「この世界には絶対にやってはいけないことがあるんだよ。」
そう言って不敵に微笑む男。
「ふぅん。それは例えば?」
男の顔から笑みがきえ、まるで時が止まったかのように微動だにしない。
体感1分位2人して黙っていたところで男が口を開いた。
「例えばって…なんだよ。」
「……は?」
考えもしていなかった答えに、驚きを隠せない。
「どういうこと?」
「…さぁ?ま、精々あんたが今までやってきたおこないでも振り返ってな。」
男は一気に言い切ると、ポケットに手を突っ込み黒い塊を取り出し、それを俺に向けた。
「地獄で。」
男がそう言ったと同時に、体に尋常じゃない痛みが走る。
なんだよ。知ってたのかよ…。
絶対やってはいけないこと?そんなの誰よりも知ってるさ。
薄れゆく意識の中、ただ男が勝ち誇ったように笑う声がはっきりと聞こえていた。
「なぁ、なんでこの時計、修理に出さないのかい?針がずっと10時ぴったりで止まっているけど。」
僕の部屋に遊びに来ている友が部屋の真ん中にある大きな時計を見て指を指す。
「あぁ、その時計か。それは壊れていないよ。」
友人は訳が分からない、と言うように眉をひそめる。
「じゃあ、なんでこの時計は10時を指してるんだ?なにか意味があるのか?」
相当気になるのか、友人が早口で問いかける。
「……別に深い意味は無いさ。誰だってわけも分からずやりたくなることはあるだろ?」
友人は困惑の表情を浮かべた。そりゃそうなるだろう。僕も誰かがこんな事を言っていたらそんな顔になるはずだ。
「…まぁ、そうだな。」
と、無理やり納得したような声音で言われた。
何。その変わり者を見るような目は。
…だって仕方ないじゃないか。自分でも訳が分からないのだから。
「1000年先も」
夜眠れない時に、たまに考えることがある。100年先、1000年先の地球はどうなっているか。当然、僕はもうこの世に居ないだろう。それか、人類すら存在していないかもしれない。僕の今までの短い人生の間まででも、人類は発展しているのだから、その先の未来はどんなすごい技術があるのだろう。もしかしたらひみつ道具みたいなものも実現出来ているのかもしれない。でもきっと、いい事ばかりじゃない。自然は今もどんどん無くなっている。人の争いだってある。
……でも、本質は大体今と変わらないんじゃないかって毎回同じ答えにたどり着いて、いつの間にか眠ってしまっているんだ。
「閉ざされた日記」
明日から進学のために上京する、っていうことで部屋の隅の収納に押し込んでいたものを整理していたら、懐かしい物が出てきた。
――鍵付きの日記。
その日記は、白を基調としたシンプルなデザインで表紙に鍵穴が付いていた。この日記を私はひどく気に入っていたのか、今日買ってきたみたいに綺麗だった。
小学生にとって「鍵付き」というのはロマンに溢れていたんだろうな、と思えた。
…はて、中には何が秘められてるんだ…?
と思い日記を読もうと思ったが肝心の開ける鍵がない、ということに今更気づいた。
鍵はどこにあるんだっ!と頭をフル回転させたが皆目見当もつかない。幼い頃の私がする事だから、きっと思いもよらないような場所に隠したんだろうな、と自分に呆れつつも、もう一生開かないかもしれない目の前の日記にどこか切なさを感じた。
「夢を見てたい」
僕はあまり夢をみない。だけど夢ってものは、自分が覚えていないだけで毎日みてるものらしい。そういうことなら僕は、この夢だけは何故か覚えているって事になる。
…その夢には、僕の大好きな君がいて。そんなはずはないのに、僕に微笑みかける君がいる。
…目覚めたら何とも言えないやり場のない気持ちになる。忘れたいのに、忘れられない。こんな気持ちどこかに捨てられればいいのに。
でもまだ…夢を見ていたい。