こはくとう

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8/30/2025, 11:19:25 AM

1人は孤独。3人は多い。
ふたりで居られるなんて、贅沢だよね。

たった1人の姉。
小さいころは喧嘩が多くて、嫌いになったり、好きになったりの繰り返しだったね。
どっか行っちゃえって、思う日だってあったよ。

 でも、少し大人になった私たち、いつの間にか喧嘩はほとんどなくなって、妹である私を可愛がってくれたね。

 ずっとこんな日が続くと思ってた。でも、そんなの間違いだったね。

今日は貴女の結婚式。
ふたりじゃなくなるなんて、貴女の隣が私じゃなくなるなんて、やっぱりちょっぴり寂しいけれど、笑顔で、どうか貴女が幸せでありますように。

8/29/2025, 12:40:37 PM

ある日、心の中の風景が見えるようになった。
真っ黒な人、草木の生い茂る人、アニメのキャラが見える人、たくさんの友人がいる人…。
 周りの人はみんな、何かしらの風景が見えるのに、僕自身の風景は空白だった。
何も見えない、何色でもない。
 どうしたらこの空白は埋まるのだろう。

 僕は空白を埋めるため、たくさんの人と関わろうとした。意見を合わせ、自分より他人を優先した。
いつもにっこりして、楽しそうに過ごした。どうか空白が埋まるようにと。

 数日後、僕の空白は埋まった。
でも僕が思い描いていた結果にはなっていなかった。僕が一緒に過ごした人たちの心の風景がそのまま僕に移っていたのだ。これは「僕」じゃない。どうしたら僕になれるんだろう。ただ願うばかりだ。
どうか僕が「僕」になれますように。

8/27/2025, 12:58:46 PM

「あなたの欲しいもの、ここにあるわよ。」
そういって女は真下を指差した。
年は15くらいだろうか。さすがに男は戸惑った。
「ここを掘ればいいわ。」
女はにっこりする。はっきり言って、訳が分からない。
「お前は誰なんだ。」
「どうして言う必要があるのかしら。」
「……掘ればいいのか?掘ったら何がある?」
男は欲深かった。女が怪しいのは変わらないが、「自分の欲しいもの」という言葉に惹かれていた。
「何があるかは、お楽しみ。」
「…分かった。家からスコップを取ってこよう。」
「スコップじゃ無理よ。シャベルにした方がいいわ。」
「家にシャベルなんて無い。」
「いいえ、あるわ。」
「なんでそう思うんだ?」
「なんでかしらね。」
女はのらりくらりと男の質問をかわす。
「じゃあ、シャベルを探してみよう。なければスコップを持ってくるからな。」
「ええ。」
男は回れ右をして家に帰っていく。

「ある…。」
男の家の納戸に、シャベルはあった。
買った覚えも、使った覚えも無いのだが、かすかに土がついている。
「何年か前に買ってたのかもな…。」
男はシャベルを持って、女のところへ戻っていった。

 女は変わらず立ったまま男を待っていた。
「あったのね。」
「ああ。…じゃあ掘るぞ。」
「ええいいわよ。」

 ザクッザクッ…ザクッ…………カツン。

「なにかあたったぞ!」
男は無我夢中で土の中から取り出す。
出てきたのは、

 白骨

「え……。」
男は何かを思い出す。
これは…俺が…おレが…こコ殺kロし/@$*=#;*(/$×_;

「思い出したか、この人殺し。」

 女は消えた。
しかし男が忘れたなら、また現れるだろう。
「ここにあるわ。」と。

8/26/2025, 9:55:27 AM

世界に呪いがかけられた。
 生まれたその瞬間から、体の周りを少しずつ岩が覆い隠していく病気。体が完全に覆い隠されれば、意識はあるものの、動くことは出来なくなる。そして他の者達の手によって、「岩」として破壊される。
 原因を探ろうとした者も、その呪いから逃れようと薬の研究を始めた者ももちろんいた。しかしその者たちは決まって岩が体を覆い隠すスピードが速くなり、実験に手をつけられないまま岩になってしまうのだった。
 いつ岩に体が覆い隠されるか、分からない。そんな世界で生きる者達がいた。
 
 「月が綺麗だ。」
僕は、岩が足を覆い隠し、1人で歩けなくなった友人を車椅子で外まで連れていっていた。
「ああ、…でももう少ししたら、この月も俺は見えなくなるな。」
「そんなこと言うなよ、唯人。僕は今見えるもの聞こえるものを楽しみたいんだ。」
 眉を潜めた僕に、唯人は笑顔を向けた。
「確かにそうだな。お前は、顔がもう半分覆われてるもんなー…。でも、足よりましだぜ、多分。1人で歩いていけるなんて最高じゃんよ。俺なんて、一日中ベッドでダラダラして寝て起きたら足が岩になってたんだ。こんなことならあの日は散歩でもすりゃ良かった、だろ?」
そういって唯人がにやっと笑うから、僕もつられて笑ってしまった。
「まあ、確かにそうかもな。」
「今日は何する?」
「そうだな~…。」
 僕たちはいつ岩になるか分からない毎日を思い出作りをして過ごしていた。

 翌日。
 「おはよ唯人。」
 「おはよー。」
歩けない唯人に歩み寄る。その時。

 パキ…。

 足が固まる。岩は少しずつ上に上ってくる。
パキパキ…パキ…
「おいおい…嘘だろ…。」
「…俺もだ…。」
パキ…パキ…。唯人の体も俺と同じようにいつも以上のスピードで岩に覆い隠され始めていた。
「覚悟してたはずなのにな…。なんで今日なんだろうな…。」
唯人は静かに涙を流しながら笑う。
唯人…唯人…!走り出そうとする。しかしもう足は動かなかった。
「唯人…!」
首まで迫ってくる。
唯人も同様、すでに首まで岩が覆い隠していた。
「楽しかった…。同時に岩になれるなら良いじゃねぇか…。寂しい思いをしないですむな…。」
眉を下げて唯人はにっこり笑う。
「唯…っ」
もう岩があご辺りまできてしまった。すぐに口も固まってしまう…。僕が一番唯人に伝えたいこと…。
「今日も…月がきれ…」
その言葉を最後に、僕と唯人の口は固まってしまった。最後の言葉を聞いて、唯人からは大粒の涙が流れた。その涙も、岩になっていく…。僕らの全てが、岩に覆い尽くされていく…。
 あと一歩…。あと一歩だけ歩けたら…あなたに触れられるのに…。

8/23/2025, 12:05:05 PM

 「遠雷か。嵐がくる。」
旅人は1人でそう呟いた。旅人は周りを見渡し、嵐に耐えられそうな場所を探し始めた。岩の小さなくぼみを見つけ、旅人は嵐が去るまでそこに留まることにした。

 しかし、そこには先客がいた。齢10くらいだろうか。少女が倒れている。旅人はめんどくさそうにため息をつき、他の場所を探そうとくぼみを出ようとする。
 ぐいっ
 いつ起きたのか、少女が旅人の足をつかんだ。
「…放せ。」
「いやよ。」
「放せ。」
「じゃあ、ここにいて。」
少女はやつれてはいるものの、強気な表情で言った。
旅人は無表情のまま抗議する。
「お前のことは俺には関係ない。1人分の食事を確保するだけでも大変なんだ。俺は1人で行動する。」
「遠雷が聞こえたでしょう。嵐が来るわよ。この近くに嵐を耐えしのげるような穴は他にないわ。」
「そのようだな。お前がすでに嵐だ。」
少女はむっとした表情をしたが、旅人が荷物をおろし始め、ここに留まることが分かったので、嬉しそうににっこりした。

 その夜、本格的に嵐がやって来た。
「どうしてお前みたいな子供がここにいるんだ。」
嵐のうるささの中、2人は会話する
「あなた、家族はいないの?」
「話を反らすな。」
「どうして1人なの?」
「…俺にも家族はいたさ。妻がいたんだ。娘もな。」
少女に押し負けた旅人が答える。
「その人たちはどうなったの?」
「妻は死んだ。娘を生んでから体調を崩してな。娘は祖父母が引き取った。お前みたいなやつには預けられないと言われたんだ。もともと、俺は祖父母に嫌われていたからな。」
どうせすぐにわかれる仲だからいいだろうと思い、旅人は話した。
「へぇ…。どうして旅しているの?」
「町に居場所が無かった。俺の居場所は妻と娘が居る場所だった。妻と娘がいれば、俺はどこでも良かったんだ。でも…誰もいないところは気軽でいいだろう?」
旅人は淡々と話す。
「そう言うお前はなんなんだ。なんでこんなところに。」
「ちょっと知りたいことがあったの。」
「そのちょっとのためにここまで来るのかよ。」
「もちろんよ。でももう知れたわ。」
少女はにっこりする。
「じゃあ子供は早く帰るんだな。」
 いつの間にか嵐は止んでいた。くぼみから顔を出して、少女は空を見上げる。
「ねえ、私ね、今日楽しかった。これまで辛いことがたくさんで、何も出来なかった。」
少女の表情が寂しそうな笑顔に変わる。
旅人は何か、既視感を覚える。
「ねえ、私ね、知れてよかった。あなたが娘を愛していたこと。」
「ねえ、私はもうここにはいられないの…。おじいちゃんもおばあちゃんもわたしのこと愛してくれてなかった。ご飯くれなかった。痛かった。辛かった。」
旅人は気付く。
少女は涙をながす。
「生きてるうちに来れたら良かった…。パパ…。」
「お前…ハンナか。」
「ずっと言いたくて、心の中に閉じ込めてたの。ずっと辛かったのが、辛くなくなったときね、私の心の中のうずうずを遠雷がパパのところにつれてってくれたよ。」
「そうだったのか…。ハンナ…ごめんな…。」
「いいよ。ね、パパ、ぎゅーして」
旅人は1年ほど流してなかった涙を流す。
「「愛してる…」」
気付いたときハンナは消えていた。

遠雷が鳴っている…。



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