ストック1

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12/14/2025, 10:38:25 AM

人が死ぬことを星になるって表現することってあるじゃないですか
だからね、僕は思ったんです
「転生したら星になった件」とか面白いんじゃないかって
主人公は惑星なんですよ
生命が誕生して、知的生命体が現れ、それらの営みを惑星たる主人公が観察していく
そんな物語
でもね、気づいてしまいました
これ主人公何もしてないよね、と
だから主人公の意思の力で、気まぐれにちょっと誰かの手助けをする
そんな内容なら主人公も活躍するし面白いのでは?
と思いつきました
ただそれでも問題はあるわけです
主人公は誰からも認識されないので、影響を与えてるけど完全に孤独な存在になってしまいます
ならばこれならどうでしょう?
主人公は、実態ある幻として人の姿をとって人前に現れることができる
自分の上で生活する人々に対して、謎の存在として交流しながら、自分の価値観の赴くまま、気ままに手を貸すわけです
そして一話完結型みたいな構成で、さらに時系列もバラバラ、時代もバラバラな感じで展開する、という感じ
これは面白そうな雰囲気になった気がしますよ!
ただね
僕には物語を作る能力がないんですよ
……というわけで!
そこのあなた!
僕の代わりにちょっと書いてみませんか!?
興味があったら是非!
なに、他人のアイディアだとか、そんなのを心配することはないですよ
僕にこんなことを言わせてる作者も、完全に読者になる気しかなく、「転生したら星になった件(仮)」の作者になる気なんてものは一切ありません
奴も誰かが書いたと知れば喜んで読みに行きますよ!
問題は誰かが書いたとて、知る術が限られている点ですか
まぁ、興味がなければ何言ってんだこいつと聞き流してください
では、僕はこのへんでおさらばさせていただきますね
バイバーイ

12/13/2025, 11:50:18 AM

痛みはもう感じない
そして体はやたら軽く
遠い鐘の音が響いて、俺を呼んでいるようだ
これはヤバい
天国が俺を引き寄せているのだろう
お前の命は尽きるから、もう来いと
けど
俺は死ぬわけにはいかない
天に召されてる場合ではないんだよ
地獄へも行かない
地獄送りにされる謂れはないからな
転生?
早すぎる
生まれ変わるには時期尚早だ
だってそうだろう?
俺の旅はまだ終わっちゃいない
いや、まだ始まったかどうかさえ疑わしい
勇者様に仲間にお誘いいただき、故郷を出た翌日にモンスターに致命傷を負わされたのだ
誰だって納得できるわけがないだろう?
こんな状況
俺は納得できない
ただ、この状況を切り抜けて蘇生するには、何か代償が必要だ
鐘の音はだんだん大きなってくる
時間はあまり残されていないな
さて、支払う代償だが
俺は魔道士だ
ならば、魔法を捧げよう
魔道士が魔法を失う
それは相応の代償と言えるはず
大丈夫
俺は魔法だけが武器ではない
勇者様には黙っていたが、俺には生まれつき特殊な力が備わっている
明らかに魔法とは違う原理で発動する能力
例えば、詠唱も杖もなく、念じると離れた所にあるものを自在に動かせたり
また、相手の体に遠くから圧や負荷をかけたり
俺はこれを、超能力と読んでいる
周りに話すと気味悪がられそうだったから、隠してきたけど
彼とその仲間たちなら、きっと俺の超能力を受け入れてくれるだろう
だから、俺は生き返るために魔法を手放す
超能力で勇者様のお役に立つのだ
正直、魔法より超能力のほうが得意で強いし
俺の体から魔力が抜けるのを感じる
感じなくなっていた痛みがだんだん強くなる
体の重みもあり、鐘の音は遠ざかっていった
意識を取り戻すと、勇者様たちが心底安堵した、という表情をしていた
よかった
俺は無事、蘇ることができたのか
今度こそ、旅を始めることができそうだ

12/12/2025, 11:30:51 AM

スノー?
君はスノーと書いたというのか?
snowを?
スノーと?
そうかそうか
スノーと書いてしまったか
いや、別にいいんだ
書き方は自由だ
スノーと書く者だっているだろう
そう
君は何も間違っちゃいない
なんにもおかしくはないよ
ごく普通の書き方だ
だが、そうか
スノーと書いてしまったんだな
雪といえば様々な遊びがある
雪合戦、雪だるま作り、スノーボード
そして、スキー
スノーの上でスキー
なんだか、似ていていい感じの言葉の組み合わせじゃないか
スノーとスキー
しかし、そうか
君はsnowをスノーと書いてしまったわけだ
いや、気にしないでくれ
悪いことではないよ
悪かろうはずがない
スノーなんて珍しくもないし、変だなんてことは絶対にない
スノーと書いたっていいじゃないか
自信を持っていこう
スノー、スノー、スノー
けどそうか
スノーと書いてしまうタイプか君は
……私はね、snowはスノウと書く派なんだ

12/11/2025, 11:24:29 AM

過去へ行く方法を実践する
そして二日間に同時に存在する方法もだ
今は夜
ここから東へ向かって船で航海する
この夜空を越えて、着く頃に朝となる予定の場所
そこで私は半分過去へ行き、もう半分は現在に留まる
計画に協力してくれた人々には感謝だ
さあ、出航だ!

吐いた
吐き続けた
船酔いだ
こんなに弱いとは思わなかった
私は車で本を読んでも平気な人間なんだが
このままでは二日間に同時に存在するのが難しくなってしまう
気分的にゲッソリしていると、乗組員がよく効く酔い止めを持ってきてくれた
ありがたい
目的の場所に着くまでに復活できるといいが

なかなか復活できない
よく効くんじゃなかったのか
私の心は焦燥感でいっぱいだ
今回のために大枚はたいたのに
いや、金銭的な心配もあるが、一番の心配は目的が達成できないことだ
早く気分がよくなってくれ

ギリギリだった
もうすぐ目的の場所だ
ようやく酔い止めが効いてきて、信じられないくらいスッキリした
酔う前より絶好調だ
変なものが入ってたりしないよな?
ともかく、船を最新の超技術で海上に完全固定
波が揺れようが風が吹こうが船はその場に留まり続ける
朝日が眩しい
さあ、これから半分過去へ行き、半分現在に留まるぞ
方法は簡単だ
日付変更線
これをまたぐ
12月11日と、12月10日
この二日間に、私は同時に存在している
まさに半分過去、半分現在
見る側からしたらなんのこっちゃわからない画像だろうが、記念写真を撮る
イエーイ
さて、私も乗組員も一通り満足したので、とっとと帰ることにした
用が済んだらすぐ帰るのが賢明だ
くだらないと思うかい?
だが、そう思わない人間がいたから、実現したのだ
大事なのは、本人がどう思うかだよ

12/10/2025, 12:00:58 PM

「なんかさぁ、他人に冷たくされ続けた人生だったよ」

怪奇現象が起きるからと、依頼人の住む一軒家へ除霊しに来たけど、まさか幽霊の愚痴を聞かされることになるとは
霊になるほどだから、愚痴も長い長い
というか、ところどころ同じ話を繰り返してるなこの霊
二時間もよく愚痴れるものだと感心する
なんか、生前に誰からも優しくされなかったんだって
うん、可哀想だとは思ったよ
でもそろそろキツいんだよね
さすがに、赤の他人の愚痴を聞き続けるのは……ねぇ?
友達のなら乗れるけど

「ありがとな
俺の話を黙って聞いてくれたのはあんたが初めてだよ
他のやつは話の途中で俺を否定してきたから」

「スッキリできたならよかったです」

やっと終わった
まだまだ続くようなら、強制的に除霊するところだったよ

「あんた、優しい人だな
生きてるうちにあんたみたいな優しい人に出会いたかったよ」

う……
そんなふうに言われると、嫌々聞いてたから罪悪感が……
私、早く終われと思ってたんだけど
申し訳ないから、何かしてあげたいな
そうだ
この人、本当に生前いいことなかったのかな?
いい思い出を呼び覚ませば、気分よく逝けるかも

「他人に冷たくされ続けたって言ってましたけど、本当になにも無かったんですか?
誰かに優しくされた、ぬくもりの記憶みたいなものは」

「ぬくもりの記憶、かぁ
そんなのあったかな
……あぁひとつだけあった」

よかった
なにかあったみたいだ

「色々とうまくいかなくて、公園で頭抱えてたことがあってな
その時、見知らぬ小学生の女の子が俺に、元気が出るからって言ってお守りをくれたんだ
あの時は、笑顔で感謝して、女の子が帰ったあとで嬉しくて泣いたな
あれが人のぬくもりなんだなって思ったよ」

ん?
なんか昔、私も似たようなことやった気が
というかその話、私じゃないかな?
お守りってアレだよね
私がアニメを見て折り紙で手作りしたやつ

「そうか、あんただったのか
これも運命ってやつなのかな」

霊は穏やかな顔で笑う

「俺はあんたの優しさに二度も救われたんだなぁ
あんたの手で除霊されるなら、未練はないよ」

どうやら、もう思い残すことはないらしい
私は心を込めて、目の前の霊を除霊することにした

「最期に会えてよかったよ、ありがとな」

除霊の儀式の最後に、霊はそう言って、ものすごくいい笑顔でこの世から消滅したのだった
最後、満足そうに逝けたみたいでよかった
もし、今度生まれ変わることがあれば、幸せになってほしいと、そう願わずにはいられない霊だったな

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