#同情
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涙は流さず、虚勢を張って
そうした数だけ、馬鹿をやる
刻まれた痛みは消えはしない
だから、想う
そうやって、なんて事ないように傷を舐めて
なんて事ないよに過ごす
そこに、同情なんていらないから
どうか、その時の私を見ていて
本当を、覗かないで良いからさ
#枯葉
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赤い火花の、落ちる音
溶け込むように、黒煙は空へ向かう
火ばさみでその根元...枯葉の山を掻き分けると
拳二個分程の紅紫
それをクッキングシートで包み
力を入れ2つに割ると、フワっと昇る湯気
気持ちそのままにかぶりつけば
口内に熱さと、ねっとりとした甘みが広がった
昔食べた味そのままだ
それに、少し笑みが零れたり
偶々、昔よく食べていた品種を見つけて
折角だからと焚き火に入れたのは正解だった
せっせと枯葉を集めた自分を労わるように
もう一度山吹色のそれにかぶりついた
#今日にさよなら
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朝日が昇って、夕陽が落ちる
茜が焦がれ、徐々に黒へ染まってゆく
嗚呼、良いなぁ
顔を照らす光を、薄目に眺めた
あんな空のように
闇に身を溶かしてしまいたかった
空には別に、その気はないと思うが
自分の事が見えないなら
いっそ他の人からも見えなければ良い
もう、疲れてしまった
迷子の心だけが、空の黒に溶け込んで
見えなくなってしまった
#お気に入り
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嗚呼、疲れた。
誰に言うでもなく呟いて、身体を伸ばす。
吐き出した息は、妙に重い。
仕事場から帰って、山積みの課題に追われ
正直、投げ出して寝転がりたい気持ちを何度抑えただろう
流石にそれは...と発起しても
目線の先には、消えない現実
嗚呼、嫌だ嫌だ
思わず顔を背ける
すると、目線が合った
ポツンっと置かれた、二つのアクスタだった
...これだと、一方的にと言う方がいいと思うが
暫く眺めて、私はそれを動かした
今度は、正面でその二つが見えた
私はそれに頬を緩め、再び積み上がった課題に向かった
さぁ、もう少し頑張ろうか
#誰よりも
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きっと、一番じゃない。
彼奴にも、自分にも
一番大切にしたい奴らがいる
今だって、ほら
自分を放って、ガキ共と戯れている
本当、幸せそうな顔で
でも、それが良いと思う
それぞれが別の場所にいて
それぞれの大切に囲まれて
...それでも、二人で顔を合わせたなら
酒のツマミに、語り切れない馬鹿話をしよう
負けず嫌いを発揮して、馬鹿みたいに競い合おう
そうして、最後には馬鹿みたいだと笑ってしまおう
それは、二人でしかできない事だから