『バレンタイン』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
バレンタイン。
チョコが貰えない。
男はチョコを求めた。
決して、恋に落ちたり、恋人がいるわけでもないが、
他人からのチョコレートを求めた。
男は待ち続け、23:50分。未だにチョコは来ず。
「まだ焦るべきではない。10分もある。」
「いや、焦るべきだ。10分しか。」
男の友人はそう言った。
彼の手にチョコレートは握られていない。
「行動すべきだろうか。」
「かといって通行人にチョコをねだる
変人になる気はないぞ。私は。」
彼らが求めていたのは、他人からのチョコ。
すなわち異性からの愛のこもったチョコレート。
「よし、思いついた。」
「なにを。」
「多様性の時代。私は今から性自認を女性にする。
それで、私がチョコを渡せば万事解決だ。」
「理にかなってるな。」
そうして130円のチョコバーが渡された。
「それじゃ、性自認を男に戻す。
次はお前か性自認を女性にしろ。」
「天才だな。今から性自認を女性とする。」
そうして130円のチョコバーが渡された。
チョコの循環である。
「全く天才的だな。」
「素晴らしい考えだろ?我ながら。」
「もしかしてだけどこれが理由か?」
「理由?」
「根本的な問題の理由。」
「あぁ。」
チョコと恋愛は共に、とろとろととろけるもの。
しかし、時には固くなり、攻撃的になる。
「バレンタイン」
ばれんたいん。
片思いが両思いになったり、ならなかったり、
思いを伝えられる日
女の子も、男の子も、胸を弾ませる日。
今までの人生、片思いの方が多かった。
両思いや、片思いされる側に、あまりなった記憶が無い。
今日、ふと片思いしてた人どの記憶を思い出した。
その人とは、結構面白い出会い方をした。
結構、厭、面白い人だなって思ってた。
毎日会っていたわけじゃないし、喋った量も少ない方だったかもしれない。
でも、その人のことが素敵だなって思った。
一緒にいて、楽しいなって思った。
全力で私でいられたから。
その人は今、高校を中退して、通信に通ってるんだって。
それもあって、会う機会が減ってそのままって感じ。
自分から連絡すればいいんだけど、考えすぎる私は、、、
あんま連絡出来ない。
そういう人、私の中には数人いる。
多分、私の一方的な思いなんだろうなっていうか。
「ごめん尾上。俺貰っちゃったわ」
佐倉は勝ち誇ったような笑みを浮かべながら、俺の眼前にそれを突き出した。赤いリボンでラッピングされた、ハート型の小さなチョコレート。
「お母さんから?」
「お母さんからじゃねえよ。どう見ても本命だろ」
たしかに、お母さんがお情けでくれるタイプのチョコではない。
義理チョコだったらまず手作りはしないだろうし、チョコはハート型で、丁寧にラッピングまで施されているのだから、きっと正真正銘の本命チョコだ。
「……じゃあ誰から?」
「後輩の女子」
「部活の?」
「そ。顔真っ赤にして渡してきてさ、受け取った瞬間にすぐ走っていっちゃって」
あれかわいかったなあ、とかなんとか言ってる佐倉の鼻の下は、完全に伸びきっている。こいつ殴ってやろうかな。初めて女子からチョコを貰って、こいつは明らかに調子に乗っている。
「なんか俺だけモテちゃってごめんね?」
「貰ったの1個じゃモテてるって言わなくね」
「0個の奴に言われたくないけど」
「いや俺だって1個は貰ったし」
「え!?」
嬉々としてマウントをとろうとしていた佐倉は、途端に顔色を変えた。愕然としたように「マジで?」と聞いてくる。こいつは1つも貰えていないに違いない、とでも思っていたらしい。舐められたもんだ。
「え、誰から? お母さん?」
「お母さんじゃねえよ。下駄箱に入ってて、誰が入れたのかはわかんない」
「嘘じゃね?」
「嘘じゃねえよ。ほんとに入ってたから」
「じゃあ今見して」
「…………」
ため息をついて、鞄の中を探る。そうして引っぱり出したものを佐倉に手渡した。
「ほら。嘘じゃないだろ」
「…………」
佐倉は手の中のそれをしばらく見つめてから、怪訝な顔で言った。
「これボンタンアメじゃん」
「そうだよ」
ボンタンアメ。昔ながらのお菓子。オブラートに包まれた、オレンジ色の四角いもちもち。
「みんな大好きボンタンアメ」
「いやまあ、美味いけど。バレンタインにボンタンアメあげる奴いないだろ」
「それはそう」
今朝下駄箱をのぞいて、上履きの傍らにボンタンアメの箱が置いてあるのを見たとき、わけがわからなかった。なんでこんなところにボンタンアメが、と思って、ちょっと考えてからようやく「もしかしてバレンタイン?」と思い至った。
差出人はいったいどういう気持ちで、バレンタインの贈り物としてこのお菓子をチョイスしたのだろう。本命か義理かもわからない。
と、ふいに佐倉が口を開いた。
「お前さ、最近おばあちゃん助けた?」
「は?」
「街で助けたおばあちゃんがお前に惚れて、ボンタンアメを贈った可能性はない?」
「何言ってんの? おばあちゃんどっから来た?」
「ボンタンアメってなんかおばあちゃんがくれるイメージだから」
「そうか?」
「差出人はお前に惚れてるおばあちゃんの可能性が高いな」
「マジで……?」
非モテの俺はバレンタインに誰かから贈り物を貰うことなんて初めてだから、本当は手放しに喜びたいのだが「バレンタインにボンタンアメ」という不可解さが邪魔をする。もしかしてこれは、何らかのメッセージなんだろうか。ボンタンアメを介して、誰が何を伝えようとしてるっていうんだ。
俺と佐倉は下校時刻になるまで教室に居残り、バレンタインボンタンアメ事件についての考察を繰り広げたが、結局、結論は出ずじまいだった。
【テーマ:バレンタイン】
好きな人にチョコを上げたいけどめんどいし、家がどこかわからない(T^T)
箱から1つ
チョコレートを取り出す。
パキッと口の中で噛むと
チョコレートはとろけて
時間すら溶かしてくれる。
気がついたら
To doリストが全て終わっていて、
私は甘いものを食べたら
大いに集中できることがわかる。
でもたまに不安になる。
甘いものを食べた後の、
集中している時のことが
思い出せないのだ。
もしかしたら私の中に違う自分が…
なーんて、
考えるだけ無駄だと思ってやめた。
やることが出来ていたら
もうそれでいいのだ。
巷ではバレンタインとか
やってるらしいけど?
私は甘いものを食べたら
必ず集中しちゃうから
貰えなくても?寂しくないし?
別に友達がいないわけではないし?
自分が集中したい時にできるよう、
チョコレートを買うだけだし?
誰からも貰えないからって
自分で買うってわけでは…。
さすがに悲しくなってくる。
とほほ…。
仕事では
この集中力にとても助かっている。
早く片付くからだ。
物事の判断も早く出来ているっぽいし、
気がついたら退勤なんて
天職だ。
私は鼻をつまんで
今日の仕事場を見に行く。
うわぁっとなる。
こりゃあ派手にやったな。
血まみれの壁と床。
死体こそ無いが、
どこにあったのかすぐにわかってしまう
血溜まりがあった。
私はすぐにチョコレートを食べ、
全てに集中し始めた。
"Good Midnight!"
ふぅ。
私の仕事は
デスゲームの後処理。
巷ではバレンタインとか
やってるらしいね。
まあ、
こんなバレンタインも悪くない。
甘くてとろける夢を、
ハッピーバレンタイン。
制服のポケットにしのばせたチョコレート
決して深い意味がある訳じゃない
甘いもの好きな君にと
言い訳がましく
あえて選んだキャラクターもの
放課後、運良く2人きりになれたのに
ポケットの中でチョコにふれた手を
そのまま外に出すことはできなかった
軽いノリで渡しちゃいけない気がしたのか
あと少しの勇気がでなかったのか
友達が迎えに来て、バイバイと役目を失った片手をむなしくあげて教室をあとにした
あの時チョコを渡せていたら、、
なにか変わっていたかなあ
遠い記憶がよみがえり
そんなしょーもないことを考えてしまった
今日のバレンタインでした
バレンタインは
チョコをあげる。
だけじゃ
ないんだよ。
『バレンタイン』
バレンタインとは、何か。チョコという形で、感謝や想いを人に伝えるイベント、多くの人はそういうのだと思う。
けれど、正直に言えば、その商業的な喧騒に、どこか食傷気味になる自分もいる。街が赤やピンクに染まり、義務のように用意される義理チョコや、SNSに溢れる華やかな写真。それらを横目に、少し冷めた足取りで通り過ぎることも少なくない。
それでも、ふと足を止めて考える。
誰かが誰かのために時間を使い、何を贈ろうかと悩み、店先で商品を手に取るその「過程」自体は、決して悪いものではない、と。
味がどうとか、値段がどうとか、そんなことは二の次だ。重要なのは、誰かの思考の片隅に、別の誰かが居座る時間が発生しているという事実だ。その「誰かを想う時間」の総量が、この日、世界中で少しだけ増える。そう考えれば、この浮かれたイベントも、あながち捨てたものではないのかもしれない。
ただ、昔からそう思えていたわけではない。
以前の私は、この喧騒をもっと斜に構えて見ていたし、そこに潜む温かさに目を向ける余裕などなかったように思う。
いつからだろうか。
明確な時期は分からない。けれど、表層的な賑やかさの奥にある、人の心の機微のようなものを掬い上げられるようになった。
世の中には、歳を重ねてもそうならない人もいるし、それが悪いことだとも思わない。
しかし、この静かな「余裕」を自分の中に等身大で感じられたとき、ふと独りごちる。
こういうことを、「大人」になったと呼ぶのかもしれない、と。
僕はさ、とにかくチョコが好きなんだよ。
チョコ。名前も可愛くていいよね。
そーいえばさ、チョコとチョコレートって何が違うんだろ?
え?発音はレートじゃなくてレイト?
そんでもってチョコレイトが正式な名前?
そっか、僕達が略してチョコって呼んでるだけなんだね。
でもなんか、チョコの方が可愛くて呼びやすい。
バレンタインチョコレイトってあんまり言わないんじゃない?
……そんなことない?
というわけで、僕は純粋にチョコが好きで、だからさ、君のその、彼に受け取ってもらえなかったチョコレート、僕がもらうってのはナシかな?
いや、気持ち悪いこと言ってるのは重々承知だけど、僕は純粋にチョコと君が好きで……あ、いや、チョコレートが大好きなんだよ。
……えっ、チョコレートじゃなくてチョコレイト?
ああ、そうだった。
意外と細かい性格なんだね。知らなかったよ。
別にね、君からチョコを貰ったからって、君から告白されたなんて勘違いしたりしないよ。
君がさ、昨日、手作りチョコのレシピについて友達と話してるのが聞こえたんだ。
てことは……君のチョコは、君の手作りなのかな、って。
あ、いや、ちょっと待って。逃げないで。
せっかく君が頑張って作ったチョコをさ、君が持って帰ってどーするの?
自分一人で食べる?切なくない?
誰かに食べてもらって、その感想を聞きたいとか……思わない?
いやだからあのさ、僕はとにかくチョコが好きなんだって。
ただそれだけなんだってば。
いや、まあ、チョコより好きなものはあるけど、そこはほら、これからの未来に期待するってことにして、とりあえず今日のところは、君が想いを込めたチョコレイトの行方を見守りたい、それだけなんだ。
そして願わくば、君のチョコを僕の胃袋に収めたい。ってのもあるかな。
ああー、なんだか微妙な空気になっちゃったね。
よし、もうこうなったら、正攻法でいくよ。
えーと、今日は女の子が告白する日なのに、空気読めなくてごめん。
ただ、君が悲しむ顔をみていたら、居ても立ってもいられなくなったんだ。
もっと先にするはずだった予定を前倒しして、今日決行することに決めた。
君の迷惑は顧みず、だ。
そのチョコを持て余してるだろ?
悲しみや不服、怒りだってあるかもしれない。
それを全部、僕にぶつけて話をしてくれないかな。
君に寄り添って話せる自信はあるよ。
チョコレートよりも君が好きなんだ。
君の手作りが宙に浮いてしまっているこのチャンスを逃したくない。
……えっ、チョコレートじゃなくてチョコレイト?
んー、こんな時でも細かい君、意外だったけど新しい君が知れて良かったよ。
まあ、呼び方はどっちでもいいと思うけど……いや、チョコレイトの Late は遅れてるって意味もあるだろ。
チョコは遅れて渡した方がいいのかも。
本命よりも、残りものに福があるって言うじゃない。
それって僕のことなんじゃ……。
えっ?甘すぎる?
チョコレートだけに?
……ああ、レイトね。
うわきたこのお題笑笑
昨年までは高校生だったからちゃんと作って
好きな人に渡したりしてたよ。ごめん嘘だよ笑
作ったフリして市販のやつラッピングしてた。
だって楽なんだもん。女子力の出しどころって
いうけど出して何になるのさ!別に恨みとかは
ないけどさー、めんどい行事だよねって思う。
好きな人とかいないからなのかなー?、
今年は春休みとぶち被りだから誰にも会わず
参加は辞退させてもらったよ。ラッキー︎🌟
バレンタインガチ勢様様ごめんなさい…。
女子大学生(19)のバレンタイン。
—甘い誤算—
モテない男子をからかうために『バレンタイン』は作られたんじゃないか、と俺は思っている。
「ナオは、チョコ何個貰った?」
帰り道。
親友の松本が、口の端を上げて訊いてきた。
「……一個ももらってねぇよ」
「そうかいそうかい」
松本が訊いてほしそうな顔をしているので、俺は言ってやった。
「そういうお前は、何個貰ったんだよ」
「気になるかぁ。——オレはね、五個!」
バックを開いてみせてきた。
手作りのチョコもあれば、どこかの店で買ったような箱のチョコもあった。
悔しいけれど、羨ましい。
「でも意外だなぁ。西村からはもらってると思ったのに。ナオと幼馴染で、仲良いじゃんか」
頭の後ろで両手を組んで、松本が言った。
「さぁ。それとバレンタインは別だろ」
「そういうもんかなぁ」
しばらく歩くと、いつもの交差点に着いた。
ここから帰り道は別々になる。
「チョコの感想は教えてあげるからね」
松本は最後にそう言い残して、帰っていった。最後まで腹の立つ親友だった。
それから、一人で帰路についた。
——明日、バレンタインかー。今日の夜頑張ってチョコ作らないと。
——誰に渡すの?
——まぁ、いろんな人。詳しいことは内緒!
ぼんやりと歩いていると、昨日の会話が頭に流れてきた。
西村は誰に渡したんだろうか。
「ナオ」
そんなことを考えていると、本人がやってきた。そのまま隣に並んで歩き出す。
「チョコ、何個もらった?」
「ユイトとおんなじこと言うんだな。……一個ももらってない」
そう言うと、彼女はふっと笑った。俺は、目を細めて彼女をみる。
「で、チョコは渡せたのか?」俺は訊いた。
「うん。いっぱい作ったから、渡すのにも時間かかっちゃった」
彼女は、背中のバッグを前に持ってきて開いた。そして箱を一つ取り出した。
「これでラスト! チョコを一つももらえない可哀想なナオに、あげる」
「……ありがとう」
「言っとくけど、一番出来の良かったチョコだから」
「え……」
気づけば、家のそばまで来ていた。
「お返し、期待しとくね。じゃあね!」
「あぁ……、また明日!」
心拍数が急激に上昇していた。
この日があって良かったと、初めて心から思えた。
お題:バレンタイン
熱で溶けて
もう一度固まったそれは
甘いけれど
刃が立たないほど硬い
【バレンタイン】
もう一度溶かしてよ
甘いって嫌わないで
あたしを食べて
バレンタイン
昔はドキドキしながらチョコレート渡して告白する日だったような
バレンタインというものに背中押されて勇気を出すという感じだった
今は義理チョコや友チョコあげてみんなにお返しが必要だったり
負担が増えたなというのが正直な感想
そして何のためにやってるのか
昔の方が良かったなとか言い出すと
年をとったということか
「今年のバレンタインさ土曜日らしいよ」
「まじで!?チョコ渡せないじゃん」
同じクラスの女子が話している
私は好きな人に土曜日会う約束を取り付けた
だから君らのような心配はいらない
私も頑張るから君たちも頑張れ!!
ハッピーバレンタイン!
2月14日……すなわち、バレンタインデー。
この日に良い思い出がある人もない人も、きっと何かしらでチョコを食べたり買ったり作ったりしたこともあるだろう。
学生の時はあんなにも頑張って友チョコやら家族チョコやらを作ったりしていたのに、今となってはキット◯ットを家族にあげるだけになってしまった。
当時チョコをあげていた友は一人を除いて音信不通だし、今とても仲良くしている友はあまり頻繁に会わない。
職場の人にあげようにもお土産以外の食品を持ってくることは基本禁止されている。
というか職場の人に手作りのものを振る舞うとか、そんな気力もない。
そもそもチョコ作りは学生の時分だからこそ楽しいものだったり凝ったりしていたのだろうか。
だが、大人になってもお菓子作りやラッピングを作るのが好きという人もいるし、学生でもそもそも作るのがめんどくさいという人もいるはずだ。
……結局は人によるという結論になってしまうか。
バレンタイン
以前よりは、落ち着いてきた、バレンタイン…2月になると、なんとなくざわつくのが恒例…
そう言うわたしも、なんとなく、周りの動きが気になって、色々詮索していた…何気に、聞き耳を立てたり、それとなく探りを入れたり…
でも、毎年、何事もなくて、妄想だけでドキドキして過ぎていた…このチョコのやり取りも、日本だけの行事だと聞いて、振り回されなくて良かったなんて、浮足立った気持ちを落ち着かさせたり…
本当は、気になるあの人に…って想いながら、毎年、この揺れる季節を繰り返して…
バレンタイン
大切な人に感謝を贈る日
皆さまいつもありがとうございます。
【書く練習】
今日の書く練習はお休みします。
「・・・・・・これあげる」
窓から射し込む夕日が、君の髪を柔らかく照らす。少し茶色のそれは優しい光に透かされてより色素を薄めた。
「チョコ?」
震える私の手から綺麗にラッピングされた箱を君が受けとった。
丸い瞳が細められて、逆光で少し見づらい顔が私に向けられる。
「俺に?」
「そう」
驚いた顔の中に嬉しそうな表情があったのは、私の気のせいだろうか。
「ありがとう」
座っているせいで私よりも低い位置にある君の顔は、チョコを見るためにうつむいてしまって見えない。ふわふわした髪が私の視界を占領する。
「めっちゃ嬉しい」
しばらく見つめた後、私に向けられた顔はわかりやすい嬉しさを滲ませていた。
私が大好きな、笑うと目尻に出来る皺がよりいっそう深められる。
「俺もね、あるよ」
甘やかな笑顔のまま、君がリュックの中からこれまた綺麗にラッピングされた箱を取り出す。
「あげる」
差し出された箱を、震えが隠せない手で受けとる。
「ありがとう」
ちょっと素っ気なかったかな。もっとわかりやすく喜べたらいいのに。
自分の可愛げのなさにため息が漏れる。
「あれ、嫌だった?」
その小さな雰囲気を感じ取った君が、少し不安げに首をかしげた。
「そんなことないよ!ほんとに嬉しい」
慌てて答えて、その慌て方がより不安を深めないかこちらが鼓動を早める。だけど君は、安心したような顔で微笑んだ。
「よかった。喜んでくれて」
「・・・・・・なんで」
その優しげな顔、普段の君とはほのかに違うその顔に疑問が溢れた。いつも優しいけれど、その優しさに甘さが含まれているみたいな。
「なんでって、君が好きだから」
至極全うみたいな、きょとんとした顔で君が答える。
え、なんて自分が呟いた声を、まるで他人事みたいな感覚で聞いた。
「だから本命を渡したいし、君からもほしかったし」
あまりにもキャパオーバーだった。爆発しそうな頭で、やっとの思いで君の言葉を噛み砕こうとする。
「君がくれたの本命だと思ってたんだけど、違った?」
君は考える隙を与えてはくれなかった。
だけど、問われたその質問には考えるまでもなく答えを返す。
「本命だよ」
「よかった」
くしゃりと顔を緩めて、あまりに優しい表情を浮かべる。
一方通行の恋が、2人の間で手を握りあった。
バレンタイン