夜空の音

Open App
12/19/2025, 10:39:26 AM

手のひらの贈り物

いつもよりまだ暖かい方だと思いながら、自分の手を見る。変色していないし、シワも少し見える程度。
いざとなればポケットで温めたらいい。なんて思っていると、隣から手が伸びてきた。
「あいっかわらず、冷たいなぁ。」
触りたくないと言いながら、彼は私の両手を自分の手で包む。
温かい彼の手は、私の手によってすぐに冷たくなっていく。申し訳なくて、手を離そうとすると、ギロリと睨まれた。
「....ごめん。」
彼はまたギッと睨むと、何も言わずに私の手を握り続けて、息を吐いて温めてくれた。
「手、温かいね。」
「お前と違って心温かいから。」
そうだね。と言いながら、頬が緩むのを止められない。
「ありがと。」
ん。と言いながら、彼はやっと笑ってくれた。

12/18/2025, 10:25:28 AM

心の片隅で

大丈夫、大丈夫。
そう言って、そう言い聞かせて、笑い続ける。
でも、本当は大丈夫じゃないかもしれない。
だって、こんなに胸が苦しいから。

12/17/2025, 10:17:19 AM

雪の静寂

目を開けると、美しい女性たちが踊っていた。彼女たちは私に気づいて、駆け寄ってきた。
『踊ろう』
『遊ぼう』
彼女たちは私にそう告げて腕を引っ張る。
私の頭はぼんやりとしていて、その誘いに導かれるままに彼女らと踊った。
あたりは1面白く、雪が優しく降り注いでいる。そして、真っ白に相応しく音がしない。
....あれ?
そこまで考えて、急に背筋が凍った。
音がしないのに、どうして彼女達の言葉がわかったんだろう。思わず動きを止めた私に、彼女たちは、どうしたの?踊らないの?と尋ねてくる。
ここは何かがおかしい。
彼女たちを振り払って、私は走った。
『ばれた』
『つまんない』
そう聞こえ、走りながら彼女たちを振り返ると、妖精のように美しい女性達はいなかった。そこにいたのは、おぞましいお化けのような姿をする生き物だった。
その姿を認識すると、頭が一気に晴れた。
ひっ。と喉の奥が引き攣る。
白い世界は、赤く血の色に染まり、雪は血の雨となって、私の目に映った。

12/13/2025, 3:21:04 PM

遠い鐘の音


近くで鐘が鳴った気がした

同じ鐘が2回なったと思っていたけど私だけだったミタイ

あなたにも鐘が鳴ってたらなと重いながらわたしは鐘をならした
(Byあーちゃん)
ーーーーーー

鐘の音が遠くから聞こえる。
窓を前回に、冷たい空気を頬に感じながら、私たちは山を登った。ずっと行きたいとマップのお気に入りに登録されていた山へ、私たちは目指した。鐘を鳴らせるのだそう。
2人だとバカになる私たちは、音楽を大きな音にして、歌詞を口ずさむ。

歌詞を間違えたっていい。
音程を外してもいい。
私たち2人だけの空間だから、楽しければなんでもいい。

近づくにつれて、鐘の音が大きくなる。
車を駐車場に停めて外に出ると、山の頂上でとても寒かった。だから、私たちは自動販売機で温かい飲み物を買った。
私はレモンティ、この子はほうじ茶。いつも同じ。
ヒールで転けそうになりながら、私たちは手を繋いで階段を登る。2人だとなんだって楽しい。階段の数を数えるのですら笑いが堪えられない。

私たちの目の前に、広い夜景が広がった。
広い空は美しくて、私たちは2人で写真を撮った。
帰りに、ブランと垂れ下がった綱を見つけた。これが鐘を鳴らせるらしい。
「お願いして鳴らそ!」
どちらが言い出したのかわからない。
私が先に鳴らす。
「あーちゃんが笑っていられますように。」
大きな音で鐘が鳴り、なんだか叶う気がした。
あの子が鐘を鳴らす。
「みーちゃんが幸せになりますように!」
また、大きな音で鐘が鳴った。

私とこの子の目が合う。
思わず2人で吹き出した。
「結局同じこと願ってるじゃん!」
仲良しすぎる私たちは、ドリンクを片手に2時間も夜景を見ながら話をした。
まだ、帰りたくない。
(By夜空の音/みーちゃん)

12/10/2025, 10:23:01 AM

ぬくもりの記憶

外から帰ってきても、部屋の中は冷え込んでいて震えが止まらない。
布団に潜り込んでも、中は冷たくて体温を奪われるようだ。
それでも、小さく丸まりながら暖かくなるのを待つ。

身体はなかなか暖かくならない。なのに、胸の奥が熱くなってくる。
息苦しい。
その熱は次第に大きく膨れて、寒さを感じなくなった。胸の痛みと息苦しさに紛らわされた。それでも、震えは止まらない。
はぁ、はぁと過呼吸のように息をする私は、なんとも滑稽だ。
頭の中がうるさい。
耐えきれず、私は抱き枕を抱きしめた。
大好きだった彼の匂いはとうの昔に消えてしまったのに、その上着を抱き枕から脱がすことができずに、今日を迎えてしまった。
「わかってたのにぃ....。」
抱き枕の頬に当たる辺りが冷たく濡れるのを感じながら、彼の匂いを求めてさらに抱き枕をきつく抱きしめる。彼の温かさを求めて、毛布の奥に潜り込む。
それでも、彼の面影はなくて、彼が私を呼ぶ声が、彼の笑い声が脳内に重なって聞こえる。その隙間を縫うように、言葉が永遠と反芻する。
『あいつ、やっと新しい彼女できたんすよ。あなたと違ってギャルなんすけどね』

今日は特段に冷え込む1日だった。
今日は特段に疲れた1日だった。
今日は、何も無かった1日だった。何も。何も聞いていない。
そう、言い聞かせる。

Next