「時を結ぶリボン」
私が身につけていたリボンを、あなたが解いた。ずっと、自分では解くことができなかったリボン。いつの間にか、このリボンに過去と強く結びつけられてしまっていた。
そんなリボンをいとも容易く解いたあなたは、全く違う色のリボンを私に手渡して、こっちの方が似合うよ、と笑った。
過去という時と私を縛り付けていたリボンは、今は色を変えてあなたと私を結びつけるものになった。
いつかこのリボンが、私とあなたの未来と結びついてくれますように。
「手のひらの贈り物」
まだ幼かった頃。私の誕生日に、君がプレゼントを渡してくれた。すこし泣いた跡が残った顔に、それでも満足げで嬉しそうに笑って差し出した手のひらには四葉のクローバーがあった。
私のために、泣きながらも一生懸命に探してくれたことが幼いながらに伝わってきて、とても嬉しかったことを覚えている。
今、私の目の前にはあの時と同じ表情をした君がいる。涙を浮かべた瞳に嬉しそうな笑顔。手のひらには四葉の模様が入った指輪が光っていた。
つられて泣き笑う私の顔も、きっとあの時と変わっていないのだろうなと思いながら、私は君を抱きしめた。
「心の片隅で」
君は今、どこで何をしているのだろう。必死に追いかけていた夢は叶っただろうか。
不思議だ。君と別れて数年になるのに、今だに私の心には君がいる。
もう二度と、君に会うことはないかもしれないけれど。
君の夢が叶うことを、今も心の片隅でそっと祈っている。
「雪の静寂」
一歩外に出ると、一面真っ白な雪に包まれていた。まだ足跡ひとつない白い地面。去年の私は、年甲斐もなくまだ眠そうなあなたを呼んではしゃいでいた。雪にはしゃぐ私と、そんな私に半ば呆れつつ、でも温かく笑うあなたがここにいた。あの時は雪の日が静かだなんて思ったこともなかった。
でも、今年の雪の日はとても静かだ。1人だと、はしゃぐ気にもなれなかった。
何もかもが冷たくて、静寂がむしろうるさく感じる。
そっと頬を伝う涙だけがやけに温かかった。
「君が見た夢」
君がかつて見ていた夢。とても遠くて、不可能だって思うような夢。周りの人間たちは否定したり笑ったしたけど、それでも君は歩き続けていた。そんな君が眩しかった。だから隣で支えたいと、手を伸ばした。
でも、遅かった。君の心は限界で、君は夢を叶えることなくいなくなってしまった。
だから、私が叶えるんだ。君が見た夢の先の世界を、いつか君に伝えるために。