たーくん。

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12/13/2025, 10:55:29 PM

空に響き渡る鐘の音。
離れた場所からでも、よく聞こえる。
どうやら、今日は結婚式が行われているらしい。
持っていた結婚情報雑誌をギュッと握りしめる。
私もいつか……鐘の下で好きな人と……。
結婚願望はすごくあるのに、相手が全く見つからない。
まぁ、私がイケメン好きで、相手に求めるものが多すぎるからだろう。
鐘の音が、だんだんと遠のいていく。
私が結婚するのは、まだまだ先かも……。
「はあ……」
大きな溜め息をつきながら、その場から早足で立ち去った。

12/12/2025, 11:45:06 PM

空からひらひらとゆっくり落ちてくる白い雪。
今日は大寒波の襲来で、日本中で雪が降るらしい。
パラシュートで着地するように地面へ落ち、少しずつ積もっていく。
私の住む地域では滅多に雪が降らないから、気持ちがちょっとしたお祭り騒ぎになる。
あっという間に地面が白に染まり、屋根の上にも、車の上にも、雪が積もっていく。
ドサッ、ドサッ。
雪を踏むたびに音が鳴る。
足元を見ると、足首まで雪で埋まっていた。
うーん……ちょっと降り過ぎかな?
さっきまで気持ちがお祭り騒ぎしてたけど、だんだんと不安になる。
雪は私の気持ちを気にもせず、降り続けた。
家に戻り、テレビを着ける。
「うわぁ……」
家が埋まっている映像が映っていて、思わず声が出た。
今、日本中のあちこちで、家が埋まるほど雪が積もっているらしい。
気象庁は、今回の大寒波を超最強大寒波と名付けていた。
もしかしたら、私の家も雪で埋まってしまうのだろうか?
不安から恐怖へと変わり、身体が震える。
テレビを見続けていると速報が出て、避難指示が出る地域まで出始めた。
雪は、あと二日間降り続けるらしい。
あまりにも異常過ぎる。
万が一のために、避難の準備をしなきゃ。
立ち上がって窓を見ると、窓の半分が、白で埋まっている。
さっきまで地面だけ積もっていたのに、短時間でこんなに積もるなんて……。
改めて、自然の恐怖を思い知った。

12/11/2025, 10:04:45 PM

光り輝く宝石のような星々。
夜空を越えた先に、こんな綺麗な光景が見れるとは……。
途中で闇に呑み込まれそうになったが、なんとか回避することに成功した。
空に浮きながら星を間近で見れるなんて最高だ。
「おや?君、ここへ来てしまったのか」
背中に白い翼が生えた子供が話しかけてきた。
頭の上には、天使の輪がある。
「まさか闇を越えてくるとは……しかもまだ生きてる人間が……」
天使は舐めるようにこっちを見ている。
「生きたままここへ来たなら仕方ない。君は死人扱いとする」
天使の言っている意味が分からず、困惑してしまう。
「ここは天国。本来なら死んだ者が来る場所だけど、来てしまったなら死人になってもらうしかない」
天使は一瞬でこっちにワープし、刃物のようなもので胸を刺してきた。
一瞬過ぎて避けれず、目の前が少しずつ闇に呑み込まれていく。
「悪いけど君は地獄行きだ」
最後に聞こえたのは嫌な知らせだった。

12/10/2025, 10:07:06 PM

冷たい手を温めてくれるカイロ。
ぬくもりといえば、小学生の運動会でやった二人一組で踊るダンスを思い出す。
俺は女子とペアで、多分女子の手を人生で初めて握ったと思う。
柔らかくて、温かかったなぁ……。
女子の名前は忘れちゃったけど、可愛かった記憶がある。
きっと大人になった今、もっと可愛くなっているだろう。
さて、手が温もったことだし、同窓会の会場へ行くか。
「あれ?もしかして田中君?久しぶり!変わってないね!」
会場に着くと、可愛らしい女性に話しかけられた。

12/9/2025, 10:07:18 PM

今日は今年一番寒い登校の朝。
こんな日に限って手袋をするのを忘れてきてしまった。
手が冷えて、凍ってしまったかのような感覚だ。
「うぃーっす。って、手を擦ってなにしてるんだ?」
同じクラスの鈴木君が、ポケットに両手を入れながら話しかけてきた。
「手袋忘れちゃって……擦って温めてるの」
「ふーん、じゃあこれ使いなよ」
鈴木君はポケットから手袋を出して、私に差し出した。
「え?でもこれ、鈴木君のじゃ……」
「手袋着けてるとなんか手がかゆくなるんだよなー。だからポケットに手を入れて温めてるんだよ」
だからポケットに両手を入れていたんだ。
「せっかくだから借りようかなぁ」
「おう、あとで返してくれたらいいから」
鈴木君から手袋を受け取り、早速両手に着ける。
手袋は大きくて、すごく温かい。
「今日は一限目から歴史の授業かー。だりぃなぁ」
「鈴木君いつも寝てるじゃん」
世間話をしながら、鈴木君と一緒に学校へ向かった。

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