『心の片隅で』
いつもありがとうございます。
今日もスペースのみです💦
『君が見た夢』を更新しました。
ちょっとワタワタしながらの更新のため読みにくいかもしれません。
本日もご自愛してお過ごしください😊
『雪の静寂』
いつもありがとうございます。
今日もスペースのみです。
明日からも私用でバタバタしそうです💦
『スノー』を更新しました。
とりとめのない内容ですが、ご興味がありましたら目を通してくださるとうれしいです。
今日もご自愛してお過ごしくださいませ。
『君が見た夢』
「れーじくん……」
愛おしそうに、俺の名を呼ぶ彼女の声で目が覚めた。
隣を見ると、彼女は健やかな寝息を立てている。
俺の夢でも見ているのだろうか。
ついに彼女の夢の中にも行けるようになったとは感無量だ。
自認できないのが大変残念である。
というより、彼女の夢の中にいるであろう俺に嫉妬しそうだった。
久しぶりに触れたせいか、昨夜は彼女に無理をさせた。
潰さないように彼女の上に覆い被されば、余韻を残した彼女の皮膚がヒクリと震える。
まだ覚醒しきっていない彼女には悪いと思いつつ、その首筋に吸いついた。
眠っている状態でも俺の唇に反応する彼女が愛らしい。
歯止めが効かず、ついその細くて柔らかな首筋に痕を残した。
何度かその行為を繰り返しているうちに、抵抗とも呼べない力で俺の肩を押す。
「……れーじ、くん?」
「あ。さすがに起きました?」
焦点の定まらない瑠璃色の瞳は、まだ眠りの世界を漂っていた。
「でも、もう少しだけこのままで」
彼女の手を取って、シーツの上に縫いつける。
「んっ……」
掠れた声が溢れた瞬間、揺蕩っていた瞳が反射的に閉じられた。
キスを待つその仕草がかわいくもあり、毒でもあり、俺は生唾を飲む。
「こら。ちゃんと我慢してください」
「やっ、ぁ……っ」
身動きが取れないのか気に入らないのか、背中を逸らしながら身を捩る。
うっすらと瞼を持ち上げた彼女の瞳には、薄膜が張っていた。
眉を下げて肩を小さく上下させる彼女の表情はひどく扇状的で、背筋からゾワゾワと昂りが迫り上がる。
「その顔は、ずるくないですか?」
「……なんで……」
夢の中の俺にどれだけしつこく迫られたのか、彼女の態度はやけに素直だ。
このまま俺の気がすむまで甘やかそう。
そう決めたとき、タイミングがいいのか悪いのか、彼女が覚醒した。
「なにっ、な、なに、がっ?」
「動揺しすぎ」
彼女の乱れた横髪を耳に流せば、言葉を詰まらせて体をこわばらせる。
いちいち反応が艶かしくて、俺の理性が削ぎ落とされた。
なんか、朝から、いろいろダメになりそうだな。
ジッと彼女を見つめていると、彼女はおずおずと視線を合わせてくる。
「ね、……その……」
言い淀む彼女の艶めいた表情や、唇を噛みしめる仕草、揺れる視線でなんとなく彼女が求めていることを察した。
「んっ」
軽く顎に触れただけで熱を帯びた声が溢れる。
夢の中で焦らされたであろう彼女を、現実の俺が甘やかすのは最高だ。
夢の中の俺よ、嫉妬に狂えばいい。
「下、向いてたらキスはできませんよ?」
赤く色づく頬や、縮められる距離、トクトクと速度を増す鼓動に耐えきれなくなった彼女が視界から俺を遮る。
長い睫毛が下を向いた瞬間に、薄い桜色の唇に自分の唇を重ねた。
「ふ、ぅ……」
短くなっていく彼女の吐息が艶かしくて、理性がこそぎ落とされる。
浅く口づけていたはずが、どんどんと深くなっていった。
彼女が求めてくれるなら、と調子に乗った自覚もある。
「夢の中の俺にどこまで焦らされたんです?」
「ち、違っ!?」
慌てて俺の胸を押し返す彼女に、クツクツと喉を鳴らした。
「違うんです? あんなに愛おしそうに俺の名前を呼んでくれたのに?」
「なにそれ。全然呼ばせてくれなかったクセに」
「そうなんですか? 俺、あなたに呼ばれて目が覚めたのに」
「目が覚め? ……ちょっ!? あぁぁっ!?」
口を滑らせたことを自覚した彼女が頭を抱えた。
オフの日の彼女は心配になるくらいガードが緩い。
「それはそれは」
夢の中の俺にいじめられてかわいそうに。
しおしおと小さくなっていく彼女を包み込んだ。
「いじわる」
俺の腕の中でモゴモゴと彼女はひとりごちる。
いじけている彼女も大層かわいくて、甘やかした。
「現実の俺なら、好きなだけ呼んでくれていいですよ?」
「…………うん」
「……」
うん、じゃなくてだな?
意地っ張りもかわいいけど。
そこは恥ずかしくても、俺の名前を呼ぶところだろう。
「そんなれーじくんも好き」
ドッッッッッッ!?
思わぬ言葉に、心臓が震える。
思いの丈を告げられるとは予測しておらず、理性の砦となっていた眼鏡をベッドボードに投げ捨てた。
「俺のほうが好きなんで、覚悟してくださいね」
「あ、ウソっ、だって朝……っ!?」
服の下に伸ばした腕を彼女が掴む。
余熱を残したその体で、彼女がまともに抵抗できるはずがなかった。
「朝からガンガンに煽ってきたのはあなたでしょう?」
柔らかな皮膚を指先で弾けば、彼女の抵抗は止まる。
「ちゃんと責任とってくださいね?」
彼女の甘やかな声を再び唇で塞ぐのだった。
『明日への光』
いつもありがとうございます。
今日もスペースのみです。すみません💦
寝落ちばかりでなにも進められずです😭
『星になる』
空へと託した思いが星となってきらめくのか。
はたまた、成就した願いが輝きに満ち満ちて星となるのか。
都合のいいときにしか縋れない俺には、どちらにせよ関係のないことだった。
*
街中のイルミネーションや、ショッピングモールのBGM、駅前のクリスマスツリー。
12月に差しかかるやいなや、世間は一気にきらびやかな雰囲気を纏った。
カップル3大イベントのひとつでもあるクリスマスは、たくさんの人々を浮き足立たせる。
当然、俺もそのひとりだった。
今年は彼女と迎える初めてのクリスマスになるのだが、残念ながら、俺はひとりきりで過ごす。
この先、彼女と関係を続けていくのであれば、この悲しい現実は避けて通ることはできなかった。
人生の真ん中がスポーツになっている彼女は、浮かれた世間と反比例するように緊張感が高まっていく。
神経質に周囲に気を配りながら、彼女は静かに牙を研いでいた。
会いたいな……。
俺が自重するべきなのはわかっていたが、言い聞かせるほど彼女に会いたいという欲求が強くなる。
携帯電話のメッセージアプリを開いて、「会いたい」という4文字を打っては消してを繰り返した。
「今夜、会えますか?」
さすがに恋に恋する乙女すぎて自己嫌悪したのち、俺の本音を彼女に送信する。
「明日は休みだから大丈夫」
なんて、期待しかさせてくれない返事が来るから調子に乗りそうになる。
「よかった。ちょうど小さなクリスマスツリーを出してみたんで、見にきてください」
「ん。19時前には行けると思う」
世間がクリスマスに染まっているうちに、少しでも彼女と時間を共有したくて無理を強いた。
ふたつ返事で応じてくれた彼女の本音には、怖くて触れられていない。
それでも、ヘタクソなインターフォンが聞こえると、自然と胸が高鳴ってしかたがなかった。
「忙しいのにすみません。連絡くれれば駅まで迎えに行ったのに」
「そこまでしなくていい」
マフラーで口元を隠し、はにかむ彼女の姿が愛おしくてたまらない。
「それより、これ……」
食欲をそそる揚げ物の香りがすると思ったら、彼女がチキンを買ってきてくれた。
「突然クリスマス、とか言うから……。で、でも、いきなり言われてもプレゼント? とか用意できてなくて。食べ物だから代わりに、なるかはわかんないけど、ないよりかはマシかって」
「うれしいですが、でも、あなたに揚げ物は重たくないですか?」
「私は、パイ生地の中にシチューが入ってるヤツ買ってきた。あ、れーじくんの分もあるよ?」
ビニール袋を広げて彼女は中身を見せてくれた。
どうやらチキンのほかにも、サラダなども買い込んでいるらしい。
「なら、冷める前に一緒に食べましょうか」
彼女の手荷物を引き取りながら、制汗剤の香りが残る耳元に口元を寄せた。
「あと……」
耳元で喋りかけただけで、彼女は皮膚を小さく震わせる。
潜めた息が鼻から抜けて甘く掠れた音が溢れた。
彼女のその仕草ひとつで、理性が削ぎ落とされる。
「今日はもう、帰さなくてもいいんですよね?」
「ん。……ん!? んんっ!?」
ボンッと顔を染めて、彼女は大きな瞳を丸々とさせた。
いったい俺になにを期待したのやら。
嗜虐心を煽られるが、玄関に立ち込める揚げ物の油とハーブの香りが色めく雰囲気を作らせてくれない。
「え? なんですかその反応!? まさか飯食ってすぐ帰っちゃうつもりですか!? お外もこんなに暗くなっちゃいましたよ!? もっとゆっくりしていってください!? 寝室の飾りつけ、まだ少し残ってるんで手伝ってほしいですっ!?」
「飾っ……り、つけ?」
「ええ。なので、とりあえず、あがってください」
玄関の鍵をかけ、チェーンも閉めて逃げ道を塞いだ。
冬の澄んだ空にきらめく星々よりも一等輝く彼女を、早く抱きしめるために。