人はバイトにいそしみ、
1人は大切な人と綺麗な町あかりを眺め、
1人はかけがえのない友人とゲームをしている。
予定なく友達とLINEをしている私もまた目を瞑って思い出した。
あの日の街に流れる華やかな音楽を、
あの日降り積っていった冷たく暖かい雪を、
暗黒の夜に鼓動をともした煌めきたちを、
プレゼントに胸を踊らせ布団にくるまった温かさを、
私はこれからも、誰と過ごそうとも、この日が大好きなんだろう。————-
いつの間にか口元は微笑んでいた。
「遠い日のぬくもり」ўциа
シャラン—————。
シャラン—————。
光で何も見えない外から舞う、光りの粒に合わせ。
澄んだ神楽鈴の音が鳴り響く。
雪なのか。桜なのか。
分かりそうで分からないこの光の粒を私は体で受け止めた。
美しく整備された床板と朱色の柱
まるで私は選ばれた光の巫女のようだ。————
この特別感をいっぱいに空気とともに吸い込んだ。
なれるはずのない夢を心の隅に弾き、
今この場所にいる事実だけと手を握った。
目を閉じて祈った。
このずっと、これからも、永遠に回廊が終わらないことを。
冷たくも暖かくもない風になびく髪を感じながら、
私はまるで光の巫女のように、厳かに足を進めた。
「光の回廊」ўциа
空は、確か澱んでたかな。
部活のみんなでご飯を食べに行った。
また孤独を認識させられる気がした。
それなのにあなたは、
ナゲットを1つくれた。
ふざけてくれた。
笑ってくれた。
袖の中に手を突っ込ませてくれた。
30分も立ち話に付き合ってくれた。
あなたの袖の中は人の温もりがしてホッとした。
ここに居ても良いって言ってくれてるみたいだった。
こんな日々がずっと続いて欲しい。————-
そんな叶わない泡沫の夢を、私は捨てることなく留めた。
帰りの空は、オリオン座が良く見えた。
「心の片隅で」ўциа
ずっと苦しかった。
病名もない。でも確実に私のなかで渦巻いていた濁った霞。
気のせいな気がして誰かに言うことを拒んでいた。
差し伸べてくれていた手を見て見ぬふりをしていた。
ただ怯えていただけなんだ。
今まで作り上げてきた暖かく優しいみんなが
私の霞を垣間見た瞬間に離れていくことが怖かった。
明確な病を持たないのに苦しんでいる私が嫌だった。
今日、急に右半分の顔の感覚がなくなった。————
正直嬉しかった。自分のやっと苦しさが認められた気がした。
いつもより雲の隙間からさす日光が神々しく、神秘的だった。
明日も、これからもずっとこのまま。
私に指す光が永遠に。—————
「明日への光」ўциа
あの日々は数え切れないぐらいに私の心に灯りを宿した。
春夏秋冬、朝昼晩、ふとした瞬間、学校生活、家の中
数え切れないかけがえのない温かさはほんとにあった。
ほんとにあった 。————
確かにあったけど、私にはもう思い出すことは出来ない。
濃霧がかかっているのか。ガラスのように粉々になったのか。
今の私には知る由もない。知ることが出来ない。
慈しい記憶は、今の私の中に留まることをしなかった。
「ぬくもりの記憶」ўциа