「なあ、今幸せか?」
「オレ?毎日幸せに決まってんだろ」
「へえ、そんな強気になるくらい幸せなんだな」
「は?何言ってんだよ、お前がオレの隣で生きてんだから当たり前だろ」
「ふーん」
「じゃあそういうお前はどうなんだよ」
「俺もおんなじだよバーカ」
「バカって言うほうがバカなんだよバーカ」
【幸せとは】
「今年の抱負、ねぇ」
「まずはバイトしてガンガン稼ぐ。その金でお前と色んなことするんだ」
「そんであとは、めっちゃ修行する。めちゃくちゃ強くなって今度こそお前に勝ってやる」
「あとは…料理の練習とかもいいかもな。そういうところでもお前に負けてっからな。ぜってー上達して、美味いもん腹いっぱい食わしてやるよ」
「………」
「………………あー」
「…分かってるよ。それ全部やるためには、まずお前を生き返らせねえと」
「オレ頑張るから。見てろよ」
【今年の抱負】
相棒の泊まってけ攻撃を振り切って帰宅する。
そして、この先3日分くらいの荷物を持ってまっすぐ戻った。
本日2度目の玄関での対面に、相棒は面食らったように目を見開いた、かと思ったら拗ねと嬉しさが混じったように顔を歪めて、「ずるい」と一言呟いた。
うん、いい気分で新年を迎えられそうだ。
【良いお年を】
池に張った氷に映っている………「映っている」ともいえないような、ぼんやりとした、色つきの影みたいな像を見つめる。
「……」
目をつぶる。
そしてもう一度開いたら、未だ眠り続けるアイツが、そこに映って、
などいない。
当たり前だ。
オレはオレでしかないし、鏡は目の前の実体と同じものしか映さない。
どんなに大事な人であっても、己にその姿を投影することはできない、そんなの分かってる。
それでも、ファンタジーみたいに、ここに別の誰かが映って、こちらに話しかけてきたりしないかなんてことを、ふと思ってしまった。
はあ、とその場に白い息を残す。
「…もう行かねーと」
氷鏡に映る自分に向かってそう独りごちて、立ち上がった。
【凍てつく鏡】
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氷面鏡(ひもかがみ)という言葉があるそうですね。
アイツの眩しい笑顔。
触れた頬の感触。
手の温度。
全部、失ってから思い出す。
【遠い日のぬくもり】