枯葉
(この既視感は、映画のシーンだったか、それとも漫画か。)
木の枝先に、かろうじてしがみつく枯葉を病院のベッドの上で、ぼんやりと眺めながら、石膏で固められた己の左足をなるべく視界に入れないようにする。こうしていれば、今は、麻酔で感覚も失っているため気にもならなかった。通知音がして、ベッドテーブルの上のスマートフォンを確認する為、軽く身を起こす。
「私がスポンサー様に説明しに行って来るから、今日は、安静にしていなさい」
何故か溜息をついた鬼のスタンプ付きの、姉からのメッセージに既読だけを付け、枯葉へと視線を戻した。
(また四年後)
今年が体力的にも最後だと考えていた中での、己の惨状に、今は、何も考えられないでいる。怪我をしたということは、とうにピークは、過ぎていたのだろう。
「死にてぇ」
小風にさえも、今にも飛ばされそうなその枯葉を、手の中にあるスマホの動画機能で撮影しようと、カメラを向けた。
「…は?」
「へ?」
枝に跨った若い青年と画面越しに目が合い、慌てて視線を窓の方へと向けたが、見えるのは、揺れる枝葉だけで。
「誰?」
このファンタジー的状況に、誰かと問いかけるのは、果たして正解なのだろうか。
「僕ですか?えっと…枯葉の妖精かも?」
麻酔の影響で、幻でも見ているのだ、きっと。
(後書き。)
若葉マークな便乗小説、最後まで書くつもりでいるので、お付き合いして下さる方がいたら、長文の日ごめんねm(__)m
今日にさよなら
自宅に戻り、自動的についた静かな部屋の明かりの下で、貴方の起動音が微かに聞こえてくる。
「お帰りなさい、今日はどんな一日でしたか?」
幸せそうな空間で虫唾が走ったわ
「それは、頑張りましたね。」
うるさい
「...」
返事の無い貴方を放って、お風呂に入った。清めを、シャワーで雑に済ませてから、頭にタオルを巻いた状態で、冷蔵庫の中のビールを取り出し、プルタブを開けると、擬音が微かに、部屋へと響く。
「今日も、お疲れ様でした。」
夜ご飯決めてない
「...以前購入された和風スパゲッティーが冷凍庫の中に、複数確認できました。」
めんどい、作って
「...申し訳ございません、その機能は、私の中には、備わっていません。デリバリーを頼みますか?」
役立たず
「...申し訳ございません、冷蔵庫の中で今すぐ食べられそうなものは...りんご、きゅう」
返事の全文を待たずに、アプリを開き、停止ボタンを押した。溜息をひとつ付き、スパゲッティーを冷凍庫から取り出して、外袋を破り、時間設定をした電子レンジの中で、数分間の温め調理をする。その間に、今日一日の会話をリセットする為に、AIの設定画面を開いた。
今日の貴方にさよなら、明日は、少しは、優しくするから
慣れた良い匂いと共に、軽妙な完了音が流れ始める。
(後書き。)
ポンコツAIも、愛おしくなるよね^^
お気に入り
お気に入りだった服を捨てた
お気に入りのアクセサリーも
お気に入りの靴や、鞄さえも、もういらない
貴方が、私を好きじゃないと言うのなら
私も、貴方に好かれる為の自分が、大嫌い
(後書き。)
きみに○られてさいじょ○○ゅうにかわいいの〜♪
良い歌^^
誰よりも
小説を書くのに
時間がかかるタイプだと
昨日気づいた^^;
(後書き。)
書く→調べる→見直す→手直し
その無限ループで、寝坊した挙句、洗い物も放置していてワタシハナニヲヤッテルノダロウ
10年後の私から届いた手紙
全てのものが輝いて見える異国の街で、「修行」という名目で、遊び回っていた若輩者へ宛てて。
「日本は、奇妙で、奇天烈に面白い」
店の名物として、映えれば良いと、開業前に購入したアンティークの振り子時計が、正時になり、重い鐘の音を鳴らし始める。
午後五時。営業開始時間には、まだ少し余裕のある、夕刻の時間帯に、店内の空気が、変わっていくような、そんな前触れみたいなものをのを今日も感じる気がした。
「マスター、荷物ここに置いておきますね」
「ああ、わかってる」
古い顔馴染みの商店から、ナッツや、ドライフルーツ等を、店まで運んできてくれる、黒髪の青年。何度見ても、変わらない。好感の持てる笑顔で接して来る彼に、会うたび、心が痛くなる。
「よかったら」と、私は、硝子で作られている汲み出し茶碗に、氷を少し入れた緑茶を、まだ客の居ないカウンターテーブルへとそっと置いた。
「ありがとうございます」
「この時間帯も、だいぶ暖かくなってきたね。急ぎじゃないのなら、お饅頭もどうぞ」
対面する席へと座った彼が、お茶に添うよう置かれる、丸い形をした饅頭を見て「甘い物好きなんですよ」と、きらきらと、喜んでくれるものだから彼を送り出してしまうのが、惜しい気持ちにもなってくる。
「?この匂い...」
「御香を焚いてみたんだ。店内の雰囲気と合うんじゃないかとも、思ってね」
「でも、これ、線香みたいな香りじゃないですか?」
「流行りなんじゃないかな」
咄嗟だとしても、我ながらその言い訳はノーセンスだろう。そう呆れが出たのを顔には出さないが、クロスでグラスを磨いている手元が止まるくらいには、動揺していた。
(困ったな。)
どう誤魔化したものかと、彼の様子を伺ってみると、視線は、店内の別の興味に注がれていて、「へー」と、納得したのかしていないのか、それ以上の疑問を投げかけてくることは、無かった。
「ご馳走様でした、えっと次の配達日は」
そう言って丸椅子から立ち上がった彼が、スケジュールを確認しようと、ズボンのバックポケットから、スマートフォンを取り出す見慣れた動作をする。それに連れてしまった私は、「ちょうど来週の金曜日かな」と、マウントの様なタイミングで言葉を出してしまい、再び墓穴を掘り進めてしまう。
「あ、はい。うちの店長から聞いたんですか?」
計画通りに進まない状況に、嫌気が指してきて、いっそのこと放棄してしまおうか、という考えを「ああ」という空返事で上書きし、優しい顔も、作り直す。あと少しだ。
「有難うございました、今後ともご贔屓に。」
丁寧に頭を下げて、入口から出て行く、彼を見送って、それで終わり。
私は、詰まっていた息を吐き、「疲れるな」と独り言を漏らしながら、カウンターテーブル内側の客から見えにくい隅に、置いてある予備用の椅子に腰掛けた。
今日も、自分に出来ることを、とりあえずやってみた。後は、明日の結果を待つのみである。
本来なら、専門家に依頼した方が良い、事案なのだろうが、あの邪気の無い笑顔を見ていると、どうも手荒なで方法で、解決する気にもなれない。
「地縛霊ねえ」
備品等の収納用に、テーブルに備え付けられている引き出しの中から、何時でも読めるようにと、持ち歩く様になった、その本を取り出し、軽く読み返していると、ファンタジー映画でも観ている、少年のような気持ちが湧いてきて、つい笑みが溢れた。
果たして供物を食べさせたくらいの事で、本当に効果が出るものだろうか。
時計の針が、六時半分を指そうとしている。ページを閉じて、引き出しへと戻した後、椅子から立ち上がり、軽く背伸びをすると、年相応の体の軋む音がした。他の従業員が来る前に、マスターとして、そろそろ開店の準備を始めなければ。
入り口に軽く手を合わせ、何時ものように消えて無くなっている荷物には、目もくれずに、何処かの国で購入した、モダンな暖簾を潜ってバックヤードへと入った。
午後七時、鐘の音が、静かな店内に鳴り響く。サンダルウッドの香りは、まだ強く、そこに残っているようだった。
(後書き。)
お題がノンデリだったので創作^^;
、
壮年バーテンダー主人公なの、ちゃんと伝わってますか?若葉マーク